トルコリラが急落、TCMBが大幅利下げ

2021/10/22 10:00

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・TCMB(トルコ中銀)は2.00%の利下げを行うことを決定
・エルドアン大統領の影響力の強さが今回の利下げで改めて浮き彫りに!?
・TCMBは年内の利下げ余地は小さいとの見方を示す
・利下げは来年も継続される可能性も

(欧米市場レビュー)

21日の欧米時間の外為市場では、トルコリラが急落。対米ドルや対円で過去最安値を更新しました(トルコリラ/円は一時11.900円へと下落)。TCMB(トルコ中銀)が市場予想(1.00%)を上回る2.00%の利下げを行うことを決定し、トルコリラ安圧力が一段と強まりました。

は堅調に推移。一時、米ドル/円は113.637円、ユーロ/円は132.233円、豪ドル/円は84.847円、NZドル/円は81.232円へと下落しました。中国恒大集団(中国の不動産開発大手)のデフォルト(債務不履行)への懸念があるなか、欧州の主要株価指数やNYダウが軟調に推移したこともあり、市場ではリスクオフ(リスク回避)の動きが強まり、円を支援しました。

(本日の相場見通し)

本日は、ドイツやユーロ圏の10月製造業PMI(購買担当者景気指数)が発表されます。PMIの市場予想はドイツが56.5、ユーロ圏は57.0と、いずれも業況判断の分かれ目である「50」は上回るものの、9月(58.4、58.6)から低下するとみられています。

ドイツとユーロ圏の製造業PMIが市場予想を下回る結果になれば、ユーロ圏の景気減速への懸念からユーロが弱含む可能性があります。ユーロ/英ポンド0.84000ポンド割れを試すかもしれません。

主要国の株価動向にも注目です。主要国株価が軟調に推移すれば、円高材料や米ドル高(対円以外)材料になる可能性があります。

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TCMB(トルコ中銀)は21日に政策会合を開き、2.00%の利下げを行うことを決定。政策金利を18.00%から16.00%へ引き下げました。利下げは2会合連続です。

TCMBは声明で「最近のインフレ高進は、食品価格やエネルギーなどの輸入価格の上昇、供給制約など供給側の要因、経済活動の再開による需要の動向によって引き起こされている」と指摘。一方で、「これらの影響は一時的なもの」との見方を示し、また「引き締め的な金融政策スタンスは、銀行融資に対して想定以上に高い縮小効果をもたらし始めている」と分析。そのうえで、追加利下げの決定を下したと説明しました。

声明は金融政策の先行きについて「供給側の一時的な要因により、年末までの利下げ余地は限られている」との見方を示しました。
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トルコの9月総合CPI(消費者物価指数)は前年比19.58%と、2019年3月以来の高い伸びを記録。食品やエネルギーなど変動の大きい項目を除いたコアCPIは同16.98%と、8月の16.76%から加速しました。

インフレ圧力が高まる中でTCMBは2会合連続で利下げに踏み切り、さらに今回の利下げ幅は前回の1.00%よりも大幅でした。これは、エルドアン・トルコ大統領の金融政策への影響力の強さを改めて示していると言えそうです。TCMBの金融政策への信頼性は一段と損なわれ、独立性をめぐる懸念は一層強まると考えられます。

声明では「年末までの利下げ余地は限られている」との見方が示されました。年内に小幅な利下げが行われる可能性があり、来年も利下げが継続されるとの見方もできます。また、TCMBの金融政策はエルドアン大統領の意向次第で変わるとの懸念もあります。

トルコリラには引き続き下押し圧力が加わりやすいと考えられ、トルコリラ/は一段と下がる可能性があります。

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。


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