今週はこう動く! マーケット羅針盤

2017/01/30 10:28今週の注目通貨(米ドル/円)= 続・トランプ新政権スタートの中、なぜ米ドルは下げ渋ったのか?

◆要約◆
・米ドル115円台へ反発は米金利上昇と連動。トランプ政策はインフレ懸念もたらす?!
・トランプ政権は「強過ぎる米ドル」けん制だが、FRB引き締めと逆行なら限界あり。

 
◆新政権スタートで米ドル反発となった理由とは?

 トランプ新政権のスタートを受けて注目された先週の米ドル/円は、一時112円台まで米ドル安となりましたが、週末には115円台を回復する展開となりました≪資料1参照≫。先週のこのレポートで予想したように、意外に米ドルは下げ渋る展開となったわけですが、ではその理由は何か。

 それは、このところ米ドルと相関性の高い米長期金利が下げ渋り、むしろ反発気味に展開した影響が大きかったでしょう≪資料2参照≫。米10年債利回りは今年初めて2.5%台まで反発しました。
 ではなぜ、米長期金利はトランプ新政権スタートの中で反発気味に展開したのか。注目された昨年の米10-12月期GDP成長率は予想を下回るなど、景気指標の発表は好悪、マチマチの結果でした。ただNYダウが2万ドルの大台を突破するなど、リスクオンが広がる中で、安全資産である米債券が売られ、利回り上昇となった面はあったでしょう。
 また、トランプ政権の「雇用と成長を取り戻す」政策は、FRBが完全雇用との認識を強める中ではインフレをもたらす可能性のあるものです。そして保護主義的な政策も、輸入物価の上昇を通じ、やはりインフレをもたらす可能性があるでしょう。

 では米金利は一段と上昇し、米ドル高も進むのか。米長期金利は、90日MA(移動平均線)との関係などを見ると、すでにトランプ政権スタート前から記録的な上がり過ぎが広がりました≪資料3参照≫。これは、トランプ政権でのインフレ・リスク拡大を先取りした可能性があったのではないでしょうか。
 これを見ると、トランプ政権の政策とは別に、米金利は当面さらなる上昇に限界があるのではないでしょうか。そうであれば、米ドルも一段高に向かうということではないのではないでしょうか。

 トランプ政権は、「米国第一」として、「雇用と成長を取り戻す」姿勢を明確にしています。その中で、為替政策は、「強過ぎる米ドル」のけん制、他国の通貨安誘導阻止といった考え方が見えてきました。
 ただ為替政策は、財政・金融政策の結果ということが大原則であり、とくに金融政策と逆行する為替政策は持続性に限界があるでしょう。そうであれば、現行のFRB金融引き締め策、その前提になっている景気回復、物価上昇リスクの展開が、結果的にトランプ政権の為替政策を決めることになると考えるのが基本でしょう。(了)

≪資料1=米ドル/円の日足チャート (2016年10月初め-)≫
 
(出所:M2J FXチャート)

≪資料2=過去一か月の米10年債利回り≫
 
(出所;Bloomberg)

≪資料3=米10年債利回りの90日MAからのかい離率 (2000年-)≫
 
(出所:M2J FX投資判断インディケーター)

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