今週はこう動く! マーケット羅針盤

2017/05/22 11:46今週の注目通貨(米ドル/円)= トランプ・リスク急拡大だが、6月利上げ見通し不変なら米ドル高見通しも著変なし?!

◆要約◆
・トランプ・スキャンダル急拡大だが、その割に米6月利上げ見通しは著変なし。
・米10年債はすでに買われ過ぎで、リスク回避でも米金利低下・円高は限定的か?!

◆トランプ・リスクで米ドル一段高見通しは見直しなのか?


 米ドルは先週一時110円割れ近くまで急反落となりました≪資料1参照≫。ではこれで、先々週にかけて広がり始めていた115円を超える米ドル一段高見通しは見直しが必要になったのかについて、今回は考えてみたいと思います。

 先週の米ドル反落をうまく説明できるのは、やはり日米10年債利回り差でしょう≪資料2参照≫。先週はトランプ米大統領を巡るスキャンダルに関連した報道が相次ぎ、マーケットではリスク回避が広がりました。その結果、安全資産の米10年債が買われ、利回り急低下となったことで、米ドルも急反落したということでしょう。

 トランプ・スキャンダル懸念は簡単には収まりそうにありません。では、リスク回避で米金利が低下し、それに連動して米ドル安・円高となる展開もまだまだ続くでしょうか。
 ただ、CFTC統計によると、投機筋の米10年債ポジションはすでに過去最高の買い越しとなっています≪資料3参照≫。それでも、トランプ懸念からの米10年債買いは続くのでしょうか。普通に考えたら、すでに「買われ過ぎ」の米10年債をさらに買う動きには自ずと限度があるのではないでしょうか

 ところで、先々週にかけて米ドルは114円台へ一段高となりました。それは、米6月利上げの見通しが強まり、米金利が上昇した影響が大きかったと考えられます。では、大統領スキャンダルといった不透明感が急拡大する中、6月利上げの可能性は後退したのでしょうか。
 金融政策を予想するOIS(翌日物金利スワップ)レートは、これまでのところ小幅な低下にとどまっています≪資料4参照≫。ほかの見方でも、「フェデラルファンド(FF)金利先物動向によると、連邦公開市場委員会(FOMC)が6月の会合で政策金利を引き上げる確率は98%として市場に織り込まれている」(19日付けブルームバーグ)とのことです。

 以上からすると、先週トランプ懸念が急拡大したものの、その割には米利上げ見通しへの影響は限定的だったといえるのではないでしょうか。
 19日付けのブルームバーグに、以下のタイトルの記事がありました。「米金融当局、緩やかな利上げの方針堅持の見通し-政治的混迷でも」。執筆者のR.ミラーは有名なFEDウォッチャーのベテラン・ジャーナリストです。
 この記事の中では、「政治的混迷でも利上げの方針堅持の見通し」の主な理由として、とくに以下の2点をあげていました。
・米金融当局者は、財政政策による景気浮揚の効果を自身の予想に織り込むことに慎重だったため、トランプ政権が掲げる財政刺激策の実現の見通しに曇りが生じつつある現状にも、投資家ほど懸念を抱いていない可能性
・2%を上回るペースでの成長が続いて労働市場の逼迫が続く見通しなら、金融当局が従来の軌道を外れる理由は見当たらない

 トランプ・スキャンダルは「大統領弾劾」含みでまだまだくすぶり続ける可能性がありそうです。ただそれでも、これまで見てきたように米長期金利低下が限られ、また米6月利上げ見通しに変化がないなら、米ドル続落は限られるとともに、米追加利上げ見通しを主なきっかけとした米ドル一段高見通しにも著変はないのではないでしょうか。(了)

≪資料1    =米ドル/円の週足チャート(2016年6月下旬-)≫
 
(出所;Bloombergより作成)

≪資料2=米ドル/円と日米10年債利回り差 (2016年7月-)≫
 
(出所;Bloombergより作成)

≪資料3=CFTC統計の投機筋の米10年債ポジション(2010年-)≫
 
(出所;Bloombergより作成)

≪資料4=FFレートとOISレート (2017年-)≫
 
(出所;Bloombergより作成)

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