今週はこう動く! マーケット羅針盤

2016/05/05 11:47(緊急レポート)急落したトルコリラ円の下値メドは?

トルコリラ円(以下、リラ円)が4日、トルコ首相の辞任報道をきっかけに、一時36円を割れる急落となった≪資料1参照≫。では、リラ円の下値メドはどのように考えたら良いか。目先的には35円前後だろう。数か月から半年程度先まで想定した場合は32円前後が一つの目安になるのではないか

<目先の下値メドは35円>
リラ円の90日MA(移動平均線)からのかい離率は、今回の急落を受けてマイナス7%以上に拡大してきた≪資料2参照≫。同かい離率がマイナス10%以上に拡大した例は少ない。ましてやマイナス15%以上に拡大したのは、2008年リーマンショック局面など数えるほどしかなかった。

リラ円の90日MAは、足元で39円程度なので、かい離率マイナス10%なら35円、同15%で33円の計算になる。以上を参考にすると、目先的には35円割れのリスクはあるものの、それ以上に続落する確率は基本的には低い見通しになるだろう。

<リラ安の理由>
今回のリラ円急落は、トルコ首相の辞任観測がきっかけとなった。「エルドアン氏(トルコ大統領)が側近を後継に指名し、個人支配が強化されるとの懸念が広がっているためだ」(5日付け日経新聞電子版)。金融緩和を求める政治的な圧力が強まるとの見方がリラ安懸念の一因となっている。

ただ、トルコ中銀が政策の上限金利を3月、4月と2回引き下げる中でも、リラは対米ドルで1月から1割も上昇した。これは政治的な圧力に屈せず、比較的緩やかな金融緩和にとどめたからなのか。それ以上に米ドル安が1月以降大きく広がった結果、リラ高になったということではないか。

そうであるなら、基本的にはリラの行方は、トルコの政治的事情より、米ドルの影響が重要だろう。要するに、1月からの米ドル安が米ドル高に転換したら、その結果としてのリラ安リスクは要注意だろうが、米ドル安に大きな変化がなければ、リラ安リスクもよほどでなければ限られるだろう

<中期的下値メドは32円>
もう一つ、最近にかけてのリラ安・円高は、一時105円台まで加速したドル安・円高に連れた面が大きいだろう。その意味では、ドル安・円高が中期的に継続している間は、リラ円の続落リスクは意識する必要があるだろう。

2005年以降のリラ円の下値は、日本とトルコの生産者物価購買力平価と概ね一致してきた≪資料3参照≫。そんな購買力平価は足元で32円程度。その意味では、トルコの政治的事情とは別に、ドル安・円高が続く中では、32円前後までのリラ円続落リスクは頭に入れて置く必要があるのではないか。

<リラ円売買戦略の基本的考え方>
以上を踏まえて、リラ円の売買戦略はどう考えたら良いか。上述のような32円程度までのリラ円続落リスクを吸収できるかが一つの判断基準になるだろう。それを考えた上で、リスクヘッジのドル円やユーロ円の売りなど新規の取引を検討するということは一つの考え方だろうが、これも、そして上述のリラ円中期的下値メドも、かねてから私が指摘してきたことの繰り返しである。(了)

≪資料1≫トルコリラ円(日足)

(出所:M2J FX Chart Square)

≪資料2≫トルコリラ円の90日移動平均線からのかい離率


≪資料3≫トルコリラ円と日トルコ生産者物価PPP(購買力平価)

(出所:Bloomberg)

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