市場調査部レポート

英国議会はブレグジット協定案を否決!?

2018/12/07 13:05

◆ファンダメンタルズ◆
<<相場環境>> 
 来週(12/10- )は、相場のかく乱要因に要注意でしょう。米中貿易交渉の不透明感は強く、株価は神経質な展開が予想されます。米長短金利差の縮小や逆転がみられれば、リセッション(景気後退)懸念が強まるかもしれません。また、11日に英国議会がブレグジット協定案を否決すれば、リスクオフのムードが強まる可能性があります。<西田>

【米ドル(/円)】
 ベージュブック(地区連銀経済報告)では、景気先行きに関する楽観がやや後退。関税、金利上昇、人手不足が背景要因として指摘されました。12月18-19日のFOMCでは利上げが決定される可能性が高そうですが、その後について、市場の利上げ観測は急速に後退しています。7日の雇用統計(本稿執筆時点で未発表)、12日のCPI(消費者物価)14日の小売売上高などを受けて利上げ観測がさらに後退しないか、長短金利差が縮小したり逆転したりしないか、要警戒でしょう。

 6日時点で、FFレート(政策金利)先物が織り込むメインシナリオは、(12/19の利上げを前提としたうえで)「19年は9月に利上げ1回だけ」というものです。なお、来週(12/10-)はFOMC1週間前のブラックアウト期間にあたるため、FRB関係者から材料は出てこないでしょう。<西田>

【ユーロ】
 イタリアの連立政権は、2019年度予算案に関してEUに譲歩する姿勢をみせ始めています。

 イタリア政府は2019年度の財政赤字目標をGDP比2.4%としており、欧州委員会はこれが財政ルールに抵触するとして、下方修正するよう求めています。これまでイタリア政府は修正に応じる姿勢をみせなかったため、EU財務相会合が「過剰赤字プロセス」を発動させて、しかる後にイタリアに罰金を科す可能性がありました。

 ただ、ここへきて、イタリアの交渉担当者がトリア財務相からコンテ首相に代わったと報じられています。また、ディマイオ副首相(「五つ星運動」党首)やサルビーニ副首相(「同盟」党首)は、年金改革の見直しや最低所得保障などの選挙公約を放棄するつもりはないとしつつも、財政赤字目標の修正には柔軟な姿勢をみせ始めています。

 予算案は7日に下院が採決する予定です(本稿執筆時点では未採決)。その後、上院の採決を経て、11日にも欧州委員会に提示されます。欧州委員会が予算案を承認すれば、通貨ユーロにとって悪い材料ではなさそうですが、承認しない、あるいは判断を保留する可能性にも留意する必要はありそうです。

 13日のECB理事会では、QEの年内終了が改めて確認されそうです。前回までの「利上げは19年夏以後」とのメッセージに変化があるかどうかが注目されます。<西田>

【英ポンド】
 12月11日に英国議会はブレグジット協定案の採決を予定しています。午後7時(日本時間12日午前4時)からまず複数の修正案の採決が行われ、午後8時30分(同午前5時30分)ごろに協定案の採決が実施されそうです。
 *採決の結果予想については、12/6配信のシナリオレポートをご覧ください(マイページトップの「注目のコンテンツ」よりご覧いただけます)。

 ただし、7日時点でメイ首相は議会の過半数の支持を取り付けていません。そればかりか、現状では大敗の可能性もあります。そのため、メイ首相に対して保守党内から採決を数日延期するよう促す声もあるようです。

 また、協定案の前に採決される可能性がある修正案には、協定案を無効とする一方で「合意なき離脱」も排除する野党提出のものが含まれています。仮に、これが可決されれば、協定案の採決自体が意味のないものになる可能性もあります。

 これとは別に、「合意なき離脱」を回避するため、メイ首相に対して12月13日のEUサミットで、交渉期間を離脱期日の来年3月29日以降まで延長する提案が行われるとの報道もあります。様々な期日が迫るなか、事態はますます流動的になっています。<西田>

【豪ドル、NZドル】
 足もとの豪ドルやNZドルは、投資家のリスク意識の変化に反応しやすい地合いであり、こうした状況は当面続く可能性があります。主要国(特に米国)の株価が下落を続ける、あるいは米国と中国の関係が悪化するとの懸念が高まれば、リスク回避の動きが加速して、豪ドルやNZドルが下落しそうです。一方で、主要国株価が上昇傾向に転じる、あるいは米中の関係悪化への懸念が和らげば、豪ドルやNZドルの上昇要因になる可能性があります。経済指標は、11日に豪州の11月NAB企業景況感指数13日にNZの12月PMI(購買担当者景気指数)が発表されるものの、材料としては力不足かもしれません。<八代>

【カナダドル】
 BOC(カナダ中銀)は5日、政策金利を1.75%に据え置くことを決定。声明では、BOCの利上げペースが今後鈍化する可能性を示しました。

 声明は、「インフレ目標を達成するために、政策金利を中立レンジまで引き上げる必要がある」との見方を示し、利上げを続ける方針を改めて表明。

 一方で、「国内エネルギー産業の活動は当初の予想以上に軟化する可能性がある」と指摘し、「ガソリン価格の下落によって、(CPI上昇率は)今後数カ月間はかなり和らぐと予想される」と分析。そのうえで、「インフレを伴わない追加の(経済)成長の余地があり得る」との見方を示しました。

 ポロズBOC総裁は翌6日、トロントで講演。追加利上げの必要性に言及しつつも、カナダ経済は10-12月期に入り、BOCが予想していたほどの勢いがないと指摘。来年1月に利上げを検討する前に、原油安や米中貿易摩擦の影響を見極める必要があるとの見解を示しました。

***

 BOCの次回利上げ時期について、市場では5日の会合前は来年1月との見方が有力でした。しかし、BOCの声明やポロズ総裁の講演を受けて、その見方は大きく後退。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)が織り込む来年1月の利上げの確率は、会合前の60%程度から大きく低下し、足もとで10%程度です。

 BOCの利上げ観測の後退は、カナダドルにとってマイナス材料です。原油価格の下落が加われば、カナダドルには下落圧力が加わりやすいと考えられます。<八代>

【トルコリラ】
 TCMB(トルコ中銀)が13日に政策金利を発表します。その結果がトルコリラの動向に影響を与える可能性があります。

 政策金利は現行の24.00%に据え置かれそうです。11月のCPI(消費者物価指数)は前年比+21.62%と、10月の+25.24%から大きく鈍化しました。ただ、CPI上昇率の鈍化は、政府による減税やインフレ対策(企業が年末まで最低10%値下げするなど)の影響も大きく、それらの効果が薄れるにつれて、インフレ圧力が再び強まる可能性があるためです。

 市場では、政策金利は据え置かれるとの見方が有力。そのため、利下げが決定された場合はサプライズとなり、トルコリラ売りが加速する可能性があります。

 一方、政策金利が据え置かれた場合、声明の内容に注目です。市場では、TCMBが来年、利下げに転じるとの観測があります。TCMBの声明が先行きの利下げを示唆する内容に変化すれば、トルコリラには下落圧力が加わる可能性があります。なお、10月25日の声明では、「インフレ見通しが大幅に改善するまで金融政策の引き締めスタンスを断固維持する」「必要に応じて、さらなる金融引き締めを行う」との方針が示されました。<八代>

【南アフリカランド】
南アフリカランドは今週(12/3の週)、軟調に推移し、対円では3週間ぶりの安値を記録しました。南アフリカの7-9月期GDP(4日発表)は前期比年率+2.2%と、市場予想の+1.6%を上回りました。ただ、米国株の下落や米中の関係悪化への懸念から、リスク回避の動きが強まったため、GDPが市場予想を上回ったにもかかわらず、ランドは値を下げる展開になりました。

南アフリカランドは当面、米国など主要国の株価動向や米中関係に関するニュースの影響を受けやすい地合いになりそうです。リスク回避の動きが強まれば、ランドには下落圧力が加わりやすいとみられる一方、リスク回避の動きが緩和すれば、ランドは上値を試す可能性があります。南アフリカの経済指標は、12日に11月CPI(消費者物価指数)が発表されます。CPIの動向はSARB(南アフリカ中銀)の金融政策に影響を与えるため、その結果が材料になる可能性もあります。<八代>



◆テクニカル◆

※上記想定レンジおよび投資戦略アイデアは、各種テクニカル指標を基に週間ベースの想定をしています。
※最終的な投資判断はご自身で行っていただくようお願いいたします。

〇“Pick Up”通貨:ユーロ/円、トルコリラ/円

【ユーロ/円】 (12/10-14 戦略アイデア) コアレンジ:127.50-129.00円、売り・トラリピ

 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態となっていること、3) 各BB(ボリンジャーバンド)が21日MAに対して概ねパラレルとなっていること、4) ローソク足の上方に赤色の雲(=抵抗帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)が点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)で-DI>+DIとなり、ADXが右肩上がりとなっている(上図青色点線丸印)ことから、引き続きユーロ/円は、上方硬直性を伴うレンジ相場が継続し、いわゆる“ボックス圏相場”となっていることが視認できます。

 次週(12/10-14)におけるユーロ/円の上値メドは、BB(ボリンジャーバンド)・+1σラインを基準とする「129.00円」、同下値メドは、BB・-2σラインを基準とする「127.50円」と想定します。

 以上を概括すると、引き続きユーロ/円はレンジワーク(≒トラリピ)に適したチャート形状と仮定できることもあり、当面は当該レンジ(=127.50-129.00円、上図黄色四角枠)をコアレンジとする、売り・トラリピを仕掛けるのも一案でしょう。<津田>

【トルコリラ/円】 (12/10-14戦略アイデア) コアレンジ:20.00-21.80円、買い・トラリピ
 
 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態となっていること、3) 各BB(ボリンジャーバンド)が21日MAに対してパラレルとなっていること、4) ローソク足の上方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)が点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)で-DI>+DIとなり、ADXが右肩上がりとなっている(上図青色点線丸印)ことから、足もとのトルコリラ/円は、下方硬直性を伴うレンジ相場となっていることが視認できます。

 特に、パラボリック・SARとDMIにおいて、売りサインを示すメルクマールになっていることから、現状のトルコリラ/円は、「上昇トレンドの一服」→「下押しの時間帯」と捉えて良いでしょう。

 次週(12/10-14)におけるトルコリラ/円の上値メドは、SARを基準とする「21.80円」、同下値メドは、先行2スパンを基準とする「20.00円」と想定します。

 以上を概括すると、足もとのトルコリラ/円のコアレンジは20.00-21.80円(=上図黄色四角枠)と想定し、当該レンジをベースとする買い・トラリピを仕掛けるのも一案でしょう。

 その一方で、仮にローソク足が先行2スパン(≒20.00円)を終値レベルで下回るような相場展開となった場合は、「下値サポート割れ」→「下降モメンタムの強まり」となる可能性もあるため、注意が必要でしょう。<津田>


【マーケットView】
マーケットViewは、毎日16時ごろアップの予定です。

※動画のアップ時間は前後する可能性があります。

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