今週はこう動く! マーケット羅針盤

2016/12/05 08:46今週の注目通貨(ドル円)= 雇用統計「マチマチ」でドル反落、鍵になる米長期金利の「読み」とは?

◆要約◆
・11月米雇用統計マチマチの結果でもドル反落となったのは米長期金利低下の影響か。
・11月以降の米長期金利暴騰は「異常」だったが、トランプ要因は一部に過ぎず?!

◆雇用統計発表後の為替の行方を考える

 先週金曜日は、注目の米11月雇用統計が発表されました。これを受けて、ドルは対円で反落となりました。それはなぜかということについて、今回は考えてみたいと思います。

 11月雇用統計は、注目のNFP、雇用増加数がほぼ予想通り、一方で失業率は予想より大きく改善したものの、他方平均時給は予想を下回るといった具合に、マチマチの結果となりました。それを受けて、なぜドル安・円高となったのか?

 ドルは11月米大統領選挙を前後し大幅高、「トランプ・ラリー」と呼ばれる展開となりました。これをうまく説明できたのは日米10年債利回り差でした≪資料1参照≫。要するに、「トランプ・ラリー」は、米長期金利が急騰した影響が大きかったといえるでしょう。
 そんな米長期金利は、今回の雇用統計を受けて低下となりました。上述のように、「トランプ・ラリー」は、米長期金利の影響が大きかったわけですから、その米長期金利が低下となれば、雇用統計の結果がマチマチでも、ドル反落となったのは当然といえるでしょう。

 それにしても、なぜ米長期金利は、雇用統計の結果がマチマチだったのに低下となったのか。それは、必ずしも雇用統計の影響だけということではなかったのかもしれません。

 米10年債利回りの90日MA(移動平均線)からのかい離率を見ると、さすがにトランプ氏の大統領選挙勝利後の暴騰により、記録的な「上がり過ぎ」になっていました≪資料2参照≫。これを見ると、雇用統計のマチマチの結果でも、「上がり過ぎ」修正で金利低下に反応しやすい状況にあったということではないでしょうか。

 以上のように見ると、今回米雇用統計の結果を受けてドル反落となったのは、米長期金利低下の影響が大きかったと思います。では、米長期金利はもう当面は上がらず、それならドル高・円安も今後は広がらないのでしょうか。

 それを考える上では、最近にかけての米長期金利急騰がトランプ氏の勝利を受け、同氏の政策への期待先行に過ぎないのかを見極める必要があるのではないでしょうか。米金利上昇、ドル高という「トランプ・ラリー」は一時的に過ぎず、早晩反転するとの見方も少なくないわけですから。
 ここで確認したいのは、この米長期金利暴騰は、トランプ勝利以前から一部で予想されていたということです。私はこれを、8月のグリーンスパン元FRB議長の「金利上昇はその速さで我々を驚かすことになる」という発言を中心にこれまでいくつか紹介してきました。

 以上で確認したいのは、最近にかけての米長期金利暴騰は、トランプ勝利の影響だけではなさそうだということです。そうであれば、トランプ勝利後の米金利「上がり過ぎ」が修正された後、米長期金利の方向はやはり「上昇」なのではないでしょうか
それなら、米長期金利との関係からすると、ドル高・円安も、目先的な「行き過ぎ」修正に伴うドル安・円高の可能性はあるとしても、それはあくまで一時的な動きにとどまる見通しということではないでしょうか。(了)

≪資料1=ドル円と日米10年債利回り差(2016年8月-)≫
 
(出所:M2J FX投資判断インディケーター)

≪資料2=米10年債利回りの90日MAからのかい離率≫
 
(出所:M2J FX投資判断インディケーター)

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【マーケットスクウェア】
先週金曜日のマーケットスクウェアのタイトルは、「イタリア国民投票のシナリオ」です。動画をお見逃しの方は是非ご覧ください。

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