エリオット波動・宮田レポート(マンスリー・フォーカス) ※5月26日更新

2021/05/26 12:21

宮田エリオット波動レポート(マンスリー・フォーカス)

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【日経平均】
日経平均予想1株利益が初めて2000円に乗せました。日本株相場は、「理想買い」から「現実買い」へステージが一段上がり始めたとみられます。

今後はワクチン接種の広がりで新型コロナ禍後の視界が開けてくることに伴い、企業の業績予想は強気になっていくことが期待されます。大きなペントアップ(繰り越し)需要も起きる可能性もあります。

日経平均の年内34,000円到達は、チャート面からもファンダメンタルズ面からも、射程圏内と思われます。

<日経平均>
日経平均と予想EPS(チャート)
「K字型」の企業決算
東京証券取引所に上場する企業の昨年度決算発表がほぼ終わりました。新型コロナ禍の影響が長期化する中で、いち早く景気回復に入った米中への輸出が好調な電機、自動車、半導体関連などの「製造業」、巣ごもり需要、テレワーク進展などが追い風となった「ゲーム」「情報通信業」などには増益決算が目立ちました。その一方、移動の制限、時短営業などの向かい風を受けた航空、鉄道、百貨店、外食など「非製造業」は振るいませんでした。このように、今回は業種によって二極化が鮮明な「K字型」決算だったと指摘されています。

日経平均予想1株利益が初の2000円乗せ、日経平均に割安感
何はともあれ、市場参加者の目線は名実ともに22年3月期以降に移りました。ここで注目すべきことは、22年度の日経平均予想1株利益(EPS)が初めて2000円に乗せたことです。

5月19日時点でみると、この日の日経平均終値は28,044.45円、予想EPSは2011円、同PERは13.94倍、益回り(PERの逆数)は7.17%、PBRは1.21倍です。なお5月25日時点の予想EPSは2055円に増えています。

「理想買い」から「現実買い」へ
いうまでもなく、昨年はコロナ禍で経済が大きく落ち込みましたが、そんな中での株高基調については懐疑的な見方が支配的で、中身のない「バブル」との指摘が少なからず存在しました。

しかし筆者は2020年3月からを典型的な「不景気の株高」局面と位置付け、ファンダメンタルズの回復はいずれ後から付いてくる、という見方を一貫してきました。今になって漸く、これまでの株高がファンダメンタルズ面から正当化されつつあります。日本株相場は「理想買い」から「現実買い」へ、ステージが一段上がり始めたといえましょう。

およそ4ヵ月前の2月1日、日経平均終値は現在(5/19)とほぼ同じ水準(28,091円)でした。このときの予想EPSは1112円、PERは25.26倍、益回りは3.95%、PBRは1.23倍でした。当時と比較して現在の日経平均は指標面で割安といえます。もちろん、バブルでもありません。

新型コロナ禍後の視界が開けてくることに伴い企業の業績予想は強気に
例年、期初における企業の業績予想は保守的になりやすいものですが─新型コロナ禍の先行き状況がまだ読み切れない中では尚更でしょう─今後はワクチン接種の広がりでコロナ後の視界が開けてくることに伴い、企業の業績予想は強気になっていくことが期待されます。

加えて、筆者の予想通り円安基調が鮮明になれば、業績予想が一段と上振れる可能性もありそうです。

ファンダメンタルズからも日経平均の34,000円前後は射程圏内
試みに、今期は10%~15%増益が見込まれるとしましょう。現在のEPS(キリの良い数字で2000円とします)は2200~2300円に増えます。PERが今と変わらず14倍でも、日経平均は30,800~32,200円となり、今年の高値を更新することになります。仮にPER15倍まで日経平均が上昇すれば─この水準でも依然割安と思われますが─日経平均は33,000~34,500円になる計算です。

なおリーマンショック後でみると、日経平均PBRの下限は0.81倍、上限は1.55倍でした。足元の日経平均1株純資産(PBR1倍の水準)は23,200円程度ですから、仮にPBR1.5倍まで買われると34,800円(=23,200円x1.5)になる計算です。

試算ではありますが、まずは順当な予想ではないでしょうか。このようにチャート面からもファンダメンタルズの面からも、日経平均の年内34,000円到達は射程圏内と思われます。

マネーストックと日経平均
チャート、ファンダメンタルズ、これらに加えて日本株相場に対する強気材料として期待できるものがあります。それは潤沢な流動性が戻ってくる可能性のことです。

ここでマネーストック(通貨供給量)の代表的な指標であるM3(現金、銀行などの預金)をみてみましょう。それはコロナショック後の3ヵ月間(2020年4月~6月)で合計63兆2000億円も増加しました。この期間に1人当たり10万円の特別定額給付金(昨年4月に支給決定)が行き渡ったことが伺えます。

市中のお金が急増したことは、株式相場にとって追い風となりました。典型的な需給相場となり、日経平均は昨年3月安値(16,358円)から6月高値(23,185円)まで6,800円余り上昇したのです。

もっとも特別給付金の支給後は、M3の増え方は次第に減速していきます。昨年7月~9月の3ヵ月では22兆8000億円、10月~12月は16兆1000億円、そして今年1~3月は7兆4000億円の増加にとどまりました。

とりわけ今年2月M3の月中平均残高は、(季節要因があるとはいえ)1年ぶりに減少しました。市中のお金の増加に急ブレーキがかかったことと、日経平均が2月高値(30,714円)以降で上値が重くなっていることは、偶然とは言えないでしょう。

しかし再び風向きは変わり始めました。3月のM3は2ヵ月ぶりに増加(4兆1000億円増)に転じ、続く4月には18兆6000億円の大幅増加。月中平均残高は統計開始以降で初の1500兆円台(1508兆2000億円)に乗せています。

これは新型コロナウィルス感染の拡大が再び懸念され、預金を積み上げる動きが強まったためとされています(実際4月25日から、昨年から3回目となる緊急事態宣言が発令されました)。そしてこのような預金の増加はある程度、消費が大きく落ち込んでいることの裏返しであることは否定できません。

大きく増えた現預金はペントアップ需要の待機資金に!?
しかし、ネガティブ要因ばかりではありません。大きく増加した現預金は、「コロナ後に期待されるペントアップ(繰り越し)需要の待機資金」とポジティブに捉えることもできるのです。

対象者向けにワクチンの大規模接種が始まり、いよいよ日本でもコロナ後の世界が視野に入り始めました。コロナ後には、これまで長く抑えられてきた人々の消費行動が急激に活発化することが期待されます。そのような明るい近未来を、株式相場は先取りしていく可能性が高いでしょう。

もしも需給面の追い風が再び吹き始めたのであれば、日経平均は3ヵ月間続いた高値保ち合い局面から、いつ上放れてもおかしくありません。大いに注目したいところです。

マネーストックM3の推移チャート


エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。



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