エリオット波動・宮田レポート(マンスリー・フォーカス) ※4月28日更新

2022/04/28 10:13

宮田エリオット波動レポート(マンスリー・フォーカス)

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【米ドル/円】
4月20日には一時1ドル=129円台前半と、20年ぶりの米ドル高・円安となりました。筆者は「円高の時代」から「円安の時代」へと、パラダイム・シフトが起きたとみています。

[米ドル/円]

20年ぶりの円安
前回レポート(3/31)で、個人投資家が14通貨に対し過去最大に円を買い越している、というブルームバーグの記事を取り上げました。その続報としてのブルームバーグ記事(4/5)によると、日本の個人投資家は日銀が指値オペを実施した4日間(3/28~31)に円の買い越しポジションを561億円(4億5700億ドル)減らした、と伝えています。このような個人投資家の円買いポジションの踏み上げが、1ドル=125円に一気に跳ね上がった動きの背景にあったようです。

3月に10円以上も上昇した米ドル/円ですが、その勢いは4月も続くことになりました。いわゆる「黒田ライン」の125円処の明確な突破(4/11)に続き、13日には筆者が最大の「ポイント・オブ・レコグニション」として注目していた、125.860円もついにブレイク。20日には一時129円台前半と、20年ぶりの米ドル高・円安水準となりました。わずか1ヵ月半で、およそ15円幅もの米ドル高・円安が進み、心理的節目の1ドル=130円さえ今では指呼の間にあります。

The trend is your friend─基本戦略は米ドル/円の押し目買い
日本で個人FX取引が始まって20年余り。現在の20年ぶりの円安水準は、ほとんどの個人投資家が初めてみるものです。これほど急ピッチな米ドル/円上昇を目の当たりにすると、つい短期的な円高を期待したくもなりますが、値ごろ感に基づく円買いは出来れば控えた方が無難でしょう。

変動相場制に移行しておよそ50年の歴史の中で、40年間は「円高の時代」でした。メイントレンドが円高である以上、その中で行うべきは米ドル/円の売りであり、それがいわばゲームのルールでした。

筆者は「円高の時代」から「円安の時代」へと、パラダイム・シフト(以前の常識が通じない、価値観の大転換)が起きたとみています。ゲームのルールが変わった、ともいえるかもしれません。

テクニカル分析には”The trend is your friend”という、洒落た言い回しがあるのですが、円安トレンドこそは私たちが今後長く付き合うことになるだろう友人です。そんな友人の言葉に耳を傾けながら、この先も米ドル/円についてはトレンド・フォロー戦略と押し目買いに徹するべきでしょう。

円安はチャンス~高まる日本の価格競争力
1985年9月のプラザ合意から2010年代前半にかけて、日本円は購買力平価より円高の状態が続いてきました。「失われた20年」と呼ばれる長期デフレの理由には諸説ありますが、そのひとつに円が実力以上に評価されていたことをあげることができます。

そんな円の過大評価ですが、2014年の中頃に円の実勢レートが購買力平価まで戻ることで、ようやく解消されました。むしろ足元の円の実勢レートは、OECDの購買力平価(現在97円程度)より3割も安くなっており、ここに来て日本の価格競争力が大きく高まっています。このことは、海外のマネーを国内に呼び込む契機になり得ます。

ちなみに日本における高度経済成長(1955年頃~1973年頃)というのは、1ドル=360円という超円安の時代に達成されたものでした。もちろん昔と今を単純に比べることはできませんが、少なくとも現在進行中の円安のプラス面に、もっと目を向けてもいいはずです。

そんな中、株式会社武者リサーチ代表・武者陵司さんの最新刊『「安いニッポン」が日本を大復活させる!』 (WAC BUNKO)は、「円安の時代」を考える上で大変参考になります。

同書で武者さんは、「円安」こそが日本企業の競争力を高め、賃金を押し上げ、優秀な労働力確保を可能にする…それは日本にメガ景気をもたらす、という趣旨のことを述べられ、世にはびこる「悪い円安」という誤った見方を見事に喝破されています。

筆者もまったく同感です。円安は日本にとって大きなチャンスであり、そしてそのような円安環境が、今まさに整ってきているのです。



エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。


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