市場調査部レポート

将来に禍根を残したシャットダウンの回避

2019/02/15 13:42

◆ファンダメンタルズ◆
<<相場環境>> 
 14日、米議会は予算案を可決しました。トランプ大統領が署名する意向のため、15日からのシャットダウン(政府機関の一部閉鎖)は回避される見込みです(本稿執筆段階で予算は未成立)。
 一方、米中通商協議は14-15日に北京で閣僚級会合が開催されており、中国の市場開放などに関して交渉は難航している模様です。ただ、トランプ大統領は3月1日としていた制裁関税の発動を60日間延期する用意があるとの報道もあり、同問題が近く市場のかく乱要因となる可能性は後退しています。

 来週(18日の週)はあまり大きなイベントは予定されておらず、市場のリスクオフが一段と後退する可能性はありそうです。ただ、注意が必要なのは、米商務省が公表する予定の自動車輸入に関する報告書です。自動車輸入が米国の安全保障の脅威になっているとの証左が示されれば、トランプ政権が自動車関税を賦課する根拠になりかねず、日本や欧州の自動車メーカーにとって大きな打撃となるかもしれません。同報告書の期限は17日とされていますが、それより先に公表されるのか(15日?)、それとも遅れるのかは不明です。<西田>

【米ドル(/円)】
 トランプ大統領は、メキシコ国境の「壁」の費用が不十分としながらも、予算案に署名する見込みです。その代わりに、トランプ大統領は非常事態を宣言して、大統領の裁量で「壁」の費用を捻出しようとしています。民主党からは、議会の予算編成の権限を侵害するとして、強い反発が出そうです。その意味で、シャットダウンを回避した予算の成立(見込み)は将来に禍根を残しそうです。

 トランプ大統領と議会民主党との対立が先鋭化するようであれば、2020年度の予算編成やデットシーリング(債務上限)の引き上げが難航するかもしれません。2020年度(19年10月-20年9月)の予算編成は、遅れている大統領の予算教書の発表を受けて始まります。また、デットシーリングは3月上旬に復活し、遅くとも夏ごろには引き上げが不可欠になります。いずれも、喫緊の課題ではありませんが、将来的な市場のかく乱要因として留意しておく必要はありそうです。<西田>

【ユーロ】
 ドイツの昨年10-12月期GDPは前期比0.0%。つまり横ばいでした。リセッション(景気後退)とされる2期連続のマイナス成長は辛うじて回避されましたが、景気の低迷が目立ってきました
 ECBは1月24日の理事会で金融政策の現状維持を決定するとともに、19年夏の終わりごろの利上げを示唆するフォワードガイダンスも維持しました。ただし、理事会後の会見で、ドラギ総裁は「景気のリスクは下方向にシフトした」と明言しており、今後の状況次第では、流動性供給の強化などの対応が検討される可能性(=ユーロ安要因)はありそうです。<西田>

【英ポンド】
 英議会は14日、メイ首相がEUと離脱交渉を続けることを支持する動議を303対258で否決しました。保守党内の離脱強硬派はメイ首相への抗議を込めて投票しませんでした。この動議には拘束力はなく、メイ首相はEUとの離脱交渉を続ける意向ですが、議会の後ろ盾のないメイ首相は苦しい立場に立たされています。

 次の重要イベントは2月27日の英議会です。そこでは、メイ首相の協定案が再び採決にかけられるようです。そして、メイ首相からEUとの交渉権限を取り上げて離脱方法を議会が決定するとの修正案や、2週間以内(=3月13日まで)にEUと合意できなければ、メイ首相に離脱期日の延長を申請させる修正案などが提案される可能性があります。

 EU各国やメイ政権、そして英議会の過半は「合意なき離脱」を回避したい意向ですが、英議会内には「合意なき離脱」もやむなしとする強硬派もおり、事態はいまだ先が読めません。3月29日の離脱期日まで残り1カ月半です。<西田>

【豪ドル】
 RBA(豪中銀)議事録が2月19日に公表され、豪州の1月雇用統計が21日に発表されます。それらが豪ドルの動向に影響を与える可能性があります。

 RBAのロウ総裁は6日に講演を行い、「次の政策変更は、利上げと利下げのいずれもあり得る」と語り、金融政策スタンスのシフト(「引き締めバイアス」から「中立」へ)を示唆しました。また、RBAは8日に金融政策報告を公表し、2019年と2020年の豪GDP成長率やインフレ率の見通しを18年11月時点から下方修正するとともに、豪住宅市場の減速がかなりの不確実性をもたらしているとの見方を示しました。

 19日の議事録は金融政策報告などに沿った内容になるとみられますが、金融政策の先行きについて新たに材料が提供された場合には豪ドルが反応しそうです。

 RBAの金融政策の先行きを予想するうえで、21日の雇用統計はこれまで以上に重要と考えられます。ロウ総裁は6日に「失業率の上昇が持続し、インフレ率が目標に近づかなければ、ある時点で利下げが適切になる可能性もある」との見解を示したためです。雇用統計(失業率、雇用者数)が弱めの結果になれば、市場ではRBAの利下げ観測が強まり、豪ドルは下値を試す展開になる可能性があります。<八代>

【NZドル】
 RBNZ(NZ中銀)は2月13日、政策金利を過去最低の1.75%に据え置くことを決定しました。

 声明では、前回の会合(2018年11月)で削除した「政策金利の次の方向性は、上向きか下向きの可能性がある」との文言が復活しました。

 声明は、「貿易相手の成長が急激に減速するリスクは、過去数カ月間で高まった」と指摘する一方、「世界的に(成長の)勢いが弱まっているにもかかわらず、低金利や政府支出がNZのGDP成長率が2019年に上向くのを支援する」と予想しました。

 RBNZは今回、四半期に一度の金融政策報告を公表。利上げ開始時期の予想を2018年11月時点の“2020年7-9月期”から“2021年1-3月期”へと後ズレさせました。

 オアRBNZ総裁は会合後に会見を行い、「成長が上向かなければ利下げが必要になるかもしれない」とする一方、「利下げの確率は高まっていない」と発言。「(政策金利の)見通しは上向きと下向きで均衡している」と語りました。

***

 市場では、RBNZの声明やオア総裁の会見を受けて利下げ観測が後退しました。そのことはNZドルを下支えしそうです。

 来週(2/18の週)は乳製品電子オークション(GDT)が19日にありますが、足もとの市場の関心は乳製品価格には向いていない感があります。前回からよほど大きな変動がなければ、NZドルのGDTの結果への反応は限定的になりそうです。<八代>

【カナダドル】
 今週(2/11の週)のカナダドルは、原油価格の動向やカナダの製造業売上高が材料になりました。堅調な原油価格を背景に、週前半のカナダドルは対米ドルや対円で底堅く推移。ただ、14日発表のカナダの2018年12月製造業売上高が前月比マイナス1.3%と、市場予想(+0.2%)に反して減少したことで、カナダドルは対米ドルや対円で反落しました。

 来週(2/18の週)のカナダドルは、引き続き原油価格の動向に影響を受けやすい地合いになりそうです。原油価格(米WTI先物)については、日々上下動を繰り返しつつも、明確な方向感は出にくいかもしれません。主要産油国の協調減産による供給減が下支えする一方、世界経済の減速による需要減への懸念も根強く、その懸念が上値を抑えるとみられるためです。原油価格に方向感が出なければ、カナダドルは独自材料では動きにくいとみられ、米ドルなど他通貨の動向に左右されやすいと考えられます。<八代>

【トルコリラ】
 トルコの2018年12月の鉱工業生産が14日に発表され、結果は前年比9.8%減と、市場予想(7.5%減)以上のマイナスを記録。4カ月連続のマイナスとなりました。鉱工業生産の結果は、トルコ経済が2018年10-12月期に低迷したことを示唆しています。

 市場の関心はこれまで、TCMB(トルコ中銀)の金融政策に向いてきました。TCMBはインフレ抑制を重視する姿勢を示しており、それがトルコリラを下支えしてきました。ただ今後、市場の関心がトルコの経済情勢にも向いた場合、トルコリラは弱含む可能性があります。トルコリラについてはまた、エルドアン大統領の言動にも引き続き注意が必要です。<八代>

【南アフリカランド】
 今週(2/11の週)の南アフリカランドは軟調に推移し、対米ドルで約6週間ぶり、対円で約3週間ぶりの安値を記録しました。“エスコム(国営電力会社)が実質破たん状態にある”との見解を南アフリカ公共企業省が示したことで、南アフリカランドに対して下落圧力が加わりました。

 エスコムの経営危機によって電力供給が不安定な状況に陥っており、南アフリカでは14日まで5日連続で大規模停電が発生しています。市場では、エスコムをめぐる懸念に加え、停電が南アフリカ経済に与える悪影響も懸念されています。

 ラマポーザ・南アフリカ大統領は7日、エスコムを支援する方針を示し、20日の予算案の発表時に詳細を明らかにすると表明しました。予算案でエスコムの再建に向けて市場を納得させる計画が示されなければ、南アフリカランドへの下落圧力は一段と強まる可能性があります。南アフリカランド/円の目先の下値メドは、7.67円(1/10安値)や7.51円(1/4安値)が挙げられます。<八代>



◆テクニカル◆

※上記想定レンジおよび投資戦略アイデアは、各種テクニカル指標を基に週間ベースの想定をしています。
※最終的な投資判断はご自身で行っていただくようお願いいたします。

〇“Pick Up”通貨:ユーロ/円、豪ドル/円

【ユーロ/円】 (2/18-22 戦略アイデア) コアレンジ:124.00-125.60円、売り・トラリピ

 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態となっていること、3) ローソク足の上方でパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)が点灯していること、そして、4) DMI(方向性指数)の3本の線(ADX、+DI、-DI)が収斂するも、-DI>+DIとなりつつある(上図青色点線丸印)ことから、ユーロ/円は上下方向性の乏しいレンジ相場となっていることが視認できます。

 ユーロ/円相場は、1/3の「フラッシュ・クラッシュ」後の反発フローを経た後、概ね124.00-126.00円の間のゾーン(上図青色四角枠)を中心とする“ボックス圏相場”を形成しており、リピート系のオーダーに適した相場状況であったと言えるでしょう。

 本稿執筆(2/15)時点でのADX値が「19.46」となっており、一般的には当該数値が「20以下」の場合は【トレンドレス相場】、つまり、レンジ相場が継続しやすい相場環境であると捉えるべき。よって、ユーロ/円は引き続きレンジワーク主体の相場展開となることが想定されるため、リピート系のオーダーがワークしやすい相場環境と言えるでしょう。

 以上を概括すると、次週(2/18-22)におけるユーロ/円では、その下値メドはBB・-2σラインを基準とする「124.00円」、同上値メドはBB・+2σラインを基準とする「125.60円」と想定します。当該ゾーン(=124.00-125.60円、上図黄色四角枠)をベースとする「売り・トラリピ」を仕掛けるのも一案でしょう。<津田>

【豪ドル/円】 (2/18-22戦略アイデア) コアレンジ:77.40-79.50円、売り・トラリピ
 
 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態となっていること、3) ローソク足の上方でパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)が点灯していること、そして、4) DMI(方向性指数)で、-DIと+DIが収斂し、ADXが右肩下がりとなっている(上図青色点線丸印)ことから、豪ドル/円はユーロ/円同様、上下方向性の乏しいレンジ相場となっていることが視認できます。

 豪ドル/円相場も、1/3の「フラッシュ・クラッシュ」後の反発フローを経た後、概ね77.00-80.00円の間のゾーン(上図青色四角枠)を中心とする“ボックス圏相場”を形成しており、ユーロ/円同様、リピート系のオーダーに適した相場状況であったと言えるでしょう。

 本稿執筆(2/15)時点でのADX値が「16.78」となっており、これはユーロ/円の「19.46」をも下回る数値となっています。よって、豪ドル/円はユーロ/円以上に【トレンドレス相場】、つまり、レンジ相場が継続しやすい相場環境であると捉えるべきでしょう。豪ドル/円は、引き続き上方硬直性を伴うレンジワーク主体の相場展開となることが想定されるため、リピート系のオーダーがワークしやすい相場環境と言えます。

 以上を概括すると、次週(2/18-22)における豪ドル/円では、その下値メドはBB・-2σラインを基準とする「77.40円」、同上値メドはBB・+2σラインを基準とする「79.50円」と想定します。当該ゾーン(=77.40-79.50円、上図黄色四角枠)をベースとする「売り・トラリピ」を仕掛けるのも一案でしょう。<津田>


【マーケットView】
マーケットViewは、毎日16時ごろアップの予定です。

※動画のアップ時間は前後する可能性があります。

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