エリオット波動・宮田レポート(マンスリー・フォーカス) ※2月24日更新

2021/02/24 10:28

宮田エリオット波動レポート(マンスリー・フォーカス)

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【日経平均】
2月はエポックメイキングな動きがみられました。日経平均3万円台回復と合わせ、TOPIXは2018年1月高値を上回りました。この動きにより、日本株市場の長期強気相場入りが改めて確認できた、といえるでしょう。

加えて「旧TOPIX」が長期チャートの節目を上回り始めたことも、日本株全般に対しての強気見通しを強めるものです。既に示現している120ヵ月(10年)MAと240ヵ月(20年)MAの史上初のゴールデンクロスは、「失われた20年(30年という見方も)」時代の終焉と、日本株のスーパーサイクル上昇トレンド進行を証左するものと考えられます。

なお指標面からもテクニカル面からも、現在の株高をバブルとはいえないでしょう。
日経平均の2020年3月からの上昇③波中、第(1)波はまだ続いており、3万2000円処も射程圏とみられます。

<日経平均>

日経平均とTOPIXの両翼が揃った
日本株関連で今月(2月)最大のニュースは、何と言っても日経平均が30年半ぶりに3万円台を回復したことでしょう。しかし見落としてならないのは─ほとんど報じられていませんが─TOPIXが2018年1月高値(1911)を上回ったことです。

昨年10月に日経平均は約30年ぶり高値まで上昇しましたが、東証1部全体を表すTOPIXは最近まで2018年高値より下の水準にとどまり、日経平均ばかり強さが目立つ、いわば「片翼飛行」の状態が続いていました。

内閣府によれば、2012年11月からの景気回復局面(戦後2番目の長さ)が終わったのは2018年10月です。これは日経平均がリーマン危機以降の戻り最高値(当時、24,448円)を付けたのと同じタイミングです。一方、日経平均より9ヵ月前(2018年1月)にTOPIXは高値を付けていました。「株式は景気の先行指標」といわれますが、当時TOPIXは、景気の先行指標としての役割をまさに発揮していたのです。

翻って現在、TOPIXが2018年高値を抜いたことにより、日経平均とTOPIXの両翼がようやく揃ったことになります。今回のTOPIXの高値更新は、2020年第2四半期を底に景気回復期が進行しているという見方を改めて裏付けており、日本株市場の長期強気相場入りを再確認できた、といえるでしょう。

これまで日本株市場では、半導体関連株をはじめとするハイテク株、グロース株などへの物色(日経平均型の物色)が強かったですが、今後は出遅れ内需株や金融株、バリュー株などへ、物色の広がりが期待できそうです。

黄金分割の節目を上回り始めた「旧TOPIX」
このように2021年2月というのは、日経平均やTOPIXなどにエポックメイキングな動きがみられた月でした。同様のことは「旧TOPIX」(現行TOPIXと異なり、一貫して同じ基準で算出されておりデータ連続性が担保されている)にも当てはまります。

2017年10月に旧TOPIXは、1990年代前半からの上値抵抗レベル(1760-1800)を上回りました。それは、日本株長期停滞の終わりと新たな強気相場の始まりを強く予感させるものでした。

その頃から3年以上の時を経た今年2月、旧TOPIXは1989年高値から2009年安値までの下落に対し、61.8%戻り水準(2055)という長期のチャート節目をついに上回り始めました。これもまた、日本株全般に関する強気見通しを強めています。

長期にわたる上値抵抗レベルは、「第3波」によってブレイクされることが多いのです。したがって、旧TOPIXの2020年3月以降の上昇を「第➂波」とカウントするのは適当でしょう。
なおTOPIXでみると、1989年高値からの下落に対する61.8%戻り水準(2048)までにはまだ少し距離があります(直近の高値は2月16日の1974です)。


長期ゴールデンクロスの意味するもの
さて日経平均についてです。2018年2月に、120ヵ月(10年)と240ヵ月(20年)の移動平均線(MA)が、バブル経済崩壊後で初めてのゴールデンクロスを形成したことは前に書きました(本レポートNo.1、2020年11月30日発行)が、今回はもう少し詳しくみてみましょう。

日経平均の算出は1949年5月からですから、10年MAと20年MAの開始は、各々1959年と1969年からです。10年MAは1969年以降、30年以上にわたって20年MAを上回って推移していました。

ところがITバブル天井からおよそ1年後(2001年4月)、10年MAと20年MAが交差し、日経平均「史上初」のデッドクロスが示現しました。それ以降は、どんなに頑張っても日経平均の上値は20年MAまででした。リーマン・ショックで急落する前、2007年2月に付けた高値18,300円は、ほぼ20年MAの水準だったのです。
日経平均がようやく20年MAを上抜けたのは2013年9月のことです。日経平均が20年MAを下回った2000年5月からは、実に13年4カ月が経過していました。
そして2018年2月には、10年MAと20年MAが「史上初のゴールデンクロス」を形成します。この長期的な強気シグナルは、「失われた20年(30年という見方もあるようです)」時代の終焉はもちろん、日本株のスーパーサイクル上昇波が進行していることを、証左するものといえましょう。

バブルとはいえない
ところで現在の株高を指して、「バブル」という見方が少なからずあるようです。たしかに短期的な上昇過熱感がないとはいえませんが、バブルとはいえない、と筆者は考えています。

バブルを「実際の経済の状況や業績に比べ、資産価格が著しく上方かい離した状態」と定義しましょう。
この定義に沿えば、日経平均PERが60倍を超えていた1989年後半や、100倍を上回っていた1999年後半~2000年などは、正真正銘のバブルでした。
翻って現在の日経平均の予想PERは22倍を上回る程度です。たしかに過去3年平均(15.4倍)に比べれば高めですが、バブルというほど極端な水準ではありません。

次に、日経平均が長期移動平均線からどの程度かい離しているかを見てみましょう。現在、日経平均は20年MAから106%、10年MAから74%、上方かい離しています。これらかい離は約30年ぶりの大きさであり、直感的には上がり過ぎという印象を受けるかもしれません。
では実際に、日経平均が長期的に上がり過ぎかというと、そんなことはありません。1970年から1989年までの30年、日経平均は20年MAから100%-290%かい離するのが当たり前でした。
現在の水準は、当時のレンジの下限水準に過ぎません。また、10年MAからのかい離にしても、かつては150%を上回ることが珍しくありませんでした。

試みに、現在の20年MAから290%上方かい離したときの日経平均は5万7000円程度、10年MAから150%かい離すると4万4000円程度になる計算です。これらは試算値に過ぎませんが、それにしても、現在は「バブル」の水準にはほど遠いと思われます。


日経平均3万2000円が射程圏に
さて日経平均の足元の状況についてですが、2020年3月安値(16,358円)からの上昇③波中、第(1)波はまだ続いているとみています。第(1)波の高値として3万2000円処も射程圏とみられます。1989年高値から2008年安値までの下げに対する78.6%戻り(√0.618)が32,117円です。


「5波の5波」延長
最近のマーケット見通し(短期アップデート)で指摘しているように、日経平均は昨年12月安値から「5波の5波」が延長(extension)しているようです。

本来、上昇トレンドは5波構成が原則ですが、「5波の延長」が起きると9波動になります。さらに「5波の5波延長」ともなると、上昇トレンドは合計13波動構成になります。

現時点での波動位置は、2020年3月安値から数えて「第11波」が終わりつつあるか、終わったところと思われます(下図、下矢印を付けた箇所)。そうだとすると、短期的には「第12波」の調整があるものの、さらに「第13波」の上昇が控えていることになります。3万2000円が射程圏としたのは、そのためです。

ただし今後の状況によっては見方が変わることがありますので、最新の波動カウントについては、今後のレポートも併せてお読みください。



エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。



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