今週はこう動く! マーケット羅針盤

2018/07/09 09:06今週の注目通貨(米ドル/円)=米中「貿易戦争」突入のリスクオフ織り込みはこれから?!円高を後押しの可能性

◆要約◆
・米ドル相場は、米長期金利より独長期金利の影響が大きくなり、「独長期金利低下=ユーロ安・米ドル高」が展開したものの、それも先週から行き過ぎの調整が広がり出した。
・米中「貿易戦争」突入で「世界経済はまことに視界不良」(吉崎氏)。そうであれば、今後は株安や米金利低下を通じ米ドル安・円高を後押しする可能性がある。


◆米ドル/円の行方を考える手掛かりとは?

 米ドル/円は、5月以降の109-111円中心の方向感のない展開が先週も続きました≪資料1参照≫。この方向感のない展開はまだ続くのか、それともそろそろ方向感が出るとしたら、それは米ドル安方向か、米ドル高方向かといったことについて、改めて考えてみたいと思います。

≪資料1=米ドル/円の週足チャート (2018年1月-)≫
 
(出所:M2JFXチャート)

 ではそれを考える上で、何が手掛かりになるか。米ドル/円は6月にかけて日米長期金利(10年債利回り)との相関性を回復していましたが、両者は先週にかけてかい離するところとなりました≪資料2参照≫。米長期金利が低下傾向となり、金利差米ドル優位が縮小傾向となる中で、米ドル高・円安気味の推移となったわけです。

≪資料2=米ドル/円と日米10年債利回り差 (2018年3月-)≫
 
(出所:トムソン・ロイターより作成)

 これは、米ドル相場がユーロ/米ドルを通じて独長期金利の影響を大きく受け、米長期金利が相対的に影響しにくくなったためと考えられます。つまり、米長期金利低下傾向の中でも、むしろ独長期金利低下でユーロ安・米ドル高となったことから、米ドル相場は対円も含めて全体的に上昇傾向が続いたと考えられました。

 ただし、そんな米ドル相場も、「ブルームバーグのドル指数は週間ベースで3月以降最大の下げとなった」(6日付けブルームバーグ)。

 これは、そもそも独長期金利自体、90日MA(移動平均線)からのかい離率などで見ると下がり過ぎ懸念が強くなっており、そして米ドルの総合力を示す実効相場も同様に90日MAからのかい離率などでは下がり過ぎ懸念が強くなっていたので、「独金利低下=ユーロ安・米ドル高」が行き過ぎ修正に向かい出したということではないでしょうか≪資料3参照≫

 米ドル相場は、米長期金利よりも独長期金利の影響の方が大きくなり、「独長期金利低下=ユーロ安・米ドル高」が展開したものの、それも先週から行き過ぎの調整が広がり出したということなら、それが米ドル/円にも波及すれば米ドル安・円高を後押しするのではないでしょうか

≪資料3=米ドル実効相場の90日MAからのかい離率 (2010年-)≫
 
(出所:トムソン・ロイターより作成)

◆「貿易戦争」の影響を考える

 次に、先週末、ついに米国による対中制裁関税が発動され、「米中貿易戦争」突入となったことの影響について考えてみたいと思います。発動直後の金融市場は拍子抜けするほど安定していましたが、結論的に言うとそれは長続きしないのではないでしょうか。

 双日総研チーフ・エコノミストの吉崎達彦氏が、6日付け「溜池通信」で、この米中貿易戦争について論評していましたが、その中から「備忘録」の目的でいくつかの指摘を拾ってみました。

 「世界経済はまことに視界不良と言わざるを得ません」、「『貿易戦争が始まる』となったら、企業マインドは確実に冷え込む」、「追加関税とは増税のことなのである」、「(トランプ政権は)数か月後に実体経済への効果が表れ、輸入物価の上昇や景気減速、雇用情勢の悪化といった現実に直面すれば、さすがに勘違いに気づくのではないだろうか」。

 これが、「素直な評価」ということではないでしょうか。ではなぜ、制裁関税発動直後の市場は落ち着いていたのか。先週は米独立記念日の休場もあったことから、事前に警戒していた分の調整が続いたということではないでしょうか。

 ただし、「恐怖指数」VIX指数は、先週末すでに13ポイント台まで低下していました。同指数は15ポイント程度が基本的に中立圏ですから、むしろリスクオンに傾斜してきた可能性があります≪資料4参照≫

 「世界経済はまことに視界不良」(吉崎氏)なので、リスクオンに傾斜した状況は長続きしない可能性が高いのではないでしょうか。そうであれば、そういったことも、今後は株安や米金利低下を通じ米ドル安・円高を後押しする可能性があるのではないでしょうか。(了)

≪資料4=「恐怖指数」VIX指数の推移 (2017年-)≫
 
(出所:トムソン・ロイターより作成)

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