市場調査部レポート

サウジ、イタリア、ブレグジットなどのリスク要因が浮上!?

2018/10/19 13:02



◆ファンダメンタルズ◆
<<相場環境>>  
 トルコのサウジアラビア総領事館におけるサウジ人記者失踪事件は、地政学リスクに発展する可能性があります。サウジ皇太子の関与の可能性が強まっているためです。サウジに対してトランプ政権は宥和的な姿勢をみせていますが、共和党内部からも強い制裁を求める声が出ています。
 23日から始まるサウジ主催の「砂漠のダボス会議」には、欧米企業幹部の参加取り消しが相次いでいるようです。
 11月5日から開始されるイラン石油禁輸に際して、サウジには穴埋めのための原油供給増加が期待されていますが、サウジが渋るようだと原油価格が跳ね上がるかもしれません。また、親米のサウジと米国との関係が悪化するようならパワーバランスが崩れて中東情勢が不安定化する可能性も否定できません。
 その他、予算に関するイタリアとEUとの対決ブレグジット交渉の行き詰まり中国株や人民元の軟調など、潜在的なリスクオフ要因には注意が必要かもしれません。

 中央銀行の会合は、24日BOC(カナダ中銀)25日TCMB(トルコ中銀)同ECB。BOCの利上げは確実視されています。TCMBは、インフレ加速がみられるものの、9月に大幅利上げを実施しただけに微妙(後述)。ECBはQE(量的緩和・国債購入)の年内終了を確認しそうです。<西田>

【米ドル(/円)】
 17日に公表された米FOMC議事録(9/25-26開催分)はかなり「タカ派」的内容でした。景気や物価に関して楽観的な姿勢が示され、引き続き緩やかな利上げの継続が示唆されました。イールドカーブ(利回り曲線)の逆転の可能性、「緩和的」文言削除政策金利の中立水準接近など、利上げ打ち止め観測につながりかねない要因について、主に利上げの継続を制限するものではないとの見解が示されました。
 24日のベージュブック(地区連銀経済報告)26日の7-9月期GDPなどで、利上げ観測が強まるようなら、米ドル高要因となりそうです。ただし、長期金利が一段と上昇して株安を招くようなら、市場のリスクオフが強まって米ドル安円高になるかもしれません。<西田>

【ユーロ】
 イタリアの連立政権は15日、他のEU加盟国と同様に2019年予算案を欧州委員会に期限通り提出しました。欧州委員会は18日、イタリア政府に書簡を送り、「(イタリア予算の)拡大と逸脱の規模は前例がない」と指摘、22日までに予算案の説明と修正を要請しました。欧州委員会は22日以降、イタリアの予算案を正式に拒否し、修正を求める可能性があるようです。欧州委員会はこれまでに政府の予算案を拒否したことはないとのことです。

 また、近く大手格付け会社がイタリア国債の格付け見直しを発表する可能性があります。現在、大手3社による格付けはBBB級(投資適格の最下位より一つ上)です。格付けが2段階引き下げられて「投機的(ジャンク)」になる可能性は低そうですが、1段階でも引き下げられれば、国債価格が一段と下落(金利が一段と上昇)するかもしれません。通貨ユーロを取り巻く環境は厳しい状況が続きそうです。<西田>

【英ポンド】
 17日のEUサミットでも英国とEUはブレグジット交渉を前進させることはできず、最終案の承認を見込んでいた11月の臨時サミット開催は白紙に戻されました。

 今後の交渉次第で11月の臨時サミットが再浮上するのか次回12月13日の定例サミットでの合意承認に向けて交渉が進められるのか、それとも「合意なき離脱」に向けた準備が本格化するのか様々なシナリオがあり得るため、引き続き予断を許さない状況です。

 そうしたなか、EUからブレグジット後の移行期間を延長する提案がなされ、メイ首相もその提案に対して前向きなようです。移行期間中は、英国とアイルランドの間に厳格な国境チェックを設けず、北アイルランドを含む英国全土がEUの関税同盟に残留します。現在、2020年12月末までとされている移行期間を1年程度延長しようというものです。
 ただし、移行期間をどの程度とするか、移行期間中に合意できなければどうするのか、など課題を解決するのは簡単ではありません。

 また、EUとメイ首相が合意しても、英国保守党内のブレグジット強硬派が反対すれば合意が瓦解し、状況によってはメイ政権が崩壊する可能性もあります。ブレグジット交渉を材料に英ポンドが変動する状況はまだまだ続きそうです。<西田>

【豪ドル】
 豪州の9月雇用統計が10月18日に発表されました。結果は失業率が5.0%と、市場予想の5.3%を下回り、2012年4月以来の低水準を記録。雇用者数は前月比0.56万人増と、市場予想の1.50万人増を下回りました。

 失業率の低下が好感され、豪ドルは雇用統計発表後に上昇したものの、上昇は長続きしませんでした。米国の株安や米国とサウジアラビアの関係悪化への懸念などから、リスク回避の動き(リスクオフ)が強まったことが要因です。豪ドルは、リスク意識の変化(リスクオン/オフ)に反応しやすいという特徴があります。豪ドルにとって、リスクオンはプラス材料、リスクオフはマイナス材料と考えられます。

 中国株や人民元の動向にも要注意です。上海総合指数は10月18日に3年11カ月ぶりの安値を記録し、人民元は対米ドルで下落傾向にあります。上海総合指数や人民元が一段と下落すれば、中国をめぐる懸念からリスクオフが強まる可能性もあります。

 また、ターンブル豪前首相の議員辞職に伴う下院補欠選挙が10月20日に行われます。豪ドルはその結果に反応する可能性があります。与党・保守連合(自由党、国民党)は補選に敗れた場合、議会の過半数を割り込むことになります。豪政治の先行き不透明感から、豪ドルには下落圧力が加わる可能性があります。補欠選挙の結果次第では、週明け月曜日(22日)の為替市場は「窓をあける」可能性があるため、注意が必要です。<八代>

【NZドル】
 NZの7-9月期のCPIが10月16日に発表されました。結果は前年比+1.9%と、市場予想の+1.7%を上回り、4-6月期の+1.5%から上昇率が加速。RBNZ(NZ中銀)のインフレ目標の中央値である+2%に近づきました。

 ただ、CPIを材料にしたNZドルの上昇は長続きしませんでした。その理由として、CPI上昇率は+2%に接近したものの、RBNZが早期の利上げを検討する可能性は低いと考えられること、そして市場の関心が主要国(特に米国)の株価動向など、NZ国外の材料に向いていることが挙げられます。

 来週(10月22日の週)はNZの9月貿易収支(25日)が発表されますが、材料として力不足の感があります。NZドルは豪ドルと同様、主要国株価の変動などを受けたリスク意識の変化に反応しやすい地合いになりそうです。NZドルにとって、リスクオフはマイナス材料、リスクオンはプラス材料と考えられます。<八代>

【カナダドル】
 BOC(カナダ中銀)が10月24日に政策金利を発表します。その結果がカナダドルの動向に影響を与える可能性があるため、注目です。

 BOCは9月5日の前回会合で政策金利を1.50%に据え置いたものの、声明で追加利上げを示唆しました。市場は10月24日の会合で0.25%の追加利上げが決まる可能性が高いと見ており、関心はその後の利上げペースへと移りつつあります。

 市場の予想通りに0.25%の利上げが決定された場合、声明の内容が相場材料になりそうです。声明で追加利上げが示唆されれば、カナダドルの上昇要因になり得る一方、声明が当面の政策金利据え置きを示唆する内容になれば、カナダドルは下落するとみられます。可能性は前者の方が高そうです。<八代>

【トルコリラ】
 トルコリラは今週、対米ドルや対円で約2カ月ぶりの高値を記録しました。トルコリラが上昇した背景には、米国とトルコの関係が改善するとの期待があります。トルコ裁判所は10月12日、米国人のブランソン牧師の自宅軟禁と出国禁止措置の解除を決定。トルコは2016年のクーデター未遂事件に関与したとして、約2年間にわたりトルコ国内に拘束。ブランソン牧師の問題が米国とトルコの関係悪化の一因となっていました。ポンペオ米国務長官が17日に対トルコ制裁の一部を解除することを示唆したことも、両国の関係改善への期待を高めました。米国とトルコの関係改善期待がトルコリラを引き続き下支えするとみられます。

 来週(10月22日の週)はTCMB(トルコ中銀)が25日に政策会合を開催します。市場の関心は、TCMBの会合に移るとみられます。

 トルコの9月CPI(消費者物価指数)は前年比+24.52%と、約15年ぶりの高水準を記録しました。そのため、市場ではTCMBが25日の会合で追加利上げに踏み切るとの見方がある一方、9月に6.25%の利上げを実施したばかりということもあり、据え置くとの見方もあります。そのため、政策金利がいずれの結果になったとしても、トルコリラが反応する可能性があります。利上げが決定された場合、トルコリラの上昇要因となり得る一方、政策金利が据え置かれた場合、トルコリラには下落圧力が加わる可能性があります。<八代>

【南アフリカランド】
 南アフリカランドは、自国の経済指標以上に、米国の株価や長期金利(10年債利回り)の変動に反応しやすい地合いになっています。米株安や米長期金利上昇の場合、ランドに対して下落圧力が加わりやすく、一方で米株高や米長期金利下落の場合、ランドに対して上昇圧力が加わりやすい状況です。こうした状況は当面続く可能性があります。米株価や米長期金利の動向に引き続き目を向ける必要がありそうです。<八代>

◆テクニカル◆(“Pick Up”通貨:米ドル/円、トルコリラ/円)
【米ドル/円】 (10/22-26 戦略アイデア) コアレンジ:111.50-113.00円売り・トラリピ
 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、3) 各BB(ボリンジャーバンド)が21日に対してパラレルに推移していること、4) ローソク足が青色の雲(=サポート帯)の中に入り込んでいること、そして、5) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していることから、本稿執筆(10/19)時点の米ドル/円は、上方硬直性を伴うレンジ相場となっていることが分かります。

 現在の米ドル/円は、今月8日時点において「バンドウォーク崩れ」が示現した後、「下押しフロー」→「下値(底)固め」を熟(こな)す時間帯となっています。その一方で、足もとにおける下値メドと想定するBB・-2σライン(≒111.50円)を終値ベースで下回った場合は、下降モメンタムが強まる可能性も視野に入れておくべきでしょう。

 以上を概括すると、次週の上値メドは21日MAを基準とする「113.00円」、同下値メドはBB・-2σラインを基準とする「111.50円」と想定します。繰り返しながら、ローソク足がBB・-2σラインを終値ベースで下回った場合は、下降モメンタムが強まる可能性を考慮しつつ、足もとではレンジワーク主体の相場展開となりそうです。<津田>

【トルコリラ/円】 (10/22-26 戦略アイデア) コアレンジ:18.40-20.90円買い・トラリピ

 上図チャートでは、1) 26週MA(移動平均線)が下向きであること、2) 遅行スパンがローソク足の下方にあること、3) 各BB(ボリンジャーバンド)が26週MAに対して概ねパラレルに推移していること、4) ローソク足が赤色の雲(=抵抗帯)の中に入り込んでいること、そして、5) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していることから、本稿執筆(10/19)時点のトルコリラ/円は、上方硬直性を伴いつつ、上値トライをする時間帯となっていることが分かります。

 本稿執筆(10/19)時点のローソク足(週足)は、直近高安(高値:24.45円[7/9]、上図H、安値:15.40円[8/13]、上図L)を結んだフィボナッチ・50.0%ライン、いわゆる“半値戻し”ライン(≒19.93円)を一時的に上回る動きとなっていますが、赤色の雲(=抵抗帯)の“厚さ”もあり、果敢な上値トライの動きがブロックされているような形状となっています。

 目先は、その上値トライの動きが、フィボナッチ・61.8%ラインを基準とする「20.90円」付近まで押し寄せる可能性があるものの、チャートのアナロジー(類比)分析での判断では、その上抜けには相当の「力学的な追い風」がない限り、極めて困難であると言わざるを得ない状況と言えます。

 よって、トルコリラ/円の基本的な戦略は「戻り売りのポイント探し」であることは不変とするものの、目先は上値トライの動きを中心とした相場展開を想定すべきでしょう。

 以上を概括すると、次週の上値メドはフィボナッチ・61.8%ラインを基準とする「20.90円」、同下値メドはBB・-1σラインを基準とする「18.40円」と想定します。当該レンジをベースとするレンジワーク主体の相場展開となりそうです。<津田>

(注) 「戦略アイデア」については、観測におけるタイムラグやそれに伴うメルクマール変化により、必ずしも『Weekly投資戦略ガイド』と一致するものではありません。



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【マーケットView】
マーケットViewは、毎日16時ごろアップの予定です。

※動画のアップ時間は前後する可能性があります。

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