今週はこう動く! マーケット羅針盤

2016/06/13 09:59今週の注目通貨(ユーロドル)= 独長期金利低下の「異常」でBrexitでもユーロ安限定的?!

◆要約◆
・ユーロは独10年債利回りの影響が大きい。その独10年債利回りは「異常な低下」に。
・Brexitは懸念されるが、足元1.11ドル程度の52週MAからのユーロ安は限られる?!


◆Brexit懸念でユーロはさらに下がるのか?

英国のEU離脱を巡る国民投票が23日に予定されていますが、その日が迫る中で世論調査などではなおEU離脱支持が多いことから、EU離脱、いわゆる「Brexit」が現実になることへの懸念が強まってきたようです。

一時1.14ドルを超えたユーロが、ここに来て1.12ドル台へ反落したのは、同じ欧州通貨としてBrexitリスク回避での売りが強まった影響も大きかったのでしょう。そこで今回は、Brexitをにらみながら、ユーロ安がさらに広がるかについて考えてみたいと思います。

昨年以降、ユーロドルの動きを比較的うまく説明してきたのは米独10年債利回り差です≪資料1参照≫

ユーロは昨年3月の1.04ドルで底打ち、その後は基本的には横ばいながら、緩やかにユーロ高・ドル安で推移してきましたが、これは米国が昨年12月にゼロ金利解除を行った一方で、ECBは今年3月にかけて追加緩和を続けてきたことでは説明が難しいところでしょう。欧米の金融政策が基本的に逆方向ながら、長期金利は米独もほぼ同じ方向の展開が続き、その影響がユーロドルに大きかったことを理解することが重要でしょう≪資料2参照≫

以上からすると、上述のようにBrexit懸念が強まる中で、欧州の代表的な安全資産である独10年債買いが強まり、利回りが低下する中で、ユーロも反落したということは理解しやすいところでしょう。そしてユーロ安が続くかは、独10年債利回り低下が続くかが、重要な目安になるでしょう。

ところで、その独10年債利回りの90日MA(移動平均線)からのかい離率は、足元でマイナス80%以上に拡大してきました≪資料3参照≫。これは、経験的には異常な独金利低下の可能性を示すものです。

Brexit懸念に加え、米雇用統計悪化に伴う米早期利上げ観測後退、世界経済成長力鈍化への懸念などが重なった結果、独10年債利回りの低下は異常な状況になってきた可能性があるのではないでしょうか。

ユーロは独10年債利回りの影響が大きいというこれまでの関係に変化がないなら、独10年債利回り低下が「異常」と考えられることからすると、さらなる独10年債利回り低下とユーロ下落の可能性は基本的には限られるのではないでしょうか。

一方で、Brexitリスクが一段落するまでは難しいのかもしれませんが、安全資産の独10年債買いが逆流し、利回りの下がり過ぎ修正が本格化するような局面が今後出てくるなら、その場合はユーロも急騰する可能性は少し頭に入れておいても良いかもしれません。

ユーロドルは、中期トレンドで参考になる52週MAが足元1.11ドル程度でそれを上回る動きがこのところ目立っています≪資料4参照≫。それは、経験的には継続的、中期的ユーロ高が始まっている可能性を示すものであり、そうであるなら一時的なユーロ安は1.11ドルの52週MAを大きく、長くユーロが下回らない程度にとどまる見通しになります。

以上のように見ると、Brexitリスクは心配ですが、よほどでない限り、ユーロドルは1.11ドルを大きく、長く下回ることはなく、むしろBrexitリスク一段落などで独10年債利回り下がり過ぎ修正が本格化するようなら、一転してユーロ高リスクが拡大する可能性も出てくるかもしれません。(了)

≪資料1≫
 
≪資料2≫
 
(出所:Bloomberg)
≪資料3≫
 
≪資料4≫
 
(出所:Bloomberg)

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