松島新の日刊2分でわかるアメリカアメリカがわかる

地政学リスクでボラティリティ、ウクライナ緊張の背景

2022/01/25 07:13

日刊2分でわかるアメリカ

ロシア軍はウクライナ国境全域に17万人超の部隊を配置。対抗する形でアメリカのバイデン大統領はバルト3国と東ヨーロッパの同盟国へのアメリカ軍派遣を検討。連動する形で北大西洋条約機構(NATO)はウクライナ周辺の艦船や戦闘機の配備を強化すると発表しました。

アメリカとイギリスはウクライナ駐在の大使館職員の家族に退避命令を発出しました。イギリスのジョンソン首相は、ロシアがウクライナの首都キエフを攻撃する「電撃戦争」を計画していると警告。アメリカ政府はロシア軍が一度でもウクライナに足を踏み入れれば、重大な制裁を科すと警告。具体的にはロシアが基軸通貨である米ドルを使えなくする案が検討されています。ロシア政府は、侵攻計画はアメリカと西側同盟国による「でっちあげ」とけん制。緊張状態はキューバ危機以来と言われほど高まりました。

ウクライナは旧ソビエトの優等生でした。資源が豊富で穀物地帯でもあります。ソビエト崩壊後は経済が低迷。ロシアと国境を接するドンバスなど東側の住民の多くはロシア人で、分離独立を目指す動きを2014年から続けています。ロシアは、軍事同盟NATOにウクライナが接近することを恐れ、旧ワルシャワ同盟国からNATOだけではなく、アメリカと近い関係にあるEUも遠ざけたい。これらの背景が国境における事実上の「戦闘態勢」に繋がっているとみられます。モスクワ・タイムズは、東部ドンバスをロシアが占領もしくは部分侵攻シナリオの可能性が高く、全面戦争の可能性は低いと報じました。

ウクライナをめぐる緊張は地政学リスクとして週明けの金融市場で強く意識されました。連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測に加えた不安要因で株式市場のダウ工業株30種平均は一時1115ドル急落しました(終盤に上昇に転じました)。逃避買いで米国債が買われ利回りが低下したものの、「有事の買い」で米ドルは堅調。リスク回避による逃避買いで円は底堅く推移。半面、リスクに敏感な豪ドルなど資源国通貨が売られました。ウクライナをめぐる緊張は当面続く可能性があり、ボラティリティを高める主要な材料の1つになっています。

[January 24,2022] No 031844788

topへ