今週はこう動く! マーケット羅針盤

2018/02/19 09:30今週の注目通貨(ユーロ)=円高基調なら「売り」の通貨選択、ユーロ/円とユーロ/米ドルで何が違うのか?!

◆要約◆
・代表的な低金利通貨で「売り」に適性のあるユーロは、対円では米ドル安・円高トレンドへの転換に伴うユーロ/円下落トレンドへの転換が、「売り」を考える場合の拠り所。
・一方で対米ドルの場合は米ドル安トレンドが展開している中で、短期的な行き過ぎたユーロ高・米ドル安がユーロ売りの拠り所になるといった違いを意識する必要がありそう。


◆「売り」に適性、低金利通貨の代表格、ユーロを考える

 米ドル安・円高は先週一時105円台まで進むなど、どうやら一時的ではなく、中長期トレンドが米ドル安・円高へ転換している可能性が高くなってきました。米ドル/円が下落する場合、クロス円も下落リスクが高まるのが基本です。そうであれば、「売り」目線で通貨選択を考える必要が強まりそうです。
 「売り」の適性があるのは基本的には低金利通貨。そこで今回は、代表的な低金利通貨であるユーロについて考えてみたいと思います。

◆ユーロ/円、ユーロ/米ドルと52週MA、5年MAとの関係

 「売り」が効果的に機能するのは、基本的には「割高」、「下落トレンド」の組み合わせです≪資料1参照≫。では、ユーロについて、M2Jアカデミアの私の講義に基づき、52週MA(移動平均線)、5年MAとの関係を点検しましょう。

≪資料1≫
 

 まずはユーロ/円について。ユーロ/円は2016年7月頃から上昇トレンドが展開し、現在に至っています≪資料2参照≫。これは、いわゆるBrexit直後ですから、米ドル/円の98円程度からの上昇トレンドの始まりとほぼ同じタイミングでした。

≪資料2=ユーロ/円と52週MA(2000年-)≫
 
(出所:トムソン・ロイターより作成)

 このように見ると、ユーロ/円が上昇トレンドとなったのは、米ドル/円が上昇トレンドになった影響が大きかったと考えられます。そんな米ドル/円は、最初に述べたように下落トレンド(米ドル安・円高)へ転換した可能性が高くなってきました。そうであれば、その影響で、ユーロ/円も下落トレンド(ユーロ安・円高)へ転換した可能性には注目する必要があるでしょう。

 経験的に、ユーロ/円が下落トレンドに転換した場合、52週MAを大きく割り込むことでそれが確認されます。足元の52週MAは128.5円程度なので、ユーロ/円がそれを大きく割り込んできたら、「売り」により適性のある中長期下落トレンドへ転換した可能性が高まるでしょう。

 ではユーロ/米ドルはどうか。ユーロ/米ドルは2016年12月頃から上昇トレンドが始まりました≪資料3参照≫。ところでこれは、米ドルの総合力を示す実効相場の下落トレンドの始まりとほぼ同じタイミングでした≪資料4参照≫

≪資料3=ユーロ/米ドルと52週MA(2000年-)≫
 
(出所:トムソン・ロイターより作成)

≪資料4=米ドル実効相場と52週MA(2000年-)≫
 
(出所:トムソン・ロイターより作成)

 以上のように見ると、ユーロ/米ドルは、米ドル安トレンドへ転換した「裏返し」として上昇トレンド(ユーロ高・米ドル安)へ転換したという面が大きかったと考えられます。そうであれば、米ドル安トレンドが続く中では、ユーロ/米ドルも基本的には上昇トレンドが続く可能性がありそうです。

 ちなみに、ユーロ/米ドルは足元で1.153ドル程度の52週MAを大きく上回る推移となっています。経験的に、52週MAを大きく上回る動きは、上昇トレンドが続いている可能性を示しています。

 では次に、ユーロ/円、ユーロ/米ドルについて5年MAとの関係を見てみましょう。これを見ると、両者とも最近にかけて5年MA(ユーロ/円130円、ユーロ/米ドル1.2ドル)を小幅に上回ってきたことがわかります≪資料5、6参照≫。これは、ユーロが対円、対米ドルで中長期的な割安が修正され、中立圏に戻ってきたことを示しています。

≪資料5=ユーロ/円の5年MAからのかい離率(1990年-)≫
 
(出所:トムソン・ロイターより作成)

≪資料6=ユーロ/米ドルの5年 MAからのかい離率(1990年-)≫
 
(出所:トムソン・ロイターより作成)

◆まとめ

 以上を整理してみましょう。ユーロ/円、ユーロ/米ドルとも、5年MAとの関係では中立圏にあります。両者にある微妙な違いは、52週MAとの関係を見た時、ユーロ/円は下落トレンドへの転換の可能性が出てきたのに対し、ユーロ/米ドルはなお上昇トレンドが継続している可能性が高いという点でしょう。

 これを、改めて「売買の基本的な考え方」に合わせてみると、ユーロ/円、ユーロ/米ドルとも、基本的には「短期の売り」が有効な組み合わせといえそうですが、ユーロ/円の下落トレンドへの転換が確認されると、より売りの適性は高くなるということができるのではないでしょうか

 一方、ユーロ/米ドルについては、5年MAとの関係で見ると中立圏ではありますが、52週MAなどより短期の移動平均線との関係を見ると、かなり「割高」、つまり上がり過ぎ懸念が強くなっています≪資料7参照≫

 以上をまとめると、代表的な低金利通貨で「売り」に適性のあるユーロですが、対円では米ドル安・円高トレンドへの転換に伴うユーロ/円下落トレンドへの転換が「売り」を考える場合の拠り所になるのに対し、対米ドルの場合は米ドル安トレンドが展開している中でも、短期的な行き過ぎたユーロ高・米ドル安がユーロ売りの拠り所になる、といった違いを意識する必要がありそうです。(了)

≪資料7=ユーロ/米ドルの52週MAからのかい離率(2000年-)≫
 
(出所:トムソン・ロイターより作成)

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