今週はこう動く! マーケット羅針盤

2018/03/12 09:53今週の注目通貨(米ドル/円)= 朝鮮半島デタントの円売りが継続するための債券との「複雑な事情」

◆要約◆
・先週のリスクオンの円売りは、最近の米ドル/円と米10年債価格の相関関係が続く場合には持続性に限度があるだろう。
・相関関係が基本的に変わらないまま、リスクオンの円売りが続くなら、それは米10年債価格が、インフレ材料などを手掛かりに行き過ぎの修正で、リスクオンとは無関係の動きになった場合。


◆リスクオンなら債券売り、それとも?!

 先々週、いわゆる「トランプ課税ショック」などをきっかけに105円台へ米ドル安・円高再燃となりましたが、先週は一時107円台を回復するまで米ドル高・円安へ戻す展開となりました≪資料1参照≫

≪資料1=米ドル/円の日足チャート(2018年1月-)≫
 
(出所:M2Jチャートより作成)

 主なきっかけは、米朝首脳会談期待が急浮上し、リスクオンの動きが広がったことでしょう。では、そんなリスクオンの円安がさらに続くかについて、今回は考えてみたいと思います。

 それにしても、最近の米ドル/円の動きを比較的よく説明できたのは米債券価格(10年債先物価格)の動きでした≪資料2参照≫。とりわけ2018年に入ってからは、「米債券価格下落=米ドル安・円高」が広がってきました。

≪資料2=米ドル/円と米10年債先物価格(2017年1月-)≫
 
(出所:トムソン・ロイターより作成)

 債券は基本的に安全資産と位置付けられるので、リスクオン・オフとの関係は、リスクオン=債券売り、リスクオフ=債券買いとなります。これまで見てきたように、今年に入り債券価格が続落してきたということは、リスクオンが広がっていたということでしょうか。

 リスクオンどころか、2月以降は一時世界的に株暴落、リスクオフが広がりました。その中で、「安全資産」の債券も基本的に売られ続けることになったのは、主たる変動要因がインフレ圧力への警戒だったためでしょう。主にインフレ圧力への警戒から、債券も株も売られ、そんな債券価格下落と米ドル安・円高が相関する展開となったわけです。

 こういった中で、冒頭に述べたように、先週は朝鮮半島情勢の緊張回避(デタント)への期待浮上となると、リスクオンで基本的に「安全資産」とされる円は売られる、教科書的な展開となりました。

 ただし、一つ気になるのは、最近にかけての米ドル/円はこれまで述べてきたように米債券価格と順相関が続き、主に「米債券価格下落=米ドル安・円高」となってきたということです。仮にこの関係がまだ変わらないなら、リスクオンとは、教科書的には安全資産の債券売りなので、むしろ「米債券価格下落=米ドル安・円高」は変わらない可能性もあるでしょう。

 ただ、朝鮮半島の緊張緩和期待が浮上する前から、「安全資産」米国債は売られ続けてきた結果、すでにかなり「売られ過ぎ」懸念が出ているということはあります≪資料3参照≫。そして、米国債利回りは「上がり過ぎ」懸念が出始めていました≪資料4参照≫

≪資料3=投機筋の米10年債ポジション (2010年-)≫
 
(出所:CFTC統計より作成)

≪資料4=米10年債利回りの 90日MAからのかい離率 (2000年1月-)≫
 
(出所:トムソン・ロイターより作成)

 その意味では、リスクオンの広がりとは本来的に逆で、「行き過ぎ」の反動による債券買い、債券価格上昇、債券利回り低下となる可能性はあるでしょう。これは本来的には朝鮮半島情勢の緊張緩和といったリスクオンとは逆の動きですが、インフレ圧力を巡る材料を手掛かりに、行き過ぎの修正が入る可能性はあるかもしれません。

 これまで述べてきたことを整理します。先週のリスクオンの円売りは、最近の米ドル/円と米10年債券価格の相関関係が続く場合は持続性には限度があるでしょう。相関関係が基本的に変わらないまま、リスクオンの円売りが続くなら、それは米10年債価格が、インフレ材料などを手掛かりに行き過ぎの修正で、リスクオンとは無関係の動きになった場合でしょう。(了)

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先週金曜日のマーケットスクウェアは、「主要国・地域の金融政策を点検」です。

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