2017/11/13
◆要約◆
・日本株が上昇する中でも、米ドル/円の上値が重かったのは、米長期金利の上げ渋りの影響が大きかったのではないか。
・米ドル高・円安が続くかは、あくまで米長期金利が鍵であり、先週後半の米長期金利上昇再開が今週一段と進むかが焦点か。
◆米ドル高は今度も115円を超えられないのか、それとも?
米ドル/円は先週一時114円台後半へ米ドル高・円安が進みましたが、その後は米ドルの上値が重い展開となりました≪資料1参照≫。特に、一時は日経平均が2万3千円を大きく上回ったものの、それに追随する米ドル高・円安の動きは鈍く、その後日経平均が反落に転じると、これには敏感に反応した形での米ドル安・円高となりました。
このような米ドル/円の値動きは、米ドル高・円安が限界に近付いている可能性を感じさせなくもありません。米ドル高・円安は、5、7月にも115円を超えられず反転となりましたが、「二度あることは三度ある」として、今回の米ドル高・円安も結局115円を超えられずに終わってしまうのでしょうか。
これまで何度も述べてきたように、過去一年余り、米ドル/円は日米長期金利(10年債利回り)、特に米長期金利と強い相関関係が続いてきました≪資料2参照≫。そういった米長期金利は、上述のように先週半ばにかけて日経平均が大きく上昇する中でも上げ渋る展開が続きました。その意味では、日本株が上昇する中でも、米ドルの上値が重かったのは、米長期金利の上げ渋りの影響が大きかったのではないでしょうか。
そして、そんな米長期金利は先週後半から上昇が再開し、2.3%から2.4%近辺まで比較的大きく反発となりました。米ドル/円も基本的にそれと連動した形で、113円がサポートされると底堅い展開となりました。
これまでの米ドル/円と米長期金利との相関関係に変わりがないなら、米ドル高・円安が続くかは、あくまで米長期金利が鍵であり、先週後半の米長期金利上昇再開が今週一段と進むかが焦点といえるのではないでしょうか。
米ドル/円は11月も上旬が終わった段階で113-114.69円といった具合に、最大値幅は2円未満にとどまっています≪資料3参照≫。ただし、今年の傾向からみても、月間値幅は少なくとも3円程度には拡大する可能性が高いので、その意味では月末までに値幅は1.5円以上拡大する計算になります。
この値幅拡大が目一杯米ドル高方向なら月末までに米ドル高・円安116円を目指す計算になり、逆に目一杯米ドル安方向なら111円台へ米ドル/円は反落する計算になります。116円への米ドル一段高か、それとも111円台への米ドル反落か。それを決めるのは、先週後半の米長期金利上昇再開が、この先さらに広がるかということではないでしょうか。(了)
≪資料1=米ドル/円日足チャート (2017年6月-)≫
(出所:M2Jチャートより)
≪資料2=米ドル/円と日米10年債利回り差 (2016年10月-)≫
(出所:トムソン・ロイターより作成)
≪資料3=米ドル円の月足チャート (2015年-)≫
(出所:M2Jチャートより)
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※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。
また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。
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