2016/03/28 13:38当面の高金利通貨を予想する= 豪ドルストレート上昇続くか?鍵は米早期利上げ観測の動向
◆要約◆
・ドルストレート=豪ドルは中期的底を打ったのか、まだ一時的反発なのか、重要な攻防続く。
・クロス円=株との連動性薄れたクロス円は3月末過ぎると変わるのか?!
1.ドルストレート=豪ドル高は一時的か中期トレンド転換か?
今週は比較的高い金利の通貨について、対米ドル、対円に分けて考えてみたいと思います。とくに豪ドルを中心に考えてみます。
豪ドルの対米ドル相場、豪ドルストレートは3月にかけて一段高となり、一時0.76ドルを突破したものの、その後は豪ドルの上値重い展開となっています。では、豪ドル高はもう終わったのでしょうか。
豪ドルストレートは、足元で0.736ドル程度の52週MA(移動平均線)を今月に入ってから4週連続で上回りました≪資料1参照≫。経験的には、一時的な動きは52週MA前後までがせいぜい、そして52週MAを完全にブレークするのは中期的な基調転換の可能性が高いものです。その意味では、足元の豪ドル高は一時的なのか、それとも中期豪ドル高が始まっているのか、非常に重要な攻防戦の中にあると考えられます。
ところで、昨年以降の豪ドルストレートを比較的うまく説明できるのは米豪2年債利回り差でした≪資料2参照≫。その意味では3月にかけて豪ドルストレートが一段高となったのは、米早期利上げ観測後退を主な理由に、金利差豪ドル優位が拡大したことであり、先週そんな豪ドルの上値が重くなったのは、米早期利上げ観測が一部再燃したことで金利差豪ドル優位拡大が足踏みとなった影響が大きいでしょう。
以上のように見ると、豪ドル高があくまで一時的に終わるか、それともすでに豪ドルは底を打ち、中期的な上昇トレンドに入っているのか、それを決める最大の手掛かりは米早期利上げ観測の動向に注目する必要があるということではないでしょうか。
2.クロス円=株に比べて反発力鈍い豪ドル円は3月末過ぎると変わるのか?
次は同じ豪ドルでも対円取引、クロス円の豪ドル円について考えてみたいと思います。豪ドル円を比較的うまく説明してきたのはNYダウなど株価の動きでしたが、最近はそんな株の反発に比べると、豪ドル円の反発は鈍く、両者のかい離が目立ってきました≪資料3参照≫。
別な言い方をすると、NYダウの反発に比べると、豪ドル円は上値の重い展開となっています。これまでの相関関係からすると、最近にかけてのNYダウ反発により、本来的に豪ドル円は90円近くまで反発してもおかしくないところ、豪ドル円の上値重い展開となってきたわけですが、その主因はドル円の上値の重さでしょう≪資料4参照≫。
ではなぜ、ドル円は株反発に比べて極端に上値重い展開となったのでしょうか。まず考えられるのは、日本企業の決算期末の影響でしょう。そうであれば、3月末を過ぎて、期末要因が一巡した後、このドル円の上値の重さに変化が出てくるかは注目されるところです。その上で、この株価の反発が続くのか。それらが、豪ドル円の反発がこの先も続くかを考える上での鍵ではないでしょうか。(了)
≪資料1≫豪ドル米ドルと52週移動平均線

(出所:Bloomberg)
≪資料2≫豪ドル米ドルと米豪2年債利回り差

(出所:Bloomberg)
≪資料3≫豪ドル円とNYダウ

(出所:Bloomberg)
≪資料4≫ドル円と日経平均

(出所:Bloomberg)
・ドルストレート=豪ドルは中期的底を打ったのか、まだ一時的反発なのか、重要な攻防続く。
・クロス円=株との連動性薄れたクロス円は3月末過ぎると変わるのか?!
1.ドルストレート=豪ドル高は一時的か中期トレンド転換か?
今週は比較的高い金利の通貨について、対米ドル、対円に分けて考えてみたいと思います。とくに豪ドルを中心に考えてみます。
豪ドルの対米ドル相場、豪ドルストレートは3月にかけて一段高となり、一時0.76ドルを突破したものの、その後は豪ドルの上値重い展開となっています。では、豪ドル高はもう終わったのでしょうか。
豪ドルストレートは、足元で0.736ドル程度の52週MA(移動平均線)を今月に入ってから4週連続で上回りました≪資料1参照≫。経験的には、一時的な動きは52週MA前後までがせいぜい、そして52週MAを完全にブレークするのは中期的な基調転換の可能性が高いものです。その意味では、足元の豪ドル高は一時的なのか、それとも中期豪ドル高が始まっているのか、非常に重要な攻防戦の中にあると考えられます。
ところで、昨年以降の豪ドルストレートを比較的うまく説明できるのは米豪2年債利回り差でした≪資料2参照≫。その意味では3月にかけて豪ドルストレートが一段高となったのは、米早期利上げ観測後退を主な理由に、金利差豪ドル優位が拡大したことであり、先週そんな豪ドルの上値が重くなったのは、米早期利上げ観測が一部再燃したことで金利差豪ドル優位拡大が足踏みとなった影響が大きいでしょう。
以上のように見ると、豪ドル高があくまで一時的に終わるか、それともすでに豪ドルは底を打ち、中期的な上昇トレンドに入っているのか、それを決める最大の手掛かりは米早期利上げ観測の動向に注目する必要があるということではないでしょうか。
2.クロス円=株に比べて反発力鈍い豪ドル円は3月末過ぎると変わるのか?
次は同じ豪ドルでも対円取引、クロス円の豪ドル円について考えてみたいと思います。豪ドル円を比較的うまく説明してきたのはNYダウなど株価の動きでしたが、最近はそんな株の反発に比べると、豪ドル円の反発は鈍く、両者のかい離が目立ってきました≪資料3参照≫。
別な言い方をすると、NYダウの反発に比べると、豪ドル円は上値の重い展開となっています。これまでの相関関係からすると、最近にかけてのNYダウ反発により、本来的に豪ドル円は90円近くまで反発してもおかしくないところ、豪ドル円の上値重い展開となってきたわけですが、その主因はドル円の上値の重さでしょう≪資料4参照≫。
ではなぜ、ドル円は株反発に比べて極端に上値重い展開となったのでしょうか。まず考えられるのは、日本企業の決算期末の影響でしょう。そうであれば、3月末を過ぎて、期末要因が一巡した後、このドル円の上値の重さに変化が出てくるかは注目されるところです。その上で、この株価の反発が続くのか。それらが、豪ドル円の反発がこの先も続くかを考える上での鍵ではないでしょうか。(了)
≪資料1≫豪ドル米ドルと52週移動平均線

(出所:Bloomberg)
≪資料2≫豪ドル米ドルと米豪2年債利回り差

(出所:Bloomberg)
≪資料3≫豪ドル円とNYダウ

(出所:Bloomberg)
≪資料4≫ドル円と日経平均

(出所:Bloomberg)
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※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
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