エリオット波動・宮田レポート(マンスリー・フォーカス) ※12月30日更新

2020/12/30 10:45

宮田エリオット波動レポート(マンスリー・フォーカス)

PDFはこちら


11月30日発行の「宮田直彦のエリオット波動レポート」(No.1)の副題は「長期見通し」でしたが、本号(No.2)から「マンスリー・フォーカス」に統一します。「マンスリー・フォーカス」では、その時々の要注目マーケットを取り上げ、見通しを紹介します。

【日経平均】
2020年の日経平均はコロナ・ショックで3月に16,358円まで下げました。このとき付けた日経平均PBR(0.82倍)はリーマン危機(0.81倍)に匹敵します。この日経平均PBR・0.8倍程度という水準は、「100年に一度の危機」における下限とみてよさそうです。

2021年の株式相場は、2020年3月以降の株高に伴い膨らんだ、将来への過剰な期待感が、いったんはく落する年になるでしょう。「景気二番底」への懸念から日経平均は第(2)波の調整局面となり、年央から秋に24,500円や、23,000円へ下押す可能性がありますが、その後は持ち直す展開でしょう(メインシナリオ)。

一方、TOPIXが2018年高値(1911.31)を年前半に上回ると、日経平均は早ければ年央にも30,000円に達する可能性があるでしょう。ただこの場合は年後半に、2022年の景気減速を織り込む調整がありそうです(サブシナリオ)。

<日経平均>




2020年を振り返る
新型コロナ禍に見舞われた2020年、日経平均は上下に激しく動きました。世界景気回復への期待から、1月から2月下旬までは23,000~24,000円の高値圏で推移しましたが、2月末のコロナ・ショックで状況は一変。まさに落ちるナイフのように日経平均は急落し、3月19日には2016年11月以来の安値水準・16,358円を付けました。

日経平均のPBR(株価純資産倍率)は解散価値といわれる1倍を大きく下回り、最終的には0.82倍まで下げてようやく底打ちしました(3/16)。この水準は、リーマン危機当時に記録した過去最小値0.81倍とほぼ同じです。

リーマン危機に伴う世界金融危機も、今回の新型コロナ・パンデミックも、「100年に一度」級のショックですが、いずれのケースも日経平均PBRが同水準で底打ちしたことに注目しています。将来、何らかの「100年に一度級ショック」がまた起こったとき─そう頻繁に起こってもらっては困りますが─日経平均PBR=0.8倍付近を下げの限界と考えて良いのではないでしょうか。ちなみに現時点の試算ですが、PBRが0.8倍のときの日経平均水準は18,000円程度。今年(2020年)3月の安値を大きく上回ります。

日経平均は3月に4年サイクル安値を付け(本レポートNO.1参照)、そこからはV字型急回復となりました。新型コロナ禍で景気・業績が一気に冷え込む中、多くの市場関係者は株高の持続性に懐疑的でしたが、現実に起こったことは、筆者が一貫して主張していた「不景気の株高」でした。

日経平均は11月の米大統領選から一段と騰勢を強め、2018年以降で3度試して抜けなかった24,000円台前半を、「4度目の正直」でついに抜き去ることに成功します。TOPIXは2018年1月高値(1911.31)をまだ上回ってはいませんが、日経平均の方は「掉尾の一振」で12月29日に27,000円台を回復。30年4カ月ぶり高値となりました。日経平均の3月安値からの上昇幅は実に1万1000円超と、年間値幅として過去最大を記録しています。

なお、既に日経500平均は、今年9月に1989年高値を上回り、史上最高値を更新しています。日経500平均の強い動きは、日経平均、TOPIXの大強気相場を先取りしているといえましょう。



2021年の調整リスク
ところで2020年4月に街角景気・先行き判断DI(季節調整後)は、16.6という低水準を記録しましたが、これはリーマン危機当時の水準(21.3、2018年12月)をも下回るものでした。PBRといい街角景気といい、改めて日経平均の2020年3月安値は「10年に一度あるかないかの大底」だった、と呼べるでしょう。

もっとも、景気の先行きには不透明感が漂っています。11月の先行き判断DIは4カ月ぶりに悪化、36.5へ大きく低下しました。筆者は、景況感が4月に大底を付けたこと自体を疑ってはいませんし、7月からは景気回復基調に入った可能性が高いと思います。しかし一方で景気回復の鈍さは気になります。新型コロナ禍の状況によっては、2021年は景気の二番底に対する懸念が台頭しておかしくないでしょう。



エリオット波動分析
日経平均は3月安値(16,358円)を以て、2018年以来の調整局面(プライマリー級➁波)を完了し、そこからはプライマリー級➂波の長期上昇トレンドに入ったとみられます。➂波はいずれ、実体景気の回復を背景に、大きく、長く上がっていく、全員参加型の強気相場となるでしょう。 そして➂波は数年先に、1989年高値38,957円を上回る可能性があるでしょう。
ただし➂波は直線状に上げていくわけではなく、途中で相応規模の調整を挟みながら展開していきます。

2021年、日経平均は上昇トレンドの中で最初の調整を迎える可能性
2021年の干支は丑(うし)ですが、相場格言では「丑つまずき」と言われ、この年の日経平均は振るわないというのが経験則です。1950年以降、丑年の平均騰落率は、午(うま)年に次いで2番目に悪い年回りです。2021年には2020年3月以降の株高に伴い大きく膨らんだ将来への過剰な期待感がはく落し、日経平均は長期上昇トレンド➂波中、最初の調整・第(2)波を迎えるのではないでしょうか。

2021年の日経平均メインシナリオ・・・年央から秋にかけて調整も、その後は持ち直し
実質新年相場入りの12月29日、日経平均は注目チャート節目である27,000円処(1989 年高値から 2008 年安値までの下げに対する 61.8%戻りが26,748円)を上回りました。
もっとも2021年前半の日経平均は、おそらくは28,300円(1989年~2008年の下げ3分の2戻り)程度で頭打ちでしょう。それを以て、第➂波上昇トレンドにおける最初の高値、つまり第(1)波が終わり、第(2)波の調整局面を迎えると思われます。この調整の理由のひとつはおそらく、景気の腰折れ・二番底懸念と思われます。日経平均は年央から秋にかけて24,500円か、23,000円へ下押す可能性がありますが、その後は持ち直す展開を予想します。



2021年の日経平均サブシナリオ・・・年央にも30,000円に到達(その後は調整リスク高い)
先に書いた通り、TOPIXはまだ2018年高値(1911.31)を上回っていません。しかし今後TOPIXが2018年高値を上抜くと日経平均との両翼が揃うことになり、日本株相場全体が本格的に浮揚することになるでしょう。
ワクチン接種開始で新型コロナ禍の終息がいよいよ現実味を帯びる中、東京五輪開催の効果もあって景気が急回復。好材料が相次ぎ、TOPIXは2018年高値を上回り、市場の強気ムードが過熱していきます。
そんな中で日経平均は、早ければ年央にも30,000円に到達するかもしれません。

ただし、2021年が景気急回復の年とすれば、2022年には大きな反動がやってきそうです。日経平均は2021年後半のどこかの時点から、2022年の景気減速リスクを織り込む局面に、つまり調整局面・第(2)波に入る可能性があります。

このように、2021年の日経平均については、「年央から秋までは調整色濃いが、その後は持ち直し」をメインシナリオとしつつ、「年前半は強いものの、その後は調整リスク高い」をサブシナリオとしています。
さて1年後はどうなっているでしょうか?

2021年の「宮田直彦のエリオット波動レポート」は1月5日(火)より配信いたします。皆様におかれましては、良い年をお迎えください。来年もどうぞ宜しくお願いいたします。


エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。


topへ