トルコリラ/円が一時2カ月ぶり安値

2022/05/20 09:15

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・米長期金利の動向に注目。米長期金利の低下は米ドルにとってマイナス材料
・主要国株価が大きく下落するようなら、市場は株価動向を強く意識か
・トルコのインフレ加速や経常赤字の拡大、TCMBの金融政策がトルコリラ安の主因
・26日のTCMB会合の結果次第ではトルコリラ売り圧力は一段と強まる可能性も

(欧米市場レビュー)

19日の欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/円は127.00円、米ドル/カナダドルは1.27791カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.06015ドル、豪ドル/米ドルは0.70671米ドルへと上昇しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が低下し、米ドルに対する下押し圧力となりました。

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SARB(南アフリカ中銀)は0.50%の利上げを行うことを決定。政策金利を4.25%から4.75%へと引き上げました。会合では5人の政策メンバーのうち、4人が0.50%の利上げを支持し、1人は0.25%の利上げを主張しました。

クガニャゴSARB総裁は会合後の会見で、利上げについて「総合CPI(消費者物価指数)上昇率は、SARBのインフレ目標(3~6%)の中間値を大きく上回っており、4-6月期には目標(上限)を超えると予想されるため」と説明。SARBはまた、総合CPI上昇率は22年が5.9%、23年は5.0%、24年は4.7%との見通しを示し、いずれも3月時点(5.8%、4.6%、4.6%)から上方修正しました。

(本日の相場見通し)

本日は、米長期金利や主要国株価の動向に注目です。

FRBの利上げによって米景気が減速するとの懸念が市場で強まっており、米長期金利(10年物国債利回り)は19日に一時2.77%へと低下し(債券価格は上昇)、4月下旬以来の低水準を記録。米株式市場では、主要3株価指数がいずれも下落しました(ダウは前日比0.75%安)。

米長期金利の低下は米ドルにとってマイナス材料であり、米長期金利が一段と低下すれば、米ドルが軟調に推移する可能性があります。米ドル/は、126.884(4/27安値)が目先の下値メドです。

主要国の株価(特に米国)が大きく下落するようなら、市場は米長期金利よりも株価の動向を強く意識するかもしれません。その場合にはリスクオフ(リスク回避)の動きが強まり、米ドル(対円以外)が堅調に推移しそうです。

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トルコリラがこのところ軟調に推移しています。トルコリラは、対米ドルで18日に約5カ月ぶり、対円で19日に一時約2カ月ぶりの安値をつけました。

トルコリラに対して下押し圧力が加わっている主な要因として、トルコのインフレ加速経常赤字の拡大TCMB(トルコ中銀)の金融政策が挙げられます。トルコの4月CPIは前年比69.97%と、上昇率は前月の61.14%から加速し、02年2月以来20年2カ月ぶりの高水準でした。インフレが加速しているにもかかわらず、TCMBは1月以降政策金利を14.00%に据え置いています。TCMBが利上げをしない(できない)のは、低金利を志向するエルドアン大統領の圧力によるものと考えられます。トルコの3月経常収支は55.54億米ドルの赤字と、赤字額は市場予想の53.71億米ドルを上回りました。経常収支が赤字になったのは、5カ月連続です。

トルコリラには引き続き下押し圧力が加わりやすいとみられ、26日のTCMBの政策会合の結果次第では、下押し圧力は一段と強まる可能性があります。

※トルコリラ/円のテクニカル分析は、本日20日の『テクニカル・ポイント』[トルコリラ/円、下落フロー警戒シグナルが出現!]をご覧ください。

TCMBの政策金利とトルコのCPI

トルコの経常収支

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豪総選挙が21日(土)に行われます。その結果次第では、23日(月)の豪ドル相場は「窓開け(月曜日の始値と前週金曜日の終値が乖離すること)」する可能性もあります。

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。


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