今週はこう動く! マーケット羅針盤

2016/01/18 13:322016年の高金利通貨を予想する=豪ドル円、リラ円の中期安値メドは?豪ドルストレートの年間予想レンジは?

◆要約◆
・クロス円=金利差ではなく株、ドル円次第。中期円高へ転換なら下値リスク拡大注意。
・豪ドルストレート=基本は0.65-0.75ドルのレンジ相場。中期基調転換は米金融政策次第。


1.クロス円=「株→ドル円→クロス円」が基本


今回は2016年の高金利通貨の予想を考えてみたいと思います。まずは対円相場について。

比較的金利の高い通貨の代表として、とくに豪ドルについて考えてみます。豪ドル円は、昨年夏頃から大きく急落しました。ところで、この豪ドル円急落の動きは、日豪金利差ではほとんど説明できないようです≪資料1参照≫。なぜ金利差豪ドル優位が急縮小したわけでもないのに、豪ドル円は昨年夏以降急落したのでしょうか。

この昨年夏以降の豪ドル円急落を比較的うまく説明できるのは米国などの株価です≪資料2参照≫。要するに、昨年夏以降、金利差に大きな変化がない中で豪ドル円が急落したのは、株価が急落したからということになるでしょう。

ではなぜ、豪ドル円は株価との相関性が高い展開が続いたのでしょうか。それは豪ドルではなく円の影響が大きかったのでしょう。ドル円は日経平均など株価と高い相関関係が続きました≪資料3参照≫。以上を整理すると、「株→ドル円→豪ドル円」という関係が基本だったのではないでしょうか。

ちなみに、昨年の豪ドルなどおもな高金利通貨の対円下落月トップ3は、ドル円のそれとほぼ一致しました≪資料4参照≫。豪ドルなど高金利通貨が対円で下落する最大の理由はドル円の下落であり、それは金利差より株価の影響が大きいということでしょう。

以上のように見ると、2016年の高金利通貨の対円相場を考える上では、中期ドル高・円安基調がまだ続いているのか、それとも中期ドル安・円高基調への転換が始まっているかの見極めが最も重要ということになるでしょう。

年明け早々、ドル安・円高の動きが目立っています。これが一時的ならともかく、中期ドル安・円高基調における動きなら、中期的にドル安・円高が続く中で高金利通貨の対円下落リスクも注意する必要があるでしょう。

中期的な豪ドル円の下値メドについては、たとえば購買力平価との関係で考えてみましょう。豪ドル円の長期トレンドは、消費者物価の購買力平価を豪ドル上限に、生産者物価の購買力平価を下限に推移してきました≪資料5参照≫。足元で前者は102円程度、後者は50円程度です。この中間点が76円程度になりますから、中期ドル安・円高が展開しているなら、その間に少なくともこの購買力平価の中間点を下回る程度の豪ドル安・円高リスクは警戒する必要があるのではないでしょうか。

同じように、トルコリラ円の下値めども、購買力平価で考えてみましょう。2005年以降で見ると、リラ円の安値は、生産者物価の購買力平価とほぼ一致してきました≪資料6参照≫。これを参考にすると、中期ドル安・円高基調が一段落するまでに、リラ円の下値リスクとして32円前後までは意識する必要があるのかもしれません。

2.豪ドルストレート=2016年は0.65-0.75ドル、短期は金利差が鍵

次に比較的金利の高い通貨の対米ドル相場、つまりドルストレートの見通しについて考えてみましょう。豪ドルの対米ドル相場、ドルストレートは、米豪金利差とある程度似たような展開が続きました≪資料7参照≫。これがこの先も続くなら、豪ドルストレートの短期的な見通しは金利差次第ということになります。

それにしても、先に見てきたように、豪ドル円といったクロス円は株やドル円次第だったのに対し、豪ドルストレートは金利差次第といった具合に、同じ高金利通貨でもクロス円とドルストレートでは、注目点が全く違ってきたわけです。

さて、話を豪ドルストレートに戻しましょう。豪ドルストレートは金利差次第ということなら、米利上げが続くか、それとも最近の世界的なリスクオフ拡大などを受けて、米利上げが「中断」、さらにゼロ金利復活へ向かう可能性があるかは、豪ドルストレートの短期見通しを考える上で最大の焦点ということでしょう。

一方で中期的な観点で見ると、豪ドルストレートは5年MA(移動平均線)からのかい離率でも、購買力平価との関係でもかなり記録的な割安圏での推移となっているようです≪資料8、9参照≫。その意味では、経験的にはすでに下値余地が限られる水準に達しているということでしょう。

それでも金利差豪ドル優位縮小傾向が続くなら、豪ドルストレートは中期的な安値圏でのレンジ相場、たとえば0.65-0.75ドル中心のレンジ相場が展開する見通しとなり、もしも米利上げ中断といったことで金利差豪ドル優位縮小が一巡するようなら、豪ドルストレート割安修正本格化に伴う中期的な豪ドル高への転換の可能性が出てくるかもしれません。

豪ドル高が一時的ではなく、中期的な基調の転換を受けたものなら、経験的には52週MAを大きくブレークする可能性が高まります。足元の52週MAは0.75ドル程度なので、米金融政策見通し次第で、豪ドルストレートは中期安値圏でのレンジか、それとも中期豪ドル高の始まりかが決まるのではないでしょうか≪資料10参照≫。(了)

≪資料1≫豪ドル円と日豪2年債利回り差
 
(出所:Bloomberg)

≪資料2≫豪ドル円とNYダウ

(出所:Bloomberg)

≪資料3≫ドル円と日経平均

(出所:Bloomberg)

≪資料4≫2015年中の対円での下落率トップ3

(出所:Bloomberg)

≪資料5≫豪ドル円と購買力平価(PPP)

(出所:Bloomberg)

≪資料6≫トルコリラ円と生産者物価PPP

(出所:Bloomberg)

≪資料7≫豪ドル米ドルと米豪2年債利回り差

(出所:Bloomberg)

≪資料8≫豪ドル米ドルの5年移動平均線からのかい離率

(出所:Bloomberg)

≪資料9≫豪ドル米ドルとPPP

(出所:Bloomberg)

≪資料10≫豪ドル米ドルと52週移動平均線

(出所:Bloomberg)

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

「今週はこう動く! マーケット羅針盤」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ