今週はこう動く! マーケット羅針盤

2016/02/29 13:20当面の欧州通貨を予想する= ユーロ安かユーロ高か、鍵は「独金利低下バブル」が握る?!

◆要約◆
・ユーロ=ユーロ高は一時的か基調転換かの攻防続く。鍵を握るのは独長期金利低下バブル。
・ポンド=EU離脱懸念のポンド急落も行き過ぎの反動局面。理屈なき乱高下は要注意。


1.ユーロ=中期トレンド判断の目安、52週MAとの攻防続く


今週は、欧州通貨の当面の見通しについて考えてみたいと思います。

まずはユーロについて。ユーロは先週久しぶりに1.10ドルを割り込んできました≪資料1参照≫。これをうまく説明できるのは米独長期金利差です。要するに、独長期金利が大きく低下する中で、ユーロは1.10ドルを割れてきたということでしょう。

1.10ドル程度は、52週MA(移動平均線)とほぼ一致します。つまりユーロは4週間ぶりに52週MAよりユーロ安・ドル高となったわけです≪資料2参照≫。経験的には、一時的な動きは52週MA前後までにとどまるものですが、ではまだ中期ユーロ安トレンドが続いており、ユーロ高はあくまで一時的に過ぎないのでしょうか。

ただ、足元のユーロ安に影響していると考えられる独長期金利低下は、90日MAからのかい離率がすでにマイナス70%近くまで拡大しており、経験的には異常な金利低下、「金利低下バブル」の可能性があります≪資料3参照≫。

以上からすると、ユーロがさらに下がるのは、「金利低下バブル」がさらに続く場合ということになるでしょう。そうではなくて、「金利低下バブル破裂」となり、独金利が一転急騰に転じるようなら、いよいよユーロは52週MAを大きく上抜けていく可能性も出てくるかもしれません。

ところで、方向感のない展開が長く続いているユーロドルと異なり、ユーロ円は先週一時122円台を記録するなどユーロ安・円高が続いています。続落するクロス円の中でも、ユーロ円はユーロが円と並ぶ超低金利通貨という点が異色ともいえる存在であり、比較的売りの判断がしやすい通貨ペアとはいえるでしょう。

そんなユーロ円は、5年MAからのかい離率で見ると、いよいよ割高が修正され、ほぼニュートラルな水準まで下落してきました≪資料4参照≫。今後は5年MAとの関係ではユーロ割安拡大に向かうかが注目されるわけです。上述のように、独金利との関係でユーロが急反発するリスクは、ユーロ円でも少し意識する必要はあるのではないでしょうか

2.ポンド=90日MAでは短期下がり過ぎ、5年MAでは中期ニュートラルに


英ポンドは、英国のEU離脱懸念をおもな材料に先週にかけて一段安となりました≪資料5参照≫。これは、金利差などでは全く説明できない動きであり、またさすがに90日MAからのかい離率で見ると、記録的な下がり過ぎの可能性がありました≪資料6参照≫。

先週からポンド円の急落が一服し、反発気味に転じた背景には、このような行き過ぎた動きの反動の影響が大きかったのではないでしょうか。ポンド円は5年MAからのかい離率で見ても、中期的なポンド割高は一気に修正された形になっています≪資料7参照≫。

英国のEU離脱について、慶応大学准教授の小幡績氏は「トランプが大統領になるよりも遙かに衝撃的な事件となるだろう」と述べていました。そのリスクが6月国民投票にかけてくすぶるなら、ポンドが売られ、5年MAから割安拡大に向かう可能性はあるでしょう。

ただ、先に見てきたユーロとポンドの違いは、ポンドは少し金利が高いということ、そして曲がりなりにもユーロは独長期金利で説明できる面があるのに対し、最近にかけてのポンド急落は、金利でも全く説明できないものだったということです。下がる時に理屈のない通貨は、理屈抜きで上がる可能性も少し意識する必要はあるのではないでしょうか。(了)

≪資料1≫ユーロドルと米独10年債利回り差

(出所:Bloomberg)

≪資料2≫ユーロドルと52週移動平均線

(出所:Bloomberg)

≪資料3≫独10年債の90日移動平均線からのかい離率

(出所:Bloomberg)

≪資料4≫ユーロ円の5年移動平均線からのかい離率

 
≪資料5≫ポンド円と日英2年債利回り差

(出所:Bloomberg)

≪資料6≫ポンド円の90日移動平均線からのかい離率


≪資料7≫ポンド円の5年移動平均線からのかい離率

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