今週はこう動く! マーケット羅針盤

2016/02/08 11:27当面のユーロを予想する=1.1ドル割れず1.2ドル超への中期ユーロ高の始まりか、鍵は長期金利

◆要約◆
・ユーロドルは米独長期金利差に連動。金利差見通しからユーロ高・ドル安傾向の可能性。
・1.10ドルを割れず1.2ドルを超える中期ユーロ高に展開していくのかが試される局面に。


1.なぜユーロ高か、そしてこの先のシナリオとは?

ユーロは先週一時1.12ドル台を記録、昨年10月以来の水準まで上昇しました。そんなユーロドルの推移を比較的うまく説明できるのは、米独10年債利回り差です≪資料1参照≫。この米独10年債利回り差との関係を見ると、ユーロが一段高になったのは、米独10年債利回り差ドル優位縮小にユーロ高・ドル安が追随した動きといえそうです。

では、なぜ米独10年債利回り差ドル優位は最近にかけて縮小傾向を辿ってきたのか。それは、米10年債利回りが独10年債利回りより大きく低下したからでしょう。年明けから世界的株安が広がり、米景気指標も予想より悪い結果が増える中で、米10年債利回りは2.2%超から1.18%台へ0.4%程度も低下しました。

一方の独10年債利回りも0.6%超から0.3%割れへ大幅な低下となりましたが、絶対水準の違いから、低下幅としては米国のそれが独を上回った結果、金利差はドル優位縮小となったわけです。

それにしても、ユーロドルは米独の長期金利差次第といったこれまでの関係がこの先も続くなら、ユーロドルの見通しはどうなるか。米独の10年債利回りについて、90日MA(移動平均線)からのかい離率で見ると、ともにかなり下がり過ぎ懸念が強くなっていますが、とりわけ独金利の記録的な下がり過ぎが目立ちます≪資料2、3参照≫。

これを見る限り、さらなる金利低下では米が独以上となり、下がり過ぎ修正で金利上昇となった場合は、独が米を上回るといった具合に、どちらの場合も金利差ドル優位縮小傾向が変わらない可能性が高いのではないでしょうか。そうであるなら、ユーロ高・ドル安傾向が続く可能性が高いのではないでしょうか。

さて、ユーロ高・ドル安が続く中で、先週は足元で1.10ドル程度の52週MAより大きくユーロ高・ドル安となってきました≪資料4参照≫。経験的には一時的な動きなら52週MAを大きくブレークしない程度にとどまり、逆に大きくブレークするようなら継続的、中期的なユーロ高が始まっている可能性が高くなります。

これまで見てきたように、金利差ドル優位縮小傾向が続き、52週MAよりユーロ高・ドル安の動きが今後も続くようなら、それは中期的ユーロ高トレンドが展開している可能性があるものだけに注目されるでしょう。

ちなみに、ユーロドルは5年MAからのかい離率で見るとすでに記録的なユーロ割安となっています≪資料5参照≫。そんな割安修正が本格化し、中期的なユーロ高が始まっているのかが試される局面を迎えているということでしょう。

2015年のユーロドルは1.04-1.19ドルと最大値幅は1500ポイント程度でした。今年も同じ程度の年間値幅として、1.07ドルが今年のユーロ下限とするなら、ユーロ高・ドル安は今年中に1.2ドルを大きく超えていくといった計算になります。

上述のように、中期的なユーロ高トレンドへ転換したなら、一時的ユーロ安でも52週MAを大きくブレークしないのが経験則の示すところですから、もしも中期ユーロ高へ転換したなら、もはや1.10ドルを大きく割り込まず、1.20ドルを大きく超えるユーロ高・ドル安が始まっているといった見通しになるわけですが、果たしてどうか。

それは、最初に見てきたように、ユーロドルと米独10年債利回り差の相関関係に大きな変化がないなら、金利差の動きを見極めながら判断するというのが基本になるのでしょう。

最後にユーロ円について少しだけ見ましょう。ユーロ円の5年MAからのかい離率は、ユーロドルのそれと異なりなおユーロ割高圏での推移となっています≪資料6参照≫。これはもちろんドル高・円安が続いた影響が大きいでしょう。その意味では、ユーロ円の割高修正は、ドル安・円高が最大の鍵を握っているのでしょう。

5年MAからのかい離率を見る限り、ユーロは対米ドルより対円では戻り売りの判断がしやすい状況にありそうです。今回見てきたように、ユーロ高・ドル安が進む局面では、それに連れてユーロ高・円安になる可能性はあります。ただ、ユーロ高・ドル安は、基本的にはドル安・円高と並行しそうですから、どちらのペースが早いかの見極めが短期的には重要になりそうです。(了)

≪資料1≫ユーロドルと米独10年債利回り差
 
(出所:Bloomberg)

≪資料2≫米10年債利回りの90日移動平均線からのかい離率
 
(出所:Bloomberg)

≪資料3≫独10年債利回りの90日移動平均線からのかい離率

(出所:Bloomberg)

≪資料4≫ユーロドルと52週移動平均線

(出所:Bloomberg)

≪資料5≫ユーロドルの5年移動平均線からのかい離率

(出所:Bloomberg)

≪資料6≫ユーロ円の5年移動平均線からのかい離率

(出所:Bloomberg)

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