エリオット波動・宮田レポート(マンスリー・フォーカス) ※1月29日更新

2021/01/29 08:18

宮田エリオット波動レポート(マンスリー・フォーカス)

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【米ドル/円】
変動相場制移行後のチャートは、教科書的なエリオット波動パターンを示してきました。
それによれば、2011年10月の75.350円からは長期円安時代に移っており、5年半続いた保ち合い(トライアングル)後にはドル高・円安トレンドが再開するでしょう。ドル高・円安トレンドは差し当たり、8年サイクルが巡る2023年頃まで続くと思われます。

<米ドル/円>


変動相場制移行後のエリオット波動カウント
ニクソンショック(1971年)以降、円相場はそれまでの1ドル=360円の固定相場制から変動相場制に移行しました。以来、米ドル/円のチャートは、教科書的なエリオット波動のパターンを示してきました。
波動カウントは次の通りです。

第(Ⅰ)波終点=177.050円(1978年10月)
第(Ⅱ)波終点=277.450円(1982年10月)
第(Ⅲ)波終点=79.750円(1995年4月)
第(Ⅳ)波終点=124.140円(2007年6月)
第(Ⅴ)波終点=75.350円(2011年10月)

オルタネーション
エリオットは「オルタネーション(Alternation)」ということを指摘しています。それによると第2波は「ジグザグ」に代表される単純な形状になりやすく、それに替わって第4波では複雑なパターンが形成されやすい、とされます。米ドル/円の第(Ⅱ)波は4年間続き、パターンは単純なジグザグ(A-B-C)でした。オルタネーションに基づき、第(Ⅳ)波は複雑なパターンになることが想定されました。複雑なパターンで代表的なものは「シンメトリカル(対称)・トライアングル」であり、それは長く続く保ち合い相場です(トレンド性が失われます)。そして実際、第(Ⅳ)波は通算12年も続くシンメトリカル・トライアングル(A-B-C-D-E)を形成したのです。

シンメトリカル・トライアングルは、トレンド転換パターンではなく、継続パターンです。つまりトライアングル前後で相場の方向性は同じです。
これに基づき筆者は2007年6月に、トライアングル完成後に円高トレンドが再開し、5年以内を目途に史上最高値の更新があり得ると予想しました。そしてこの予想は現実になりました。円相場は2011年10月に1ドル=75.350円という最高値を付けたのです。

40年の円高が終了し長期円安時代へ
これまで主要な円高のピークは16.5年おきに付けています。第(Ⅰ)波の円相場高値時点(1978年10月)から第(Ⅲ)波の高値時点(1995年4月)までが16.5年(198ヵ月)、そこからちょうど16.5年後(2011年10月)が、第(Ⅴ)波が終了したタイミングです。この16.5年サイクルが今後も有効とすれば、次の主要な円高ピークは2028年(2011年10月+16.5年)と予想できます。



話を戻しましょう。2011年10月の75.350円を以て、変動相場制移行後40年続いた大円高時代は終了し、長期円安時代に移ったというのが筆者の考えです。
2011年10月からの波動カウントは次のようになります。

(A)波=75.350円から125.860円(2015年6月)まで
(B)波=125.860円から102.590円(2021年1月6日)まで?

(B)波はシンメトリカル・トライアングル(A-B-C-D-E)を形成しています。第(Ⅳ)波と同じパターンですが、方向性が逆です。第(Ⅳ)波トライアングルが従前の円高トレンドを継承したのに対し、(B)波に形成されたトライアングルは円安トレンドを継承していくことになるわけです。

第(Ⅳ)波が終わりに近づいていた2007年前半には、「ミセス・ワタナベ」による円キャリートレード(低金利の円を売り、高金利通貨を買う)が盛んに行われていました。この頃は「円安は構造要因」とされ、多くの市場参加者が円高リスクを軽んじていました。
それを反映して当時、シカゴ通貨先物市場でのドル買い・円売りポジションは過去最大規模に膨らんでいたのです。4年半続く円高トレンドが始まったのは間もなくのことでした。

翻って現在、(B)波のトライアングルが5年半も続いた上に、昨年からの新型コロナ禍もあって、「今後も米ドル/円は基本的に余り動かない通貨」、「動くとしたら円高方向」、などといった見方が強まり、少なくとも2020年末時点では円安シナリオが論じられることはほとんどありませんでした。こういった見方を映し、足元の円買い・ドル売りポジションは4年ぶりの大きさです。
米ドル/円が(円安方向へ)動意付き始める環境は、整いつつあると考えます。


2023年へ向けてのドル高・円安が始まるか
(B)波に続いて起きるドル高・円安トレンドは(C)波とカウントされ、それは(A)波終点の水準である125.860円を突破する、円安トレンドとみられます。

過去、主要な円安値はほぼ8年周期で付けてきました。前回の8年サイクルは2007年6月(124.140円)から2015年6月(125.860円)までの期間、ちょうど8年でした。
8年サイクルが今後も有効であるなら、次の円安値(それはおそらく(C)波の終点)は2023年(=2015年+8年)のどこかで付けることになるでしょう。


エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。



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