今週はこう動く! マーケット羅針盤

2016/01/04 09:502016年のドル円を予想する=円安か円高か、最大テーマは「大恐慌後の失敗」回避できるか

◆要約◆
・オバマ政権下の「慎重な出口政策」の中で維持された株高、ドル高は2016年も続くか?
・焦点は米利上げを世界経済が吸収できるか。「大恐慌後の失敗」回避できるか正念場。


ドル円は2011年の75円から、2015年6月の125円までドル高・円安が続いてきました≪資料1参照≫。では、2016年は125円を超える一段のドル高に向かうのか、それともドル高はすでに125円で終わり、中期的なドル安・円高に向かうのか。結論的にいうと、それはやはり株の動き次第ではないでしょうか。

◆米利上げ後も慎重な出口政策での株高、ドル高は変わらないのか

2015年のドル円は115-125円という最大値幅10円にとどまりました。2016年は4年に一度の米大統領選挙が予定されています。経験的には、米大統領選挙の年のドル円は小動きになりやすいのですが、では2015年に続き2年連続で年間値幅は10円程度の小動きが、この2016年も続くのでしょうか。

米大統領選挙年のドル円が方向感が出にくく、小動きに終始しやすかったのは、「世界のリーダー」ともいえる米大統領が決まるまで動きにくいということがあったのではないでしょうか。

今年の場合、オバマ政権が2期8年の任期を全うし、新政権が誕生することは確実な見通しになっています。その上で民主党政権の継続になるのか、それとも共和党が8年ぶりに政権へ返り咲くことになるのか。では、それは通貨、金融、通商など為替相場に影響する政策を変更させる可能性はあるのか。

新政権誕生は確実ですが、今のところ上述のような為替相場に影響しそうな政策が、大統領選挙の大きな争点になっている感じはありません。現オバマ民主党政権は、1期目に取り組んだ「100年に一度の危機」からの脱出策を経て、2期目は金融政策の正常化を慎重に進めることを中心とした出口政策に取り組みましたが、それは新政権にも基本的には継承される見通しでしょう。

このオバマ政権下での慎重に出口政策を進める動きは、株高基調を維持し、そして為替相場におけるドル高傾向の維持をもたらしました。新政権も、そんな慎重な出口政策を継承するなら、問題はそれを受けた株高、ドル高が続くのか、それとも慎重に出口政策を進める中でも、株高、ドル高の維持が困難になるかという視点で考える必要があるのではないでしょうか。

◆「米利上げ後はドル安」が経験則、「異例のドル高」になるかは株次第

「慎重な出口政策」ではありますが、2015年12月、FRBはついに2008年12月から続けてきたゼロ金利政策の解除という利上げに動きました。では、この米利上げが為替相場にどう影響するかを考えてみましょう。

米国が金利を上げると、ドルはいよいよ上がりそうな気がしますが、経験的にはむしろ逆といえそうです。1990年以降の3回の米利上げ局面では、最初の利上げの後は3-14カ月で8-27%のドル下落となっていました≪資料2参照≫。おおまかにいえば、「利上げ開始まではドル高、利上げ開始後は一旦ドル安」というのが、これまでの基本だったようです。

2015年12月の米利上げ後、ドルは123円から120円へ反落となりましたが、これはむしろ上述の経験則通りといえます。さらに経験則通りの展開が続くなら、少なくともドルは春にかけて110円を目指すといった見通しになるでしょう。

そうではなくて、今回は経験的には異例の「米利上げ後のドル高」になる可能性はあるのか。その鍵を握っているのは株の動きではないでしょうか。そもそも、過去4年間の対円での大幅なドル高は、日米などの株の大幅高との連動性が強いものでした。慎重な出口政策を進める中で、株高基調が維持され、その中でドル高・円安が続きました。

ただし、その慎重な出口政策も、利上げという新たなステージに踏み出しました。昨年後半、中国を中心に世界的に株価の不安定な動きが広がりましたが、それは中国固有の要因もあったでしょうが、より巨視的には米利上げへの移行の世界経済の耐久度が試されるといったことがあったのではないでしょうか。

米国が利上げにより慎重な出口政策を一歩前進させることも、世界経済は吸収し、株高傾向は続くのか。それとも、昨年の中国株の暴落や原油価格の暴落は、世界経済がいまでもなお、さらなる米国の出口政策には耐えられない前兆で、それがいよいよこの2016年に顕在化することになるのか。

◆「大恐慌後の失敗」教訓の「慎重な出口政策」は奏功するのか否か


オバマ政権が誕生する前に表面化したリーマンショックなどの「100年に一度の危機」は、1930年代中心に広がった大恐慌と例えられるものでした。その大恐慌からの脱出に指導力を発揮したのはFDR、米ルーズベルト政権のニューディール政策とされています。

FDR政権の下、NYダウは1932年に底打ちし、大恐慌の経済混乱は改善に向かいます。これに対し、約5年後の1937年、FRBが金融引き締めに転換したことをきっかけに、世界経済の不安定化が再燃し、それが第2次世界大戦に突入するきっかけとなりました。

オバマ政権もFRBも、この大恐慌の教訓はよく研究していることでしょう。その上で慎重に進めた出口政策において、米利上げ開始は、2009年のNYダウ底打ちから6年後になりました。

この慎重さが、「大恐慌後の失敗」再来の回避に奏功することになるのか、それとも「悪夢の歴史」は結局繰り返されることになってしまうのか。それが2016年の株と、そしてドル円の行方を決めることになるのではないでしょうか。(了)

≪資料1≫ドル円(2011/11〜)

(出所:M2J FX Chart Square)

≪資料2≫ドル円(1990/1〜)

(出所:Bloomberg)

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