エリオット波動・宮田レポート(マンスリー・フォーカス) ※4月30日更新

2021/04/30 08:44

宮田エリオット波動レポート(マンスリー・フォーカス)

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【日経平均】
2008年から日経平均はスーパーサイクル上昇期にあり、それは概ねコンドラチェフ・サイクルの上昇期に同期すると考えられます。

2020年3月頃からは、短中期の複数の景気サイクルが始まると共に、それらと同期する複数のエリオット波動サイクルも上昇期に入ったと捉えられます。

短期の景気サイクルとエリオット波動を照らし合わせてみると、2020年3月からの強気相場は2022年半ばから2023年3月頃まで続く可能性があります。そのときまでに日経平均は4万円を付けているかもしれません。

<日経平均>
エリオット スーパーサイクル コンドラチェフ・サイクル
コンドラチェフ・サイクルと日本株
本レポートNO.1(2020/11/30)で、日本株相場の超長期エリオット波動を解説しました。上グラフは東証開所以来の日本株相場の動向とエリオット波動のカウントです。
2008年から日経平均はスーパーサイクル段階の上昇トレンド第(V)波にあり、それは2050年前後まで続く可能性があるとみています。そしてこの第(V)波は、日本の近代経済史上3番目のコンドラチェフ・サイクル(超長期の景気循環)の上昇期と、相当期間リンクすることになるとみています。

長短4つの景気サイクルと、対応するエリオット波動
➀コンドラチェフ・サイクル(超長期循環=50~60年周期)
このサイクルが起きる理由には諸説ありますが、そのひとつが技術革新(イノベーション)説です。
今回のコンドラチェフ・サイクルを引き起こす、重要なキーワードは「IT産業革命」でしょう。
コンドラチェフ・サイクルは、エリオット波動では「スーパーサイクル」段階に相当します。

➁クズネッツ・サイクル(長期循環=20~22年周期)
建設投資循環とも呼ばれます。※この部分に対応するエリオット波動段階は特にありません。

➂ジュグラー・サイクル(中期循環=10~11年周期)
設備投資循環、メジャーサイクルとも呼ばれ、エリオット波動では「サイクル」段階に相当します。
相場の長期トレンドを考察する上で、もっとも重視すべきサイクルといえるでしょう。

➃キッチン・サイクル(短期循環=3~4年周期)
 企業の在庫循環であり、エリオット波動では「プライマリー」という段階に相当します。

これらを踏まえた上で、ここからは現在の景気サイクルと日本株相場の現在位置を見極めると共に、今後の展開を探っていきたいと思います。
※景気循環論には、長期の景気サイクルが始まると同時に、より短期のサイクルが(時計仕掛けのように)機械的に始まる、という基本原則はありません。例えば日本の場合、戦後のコンドラチェフ・サイクルの開始点とクズネッツ・サイクルの開始点の間には、5年程度の時間差があったと考えられています。一方エリオット波動においては、長期波動が始まるときに、他すべての短期波動が始まる、と考えます。この点は景気サイクルの考え方と大きく異なります。また景気サイクルの谷と山は、株価の安値と高値と厳密に一致しません。
本レポートはエリオット波動をベースに考察するため、以下の文章と図表上では便宜的に景気サイクル始点を一致させています。また、景気の谷は株価の安値に、景気の山は高値に対応させています。したがいまして、本レポートで取り上げる景気サイクルは、専門家の見解とは異なることを予めお断りしておきます。

世界景気は回復期に
日・米・欧・中の製造業PMI(購買担当者景気指数)─GDPとも強い関係があります─を見てみましょう(下グラフ)。2008年のリーマン破たんをきっかけに発生した、「100年に一度」といわれた世界金融危機の頃(2009年第1四半期頃)に世界のPMIは大底を打ちました。それ以来、「景気回復+後退」がおよそ3~4年周期で起きていますが、それらはキッチン・サイクルに相当するとみることができそうです。

「アベノミクス相場」は世界景気の回復とほぼ同時に始まった
ちなみに、第二次安倍政権下で起きたダイナミックな円安・株高局面、いわゆる「アベノミクス相場」は2012年師走総選挙の直前から始まったとされています。

グラフを確認していただきたいのですが、第二次安倍政権が発足した時期は、まさにこれから世界景気が回復期に入る時期と重なっていたことがわかります。また当時はエリオット波動の観点から、長期の円安トレンドと日経平均の強気相場・第(3)波がいよいよスタートするタイミングでもあったのです。このように、ある意味で幸運な偶然が重なるなか、第二次安倍政権は誕生したのでした。

株式が強気相場で景気が好調のとき、内閣支持率は高くなる傾向が強くなります。実際、2012年12月から始まった景気回復は2018年10月まで71ヵ月(戦後2番目の長さ)も続き、安倍首相の連続在任日数は歴代最長になりました。

2020年第2四半期以来、短期・中期の景気サイクルが上昇期に
足元の話に移りましょう。新型コロナショックで大きく落ち込んだ世界のPMIですが、2020年第2四半期に大底を付けたことが、グラフ上ではっきりと確認できます。
このとき、2018年11月から縮小していた日本の景気も底打ちしました(もっとも日本の回復は他に比べ見劣りしています。その理由のひとつとして、2019年10月の消費増税の影響が尾を引いている可能性が考えられます。

さて今回の景気の底打ち時期に関しては、キッチン・サイクルから説明することが可能でしょう。前のキッチン・サイクルの谷が2016年ですから、(コロナ禍がなかったとしても)いずれ2020年のどこかの時点から景気は回復を始めていたと思われます。

ところが今回はコロナ禍という、まったく想定外のことがあり、(ロックダウンなどを受けて)世界中で経済活動に急ブレーキがかかりました。その結果、世界の景気は2008年リーマン危機を端緒とする世界金融危機以来の落ち込みを示したのです。

景気サイクルはリーマン危機のどん底からおよそ12年後に、再び深淵な底を付けたわけです。これを一つのジュグラー・サイクルと見なすことができるのではないか、というのが筆者の仮説です。

リーマン危機後の景気回復には時間がかかりました。しかし新型コロナワクチン接種が広がる中、景気回復は相当早くなると期待されています。リーマン危機当時と異なり、現在は流動性危機に対する懸念はなく、多くの企業が過剰債務を抱えているわけでもありません。積極的な金融・財政政策によって潤沢な(過剰な)流動性が既に供給されており─今後も必要に応じて流動性供給は続くでしょう─今回の景気の回復は大型化・長期化する可能性さえあります。そして過剰流動性相場も、長く続くことが期待できそうです。

(出所) Bloombergより筆者作成
キッチン・サイクル 米国ISM 日銀短観
日経平均月足チャート サイクル 対数チャート
2008年以来の景気サイクルと日経平均を対応させる
上チャートは、景気サイクルと日経平均を対応させたものです。
コンドラチェフ、クズネッツ、これら二つのサイクルは拡大期にあるとみられ、日経平均が長期的に強気相場であるという見方をサポートします。

2008年から2020年にかけてのジュグラー・サイクルは、日経平均ではサイクル級の第➀波と第➁波に相当するとみられます。この見方からすると、2020年3月以来新たなジュグラー・サイクル(2008年以降で二番目)に入っていることになります。日経平均はサイクル級の第➂波がスタートしてから1年と少しが経過したところです。

サイクル級第➀波の強気相場は通算10年間続きました。エリオット波動理論によると、第➂波は第➀波と同期間か、あるいはそれより長い期間になる傾向が強いとされます。すると、第➂波自体は2030年頃まで続くことが期待できることになります。

最後に短期のキッチン・サイクルと、日経平均のプライマリー波動を考えてみましょう。
2008年から2020年までに、3つのキッチン・サイクルが確認できます。

これらに日経平均を対応させてみると次のようになります。

(キッチン・サイクル)                    (対応する日経平均の波動)
➀2008年10月~2012年6月             第(1)波…6994円(08/10/28)→11,408円(10/4/5)
   (3年8ヵ月)                   →第(2)波…8238円(12/6/4)
                           ※第(1)波の上昇期間は75週間(1年5ヵ月)

➁2012年6月~2016年6月              第(3)波…8238円(12/6/4)→20,952円(15/6/24)
    (4年)                     →第(4)波…14,864円(16/6/24)
                           ※第(3)波の上昇期間は159週間(3年)

➂2016年6月~2020年3月              第(5)波…14,864円(16/6/24)→24,448円(18/10/2)
   (3年9ヵ月)                   →第➁波…16,358円(20/3/19)
                                                                                              ※第(5)波の上昇期間は119週間(2年3ヵ月)

2020年3月以来のキッチン・サイクルは、2023年秋~24年春に終了するとみられます(2020年3月から、3年8ヵ月~4年後)。そしてこのサイクルは、強気相場と弱気相場を基本的には一つずつ含むことになるでしょう。

ところで筆者は2023-24年にかけて米ドル/円の上昇トレンドを予想しています。仮にこの予想が正しいのであれば、循環的要因に円安要因がプラスされることになり、今から2023年にかけて国内景気は大きく回復していくというイメージが湧いてきます。

そのような状況の下、今回のキッチン・サイクル形状は、上記の局面➁・➂のように、右肩上がり(始点から山までの期間が、山から谷までの期間より長くなる)になる可能性があります。
上記のように、日経平均はキッチン・サイクル➁で3年間、➂では2年3ヵ月、各々上昇しました。
ここからすると、2020年3月からの強気相場は2022年半ばまで、あるいは2023年3月頃まで、続く可能性があります。そしてそのときまでに、日経平均は4万円を付けているかもしれません。
今後の展開に大いに期待したいところです。

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本書の第5章【これからの日本の相場を読む 今井澂・宮田直彦対談】では、筆者も少しお手伝いをさせて頂きました。皆様にご一読を賜れば幸いです。

エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。




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