今週はこう動く! マーケット羅針盤

2015/11/16 14:40「金利差小幅の通貨ペア」の予想= 米利上げ観測の割にドル伸び悩みの理由は株安

◆要約◆
・(ドル円)米利上げ観測の割にドルが伸び悩んだのは株安広がったから。今週も株に注目。
・(ユーロ) 米独金利差は短中期より長期が拡大せず。ユーロドルは長期金利差と連動。


(M2J取扱い通貨ペアの“買いスワップ”と“割高・割安度)
*注.買いスワップは1万通貨あたり

1.ドル円とユーロを予想する

先週のドルは、6日発表の米10月雇用統計が予想よりかなり良かったことから米12月利上げ観測が急拡大した中で取引スタートとなったものの、その割には伸び悩む展開となりました。米ドルの総合力を示す実効相場は、一週間を通じてほぼ横ばいとなりました≪資料1参照≫。

ではなぜ、12月利上げ観測がある中でも米ドルは上げ渋るところとなったかといえば、株が下がったことが一因でしょう。ではなぜ米株は下がったか。一つには米利上げを嫌気したことがあるでしょうが、もう一つ、原油価格の下落再燃に反応した面もありそうです≪資料2参照≫。

≪資料1≫ドル実効レートの日足終値と90日移動平均線
(出所:Bloomberg)

≪資料2≫原油価格とNYダウ(2015年5月以降)
(出所:Bloomberg)

以上のように見ると、今週のドルの行方を考える上では、先週からの株安がさらに広がるかの見極めが鍵になるでしょう。この観点からすると、先週末起こったパリ同時テロ事件も、ISの犯行としてシリアへの空爆といった動きになっていることが、原油相場へどのように影響するかは、じつは一つ注意する必要があるのかもしれません。

また、米株は経験的に感謝祭(11月26日)までに年内の下落リスクが一巡するのが基本ですが、そんな「年内最後の下落」が来週にかけてどの程度起こるかも注目されます。


では、個別の通貨ペアについて考えてみましょう。今回はドル円、ユーロ円、ユーロドルといった比較的金利差の小幅な通貨ペアを取り上げてみたいと思います。

金利差の乏しい通貨ペアは基本的には売り買いどちらもできるものです。では価格変動リスクはどうかといえば、5年MA(移動平均線)からのかい離率を参考にした中期的な割高割安度を見ると、ドル円はドル割高度が比較的高く、逆にユーロドルはユーロ割安度が比較的高い状況にあるようです。

では、金利差がなく中期的に割高懸念が強いドル円は、今週はいよいよ下がるリスクが高いのか、それともまださらにドル割高拡大に向かう可能性があるのか。それを考える上での鍵が株の動きということでしょう。

たとえば、ドル円に米金融政策を反映する米2年債利回りのグラフを重ねてみると、先週から米金利上昇ほどドル高・円安にはなっていません≪資料3参照≫。これは、米利上げ観測がある中でも、株安が広がったことからドル円が上げ渋ったということを示しているでしょう。

≪資料3≫ドル円と米日利回り差
 (出所:Bloomberg)

次にユーロドルについて考えてみましょう。ユーロドルも、金融政策を反映する米独2年債利回り差との関係を見ると、金利差ほどユーロ安・ドル高になっていないことがわかります≪資料4参照≫。ユーロドルは、むしろ米独10年債利回り差との相関性が高い状況が続いています≪資料5参照≫。

では、米独間ではなぜ2年債利回り差ほど10年債利回り差は拡大していないのか。これも株安の影響により、米長期金利は短中期金利ほど上昇しなくなったことが一因でしょう。こんなふうに考えると、ユーロドルの行方も株の動きが重要な鍵を握っているということになるのではないでしょうか。

ユーロドルは、金利差が比較的乏しく、一方で5年MAからのかい離率を参考にすると中期的にユーロ割安度が高くなっているようです。ではそんなユーロドルが目先的にさらに割安を拡大に向かうのか、それとも上がるのか。それを考える上での目安が株の動きだと私は考えています。(了)

≪資料4≫ユーロドルと独米2年債利回り差
(出所:Bloomberg)

≪資料5≫ユーロドルと独米10年債利回り差
(出所:Bloomberg)

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