今週はこう動く! マーケット羅針盤

2017/05/01 09:39今週の注目通貨(米ドル/円)= なぜ米ドル/円は111円まで戻してきたのか、これからどうなるのか?!

◆要約◆
・111円までの米ドル/円反発は、米金利上昇、米株高と連動した展開。
・景気回復が続く中で基本はリスクオン、行き過ぎの反動でのみリスクオフが起こる。

◆「リスクオフの後退」ではなく「リスクオンの再開」?

 米ドル/円は108円台から、先週は111円台へ戻してきました。では、米ドル/円反発はここまでか、それともさらに112円を超えて広がるかについて、今回は考えてみたいと思います。

 米ドル/円の111円台への反発を比較的うまく説明できるのは日米長期金利(10年債利回り)差です≪資料1参照≫。一時2.2%割れとなった米長期金利が、先週は一時2.3%を大きく超えて上昇したことで、金利差米ドル優位が再拡大し、その中で米ドル/円も反発となったわけです。
 ではなぜ米長期金利は上昇したのか。きっかけは、仏大統領選挙第一回投票の結果を受けて、リスクオフ機運が後退し、代表的な安全資産の米国債も売られたことでしょう。合わせて、トランプ政権が税制改革の骨子を発表することになり、それも米金利上昇要因になったでしょう。
 ただ、仏大統領選挙はまだ決選投票を残しており、その意味では完全にリスクオフ懸念が消えたわけではないでしょう。また、トランプ税制改革発表も、あたかも政権発足から100日目のタイミングに合わせ、急ごしらえで用意した観がありありのものでした。

 私が言いたいのは、上述のような材料に反応して「リスクオン=米金利上昇」となったというより、そろそろ「リスクオフ=米金利低下」が限界に近付いていたことから、その反動で「リスクオン=米金利上昇」が広がりやすくなっていたのではないかということです。
 たとえば、米10年債利回りの90日MA(移動平均線)からのかい離率は一時マイナス10%程度まで拡大し、極端ではないものの、徐々に下がり過ぎ懸念が浮上していました≪資料2参照≫
 このような米金利の下がり過ぎ拡大を後押ししたのは、リスクオフ、株安の動きでしたが、たとえばNYダウの90日MAからのかい離率を見ると、一時の上がり過ぎがほぼ是正された形となってきました≪資料3参照≫

 以上から考えられるのは、4月にかけて広がった米株安、米金利低下は、地政学リスクなどを受けたリスクオフということではなく、正確な言い方としては行き過ぎたリスクオンの反動であり、それがほぼ終わりに近付いたことで、改めてリスクオンが再開しやすくなっていたことが先週の米株高、米金利上昇などの動きだったのではないでしょうか
 当面における基本はリスクオンであり、それが行き過ぎたところでのみ反動からリスクオフが起こる-、私はそのような仮説でこの間の金融マーケットを考えてきましたが、その根底にあるのは景気回復が続いているということです。

 4月28日付けのブルームバーグに、「米金融当局、引き締め姿勢強める可能性-大規模減税で過熱の恐れなら」という記事がありました。
「トランプ米大統領が巨額の減税を通じて景気拡大を加速させれば、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は利上げを進めてブレーキをかけたいと考えるかもしれない。
 米経済は既に最大限の雇用に近づきつつあり、減税実施とそれに伴う財政赤字拡大が見込まれる中では、景気過熱を阻止するため、金融当局は引き締めへの傾斜を強めることになりそうだ」(同記事より抜粋)。
 この記事からわかるのは、トランプ減税が景気回復をもたらすのではなく、景気回復の中でのトランプ減税は景気過熱をもたらす懸念があるため、それ次第で米利上げは加速する可能性があるということです。以上のような見方からすると、米金利は下がり過ぎより、上がり過ぎの時間帯が多くなるのではないでしょうか。(了)

≪資料1 =米ドル/円と日米10年債利回り差 (2016年7月-)≫
 


(出所:Bloombergより作成)

≪資料2=米10年債利回りの90日MAからのかい離率 (2000年-)≫
 


(出所:Bloombergより作成)

≪資料3=NYダウの90日MAからのかい離率 (2000年-)≫
 


(出所:Bloombergより作成)

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【マーケットスクウェア】
先週金曜日のマーケットスクウェアは、「注目度高まる米議会動向」です。
 


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