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困ったアメリカ、実質賃金と実質金利がマイナス

2021/11/11 07:20

日刊2分でわかるアメリカ

アメリカ経済が困った状況に陥りました。連邦準備理事会(FRB)高官やイエレン財務長官は、高インフレが「一時的」もしくは「一時的とみられる」として、いずれ落ち着くと主張していますが、統計は逆方向を示しています。好景気が背景の「好ましいインフレ」ではなく、サプライチェーンの混乱と労働者不足による「悪いインフレ」といえる展開です。

アメリカ労働省が10日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比6.2%上昇。ダウ・ジョーンズがまとめた予想中央値5.9%を上振れました。エネルギーは前年比30%上昇。中古車・トラックは26.4%上昇。レンタカーは39.1%も上がりました。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは、年率換算で4.6%上昇。予想の4%を大幅に上回り1990年以来31年ぶりの高水準を記録しました。

労働省が先週5日に発表した10月雇用統計で、賃金動向を示す指標である平均時給は前年比4.9%上昇しました。それを上回るペースで物価が上昇したので、実質賃金はマイナス。中央銀行の政策金利からインフレ率を引いた実質金利はマイナス幅が拡大しました。

UBSのチーフエコノミストのドノヴァン氏は、生産者物価指数(PPI)は企業が実際に支払った金額で計算するものの、CPIは必ずしもそうでないと指摘しました。アメリカで生活する筆者の印象では、総合物価は前年比6.2%をはるかに上回るペースで高騰しました。

バイデン大統領の支持率が低迷しています。複数の調査で、トランプ前大統領やオバマ元大統領の最低支持率を下回りました。生活を圧迫する高インフレに対する有権者の強い不満が背景にあるとみられます。10月CPIを受け、市場が織り込むFRB利上げ時期は来年7月に前倒しされました。

[NOVEMBER 10,2021] No 031844737

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