今週はこう動く! マーケット羅針盤

2017/06/05 09:05今週の注目通貨(米ドル/円)=米金利低下・米ドル安は今年最後で、長くても一か月以内で終わる?!

◆要約◆
・米ドル「雇用統計ショック」は米ドル/円と連動する米10年債利回り大幅低下が主因。
・「行き過ぎ」やアノマリー参考なら、「米金利低下=米ドル安」は6月クライマックス?!


◆米ドル「雇用統計ショック」の背景と今後の見通し

 2日の米5月雇用統計発表をきっかけに米ドルは111円半ばから一時110円台前半へ急落しました。こんなふうに、米ドル「雇用統計ショック」となったのは、やはり米10年債利回りが「雇用統計発表後に200日移動平均の2.17%を割り、一時は年初来最低の2.14%をつけた」(2日付けブルームバーグ)といった具合に大幅低下となったことが主因でしょう。

 このレポートで何度も述べてきたように、米ドル/円は日米10年債利回り差と高い相関関係が続いてきました≪資料1参照≫。ただ日本と米国の10年債利回りを見ると、日本の10年債利回りはこのところほぼ横ばい、「一直線」といった状況が続いてきたので、金利差は基本的には米10年債利回りの上下動で決まってきたわけです≪資料2参照≫

 以上からすると、米ドル「雇用統計ショック」となったのは、雇用統計をきっかけに米10年債利回りが大幅低下になったからということになるでしょうが、ではなぜ5月雇用統計の結果で米10年債利回りは大幅に低下したのでしょうか
 5月雇用統計で、NFP、非農業部門雇用者増加数は事前の予想18万人を下回る13万人にとどまりました。ただ、「FRBのイエレン議長は、雇用環境の改善に必要な就業者数の伸びを『月7万5千〜12万5千人』としており、市場が予想する今月の利上げ確率は高まっている」(6月3日付け朝日新聞)といった具合に、6月利上げ見通しは不変のようです。

 では、6月利上げ予想は不変なのに、なぜ米長期金利は大幅な低下となったかといえば、「7月以降の利上げ時期を巡る見通しが不透明になった」(2日付けブルームバーグ)との解説が基本のようです。
 米利上げは、これまでは6月を含めて年内2-3回との見方が基本だったところが、ここに来て年内は6月だけになるかもしれないとの見方が浮上し、2日発表の5月雇用統計がそんな見方をダメ押すところとなったため、米長期金利は大幅に低下したということでしょうか。
 それでは、そのような理屈などで米10年債利回りはさらにどこまで低下するのでしょうか。米10年債利回りがこのまま2.1%を大きく割り込んでくるなら、90日MA(移動平均線)からのかい離率はマイナス10%以上に拡大する計算になります≪資料3参照≫。経験的には、下がり過ぎ懸念が拡大する意味になりますが、果たして6月利上げ後の米追加利上げ見通しが不透明なら、米長期金利は下がり過ぎ拡大に向かうでしょうか。
 その米10年債は、CFTC統計によるとすでに2007年以来、10年ぶりの「買われ過ぎ」の状況にあります≪資料4参照≫。それでもさらに買いが続き、利回り低下が続くでしょうか。
 米10年債利回りは、過去2年連続で6月から7月初めにかけて年間の天井ないし底値を記録しました≪資料5参照≫。こんなふうに6月頃、米10年債利回りのその年の重要な転換が起こるのは、これまで頻繁に繰り返されてきた「アノマリー」の代表例でした。

 以上をまとめると、足元の米10年債利回り低下は、「下がり過ぎ」や「アノマリー」を参考にしたら、長くても一か月以内でクライマックスを迎える可能性がありそうで、それと米ドル/円の相関関係が続くなら、米ドル安・円高も同様の見通しになるのかもしれません。(了)

≪資料1=米ドル/円と日米10年債利回り差(2016年7月-)≫
 
(出所:Bloombergより作成)

≪資料2=日本と米国の10年債利回り (2016年7月-)≫
 
(出所:Bloombergより作成)

≪資料3=米10年債利回りの90日MAからのかい離率(2000年-)≫
 
(出所:Bloombergより作成)

≪資料4=CFTC統計の投機筋の米10年債ポジション (2007年-)≫
 
(出所:Bloombergより作成)

≪資料5=米10年債利回りと90日MA(2015年-)≫
 
(出所:Bloombergより作成)

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