エリオット波動・宮田レポート(マンスリー・フォーカス) ※9月30日更新

2021/09/30 11:28

宮田エリオット波動レポート(マンスリー・フォーカス)

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【日経平均】
1ヵ月前の予想通り、新型コロナ新規陽性者数の「第5波」はやはりピークアウトしていました。新規陽性者数の減少はまだ続くと予想されることに加え、緊急事態宣言も解除されることもあり、株高への追い風は続きそうです。

海外投資家は年初からの日本株ポジションを売りから中立に戻しました。自民新政権への期待が高まることで、海外投資家の日本株再評価の動きは強まるかもしれません。日本株の長期強気相場を前提にすると、岸田政権は長期政権になる可能性を秘めています。

<日経平均>
新型コロナ「第5波」終了後は一気呵成の株高に
前回の本レポート(8/31発行)では、新型コロナ新規陽性者数「第5波」が頂点に達し、新規陽性者数が減少局面に移った可能性を論じました。そして、こう書いています。

”実効再生産数が先行する形で、新規陽性者数が減少し始めたとすれば、それは投資家心理の改善につながり、株高に追い風となるでしょう”。
新型コロナ新規陽性者数
前レポート発行から1ヵ月が経ちましたが、ここで改めて結果を確認してみましょう。
当時は仮定の話でしたが、実際にも新型コロナ「第5波」は8月20日にピークアウトしていました(注1)。それは、日経平均が年初来安値を付けた日だったのですが、そのときから新規陽性者数が激減する一方、日経平均が31年ぶり高値へと一気に駆け上がったのはご存じの通りです。日経平均は8月20日の底値から押し目らしい押し目なく、3800円余りも上昇しました。

(注1) 新型コロナについてまったくの門外漢である筆者ですが、結果的には新規陽性者数の減少を先読みできたことになります。実効再生産数の先行指標としての有効性、新型コロナと株価との関係、日経平均とTOPIXの強気ダイヴァージェンス(底入れパターン)、これらに着目したことが奏功したようです。

新規陽性者数の減少傾向はまだ続くと予想され、株高への追い風は続く可能性
なお新規陽性者数に数週間先行する傾向がある「実効再生産数」をみると、全国で0.6、東京は0.56へ低下しています(9/26時点)。いずれも2020年5月以来1年4ヵ月ぶりの少なさです。実効再生産数がマイナスになることはありませんから、この点でいうと、実効再生産数が目立って減少する局面は終盤に入ったのかもしれません。ただし遅れて反映される、新規陽性者数についてはまだ当分の間、減少していくことが予想されます。つまり、株高への追い風は続く可能性があります。

緊急事態宣言は解除へ
政府は27都道府県に出している緊急事態宣言とまん延防止等重点措置を、9月30日の期限をもってすべて解除すると発表しました。改めてアフターコロナ、経済活動再開への期待が高まりやすい状況となっており、サービス、消費、旅行など出遅れていたセクターを中心に物色が強まりそうです。

海外投資家は年初からの日本株ポジションを中立に戻した
なお日経平均を31年ぶりの高値に押し上げた背景には海外投資家の買いがあります。海外投資家といえば日本株売買の約6割を占め、その動向が常に注目される投資主体です。

海外投資家はかつて「アベノミクス相場」で湧いた2013年に、日本株(現物)を15兆円買い越したこともありました。ですが、ここ数年は─日本株に対する関心をすっかり無くしてしまったかのように─売り越し基調を続けています。

今年も春以降で売り越し傾向が目立ちました。年初から日米の株式相場を比べると、日本株のパフォーマンスは3月まで米国株に勝っていましたが、4月に米国株に抜かれると、両者の差は広がる一方でした。米国はワクチン接種の開始時期と進捗度合いにおいて先行し、景気回復ペースも非常に速かったのですが、それが日米パフォーマンスの格差に表れていたのでしょう。
海外投資家の日本株売買動向と日米相対チャート
しかしこの1ヵ月に関しては、日本株のパフォーマンスが米国株に急速にキャッチアップしています。この間、海外投資家は4週連続(8/23-9/17)で日本株を、合計約2兆3000億円(現物先物合計)買い越しました。

「持たざるリスク」を意識した海外投資家が、日本株の見直し買いについに動き始めたのでしょうか? 
その可能性はたしかにあるでしょう。ただし、現時点で判断するのはまだ尚早でしょう。

今年これまでのところ、海外投資家の日本株ポジションは1327億円の買い越しにとどまっています。
彼らにしてみれば、夏場にやや売り過ぎだったポジションを、ひとまず中立に戻したに過ぎない、ともいえるのです。

一方、海外投資家がこの先に日本株買いを本格化させていけば、パフォーマンスで日本が米国を抜き返すことは可能でしょう。そのためにも、このたび新たに誕生する政権が、海外投資家に強い訴求力を持つ政策を、スピード感をもって実行していけるかが重要といえそうです。

強気相場と長期政権は親和性が高い
首相の顔ぶれが毎年変わるような不安定な社会状況の下で強気相場が起きにくいことは、小泉政権が終わってから第二次安倍政権が始まるまでの、6年間をみれば明らかです。
一方、株式の強気相場と長期政権は親和性が高い(注2)ことが知られています。この20年で振り返れば、小泉純一郎政権(在任1980日)と安倍晋三政権(第二次・在任2822日)、これら長期政権の下で強気相場がみられました。

9月29日、自民党の新総裁に岸田文雄氏が選出されました。来る衆院総選挙での勝利(少なくとも大敗しないこと)が前提となりますが、今後も金融緩和を維持しつつ、「令和版所得倍増計画」を進め(積極財政)、構造改革にも前向きに取り組むことは、市場からポジティブに受け止められるでしょう。もちろん、小泉政権と安倍政権のときのように、日米同盟関係をより深めることも大切といえます。
日経平均(小泉政権から安倍政権まで)
エリオット波動に基づくと、日経平均は2020年3月安値(16,358円)以来、第➂波の長期強気相場にあり、それは今後数年は続く見通しです。とすれば、持続的な上昇トレンド自体が、岸田政権の支持率を高めることにつながるでしょう。岸田政権はそのスタートから、長期政権となり得る資格を有している、といえるかもしれません(筆者の個人的な見方ですが)。

(注2) ある政権の在任期間が長期化するかを事前に予想することは不可能に近く、長期政権が強気相場の理由とはなり得ません。話の順番としては逆で、強気相場の継続こそが政権長期化の鍵を握る、とエリオット論者は考えます。

一般的にいって、強気相場に「幸運にも巡り合えた」政権の人気は高くなります。第二次安倍政権が誕生した2012年末というのは、マーケットサイクル的に長期の円安・株高トレンドがまさに始まろうとしていたときでした。

一方、弱気相場の中での政権というのは、国民からの支持を得られにくくなります。
第一次安倍政権(2006年9月26日~2007年8月27日)が1年足らずで終わった理由は、安倍氏の健康問題でした。しかし仮にそのまま続投していたとしても、おそらく長期政権にはならなかったでしょう。時期的にみると第一次政権終盤の2007年6月から大幅な円高・株安トレンドに入り、市場の不安心理が高まりました。そして2008年9月のリーマン危機で世界がパニックとなります。これら重大なリスクの発生は政権にとっては不可抗力といえます。しかし大弱気相場の中で国民の不満は高まり、政権交代を望む声が大きくなっていたことは容易に想像がつきます。

エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。


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