米国とカナダの雇用統計、カナダドルは一段高も?

2021/05/07 09:26

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・BOCの金融政策見通しの変化がカナダドル高の背景
・カナダ雇用統計の結果次第でカナダドルは一段と上昇しそう
・米雇用統計を受け、米景気の回復期待は高まるか

(欧米市場レビュー)

6日の欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、ユーロ/米ドルは1.20661ドル、豪ドル/米ドルは0.77833米ドル、ユーロ/円は131.794円、豪ドル/円は84.867円へと上昇しました。米国の新規失業保険申請件数が49.8万件と、市場予想の54.0万件よりも良好な結果だったことや、NYダウが堅調に推移したことを受け、リスク選好の動きが強まり、米ドルや円の重石となりました。

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BOE(英中銀)は政策金利を0.10%に据え置くことを決定。債券購入プログラムについては、規模を8,950億英ポンドに維持しつつも、週間の国債買い入れペースを44億ポンドから33億ポンドへと減額することを決めました。※詳しくは、本日7日の『ファンダメ・ポイント』をご覧ください。

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TCMB(トルコ中銀)も会合を開き、政策金利を19.00%に据え置きました。声明では、4月15日の前回会合時の「金融引き締めスタンスを維持する」との文言を削除。「インフレ率の大幅な低下が達成されるまで、現在の金融政策スタンスを維持する」としました。

声明は一方で、「強力なディスインフレ効果を維持するため、政策金利は引き続きインフレ率を上回る水準に設定する」と改めて示しました。

トルコの4月CPI(消費者物価指数)は前年比17.14%と、2019年5月以来の高水準を記録しました。インフレ圧力が高まっているものの、TCMBは「CPI上昇率は4月にピークに達し、年末には12.2%へと低下する」と予想しています。TCMBは政策金利を当面維持しつつも、次の一手は利下げになる可能性が高いとみられます。早ければ7-9月期にも利下げが開始されるかもしれません。

(本日の相場見通し)

本日、米国の4月雇用統計が発表されます(日本時間21:30)。その結果に市場が反応しそうです。

雇用統計の市場予想は失業率が5.8%、非農業部門雇用者数は前月比97.8万人増。失業率は前月の6.0%から改善し、非農業部門雇用者数は前月の91.6万人から増加ペースが高まるとみられています。

雇用統計が良好な結果になれば、米景気回復への期待が高まりそうです。市場ではリスク選好の動きが強まり、米ドル安(対円以外)や円安の材料になる可能性があります。ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドル、クロス円は堅調に推移するとみられる一方、米ドル/円は比較的落ち着いた値動きになるかもしれません。米ドル/円の目先のメドとして、下値が108.424円(4/29安値)、上値は109.651円(5/3高値)が挙げられます。

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米国と同時刻にカナダの4月雇用統計が発表されます。市場予想は失業率が7.8%、雇用者数が前月比マイナス17.5万人と、ロックダウン(都市封鎖)の影響によって前月(失業率:7.5%、雇用者数:30.31万人)から悪化するとみられています。トロントやオタワがあり同国最大の人口を抱えるオンタリオ州では、4月3日からロックダウンが実施されています。

カナダドルは昨日(6日)、対円で3年4カ月ぶり、対米ドルで3年8カ月ぶりの高値を記録しました。足もとのカナダドル高の背景には、BOC(カナダ中銀)が早ければ来年後半にも利上げする可能性を示したことが挙げられます。BOCは4月21日の会合時の声明で、経済のスラック(需給の緩み)が吸収される時期の見通しを1月時点の「2023年」から「22年後半」へと前倒ししました。また、原油価格が持ち直していることも、カナダドルにとってプラス材料です。

本日発表される雇用統計の結果が市場予想ほど悪くなければ、カナダドルは一段と上昇する可能性があります。カナダドル/円90円台に定着し、さらには91.590円(2017/9高値)を目指す展開になるかもしれません。

カナダドル/円(日足。2021/1/5~5/7)

出所:マネースクエアFXチャート

※カナダドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』をご覧ください。

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。


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