今週はこう動く! マーケット羅針盤

2015/12/07 11:19金利差のある通貨ペアを予想する=豪ドルストレートは0.70-0.75ドル中心か?

◆要約◆
・(ドルストレート)=原油安・米利上げ見通しでも豪ドル上昇だが、まだ一時的か。
・(クロス円)=9月からの反発の背景は「株高・円安」。今後の行方も株に注目。



(出所:買いスワップはM2J、割高安度はM2J投資判断インディケーターに基づく)

1.ドルストレート=原油安・米利上げ見通しでも豪ドル高の理由は?

今週は、比較的金利差のある通貨ペアをとりあげて考えてみたいと思います。対米ドル取引の「ドルストレート」と、対円取引、「クロス円」に分けて考えてみます。

まずはドルストレートについて。豪ドルのドルストレートは、11月から上昇傾向が続き、0.73ドルを大きく上回ってきました≪資料1参照≫。ただこの動きは、基本的に相関性の高いCRB指数が下落傾向となった動きと大きくかい離したものでした。原油価格が40ドルを割れるなど急落再燃となる中で、CRB指数が下落傾向となっている動きは理解しやすいところですが、ではなぜ豪ドルストレートはそれを尻目に上昇傾向となっているのか

11月以降の豪ドルストレート上昇をある程度説明できるのは金利差でしょう≪資料2参照≫。金融政策を反映する2年債利回りの米豪金利差は、米利上げを織り込む形で米金利が上昇している中で、一方の豪金利も豪利下げ観測の後退に伴い上昇し、結果として金利差は豪ドル優位が11月以降拡大傾向となったわけです。

こういった中で、豪ドルストレートは、足元0.725ドル程度の120日MA(移動平均線)も上回り始めました≪資料3参照≫。この120日MAは、ヘッジファンドの売買転換点とある程度一致します。そのヘッジファンドなどの取引を反映しているCFTC統計では豪ドル大幅売り越しが続いてきました≪資料4参照≫。豪ドルが120日MAを上回り始めたことで、豪ドル売りの見直しが迫られている可能性があるでしょう。

普通に考えると、米利上げ観測の中で豪ドルストレートは下がりそうです。また資源国通貨の代表格である豪ドルは、原油価格急落再燃、CRB指数下落傾向の中ではやはり下がりそうです。

にもかかわらず、11月以降豪ドルストレートが上昇傾向となってきたのは、以上のように豪ドル利下げ観測後退や、投機豪ドル売り戦略見直しなどの影響が大きかったと考えられます。

では、これは2011年から続いてきた中期豪ドル安トレンドの転換が始まっているものなのか、それともあくまで一時的豪ドル高に過ぎないのか。原油価格が続落し、その一方で米利上げ見通しに変化がない中で、普通に考えたら中期豪ドル安・米ドル高トレンドが変化している可能性は少ないでしょう。

一時的な豪ドル高なら、経験的には52週MAは大きくブレークしない程度にとどまります。足元の豪ドルストレートの52週MAは0.757ドル程度ですから、以上を整理すると、当面の豪ドルストレートが0.75ドルを大きく超える可能性はまだまだ低いのではないでしょうか≪資料5参照≫。

一方で豪ドル売り見直しに伴う豪ドル買い戻しが続くなら、豪ドルはある程度の底固い展開も期待できそうです。豪ドルは5年MAからのかい離率で見ると、記録的な対米ドル割安圏にありますが、そんな割安圏、たとえば0.70-0.75ドル中心のレンジ相場が当面続くといった見通しが維持されるのではないでしょうか

2.クロス円=反発が続くかは「株高=ドル高・円安」が続くか次第

次に金利差のあるクロス円について考えてみたいと思います。たとえばNZドル円は一時83円台まで反発するなど、9月からの戻りトレンドが続いています。ただこれは、金融政策を反映する日NZ2年債利回り差ではほとんど説明できないでしょう≪資料6参照≫。

9月からのNZドル円の反発を、金利差より説明できるのはNYダウなど株の動きです≪資料7参照≫。株が9月から大きく反発し、なお高値圏での推移が続く中で、NZドル円も反発傾向が続いているということでしょう。

それにしても、なぜNZドル円は株の動きと連動性が強い状況が続いているのでしょうか。それはドル円が日経平均など株との相関性が高いことの影響が大きいのではないでしょうか≪資料8参照≫。「株→ドル円→NZドル円などクロス円」といった関係が基本になっているということではないでしょうか。

以上の前提に大きな変化がない限りは、クロス円の戻り傾向が続くかは、「株高=ドル高・円安」が続くかが鍵ということになるでしょう。(了)

≪資料1≫豪ドル米ドルとCRB指数

(出所:Bloomberg)

≪資料2≫豪ドル米ドルと米豪2年債利回り差
 
(出所:Bloomberg)

≪資料3≫豪ドル米ドルと120日移動平均線

(出所:Bloomberg)

≪資料4≫CFTC統計の豪ドル・ポジション

(出所:Bloomberg)

≪資料5≫豪ドル米ドルと52週移動平均線

(出所:Bloomberg)

≪資料6≫NZドル円と日NZ2年債利回り差

(出所:Bloomberg)

≪資料7≫NZドル円とNYダウ

(出所:Bloomberg)

≪資料8≫ドル円と日経平均

(出所:Bloomberg)

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