2019/02/04 09:21今週の注目通貨(米ドル/円)
・米ドル/円は先週もこの間の108-110円のもみ合いから新たな方向性は出るに至らず。米金利低下でも米株高となり、金利と株の示す方向性が基本的に逆の中では方向性出にくい?!
・米株の下がり過ぎはほぼ是正。一時的な株反発なら、もういつ終わってもおかしくない。株価回復、景気急減速の証拠がない中でのハト派転換に、FRB信任への疑念も浮上。
◆FRB予想以上のハト派でもなぜ米ドル/円は下げ渋ったか?!
米ドル/円は先週一時108円台半ばまで下落しました≪資料1参照≫。1月FOMCが予想以上に「ハト派」の姿勢を示したことがきっかけでした。ただ、週末にかけては109円台半ばまで米ドル高・円安へ戻すところとなり、結局この間のもみ合いから新たな方向性が出るには至りませんでした。
≪資料1=米ドル/円の日足チャート (2018年11月-)≫

(出所:M2JFXチャート)
これは、金利と株が示す方向性が一致しないと、新たな方向性が出るのは難しいということではないでしょうか。上述のように、FOMCのハト派姿勢を受けて米金利は低下しましたが、その金利低下を好感する形で米株は大きく上昇しました≪資料2参照≫。米金利低下は基本的に米ドル安の可能性を示すものですが、米株高は基本的にはそれと逆の米ドル高の可能性を示すものです。
≪資料2=過去半年間のNYダウの推移≫

(出所:ブルームバーグ)
米ドルに明確な方向性が出るのは、基本的には米金利が低下しても、それを好感出来ずに米株が下落し、金利と株がともに米ドル安の可能性を示す場合か、米金利が上昇しても、それを吸収して米株も上昇、金利と株がともに米ドル高を示す場合ではないでしょうか。
上述のように、FOMCが市場の予想以上にハト派的な姿勢を示すと、米金利低下で米ドルは全面安となりましたが、その金利低下を好感した形で米株高が広がると、その後はその株高に連れる形で米ドル高に戻ったということでしょう。
では、その「株高=米ドル高・円安」はいつまで続くのか。NYダウのここまでの上昇は、90日MA(移動平均線)からのかい離率を見ると下がり過ぎの反動であり、90日MAを回復したことで、そのような行き過ぎはほぼ是正されたようです≪資料3参照≫。ここからのさらなる株価上昇は、これまでとは異なり、「上がり過ぎ」拡大を試すことになります。
≪資料3=NYダウの90日MAからのかい離率 (2010年-)≫

(出所:トムソン・ロイターより作成)
また、先週末のNYダウは52週MAも久しぶりに回復しました≪資料4参照≫。経験的には、仮に株安トレンドにおける一時的な株高に過ぎないなら、52週MAを大きく超えない程度にとどまるもの。
≪資料4=NYダウと52週MA (2010年-)≫

(出所:トムソン・ロイターより作成)
以上のように見ると、あの年末年始にかけての株暴落で、米株はすでに株安トレンドへ転換しており、最近にかけての反発はあくまで一時的な動きに過ぎないなら、もういつ終わってもおかしくない段階に入っている可能性が高そうです。そうであれば、「株高=米ドル高・円安」も、さらなる余地は限られるでしょう。
一つ気になるのは、FRBの姿勢です。上述のように、FRBは先週のFOMCで予想以上のハト派の姿勢を示しました。ただそれは、株価がすでに年末年始の安値から大きく戻す中での決定でした。
そして、先週金曜日に発表された米1月雇用統計で、NFPは30万人の大幅増となりました。株下落リスクが一服し、景気急減速の証拠も未確認の中で、FRBはなぜ予想以上のハト派に転じたのか。
FRBには、我々が知りえないハト派に転じる理由があったのか、それとも「資産市場の混乱、要求、トランプの要求に怯えて利上げ見通し白紙、資産規模縮小停止を打ち出したのか」(慶応大学准教授・小幡績氏ブログ、2月2日付け)といった具合に、FRBの信認への疑念が浮上する可能性も注目されそうです。(了)
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