今週はこう動く! マーケット羅針盤

2015/08/31 13:589月の為替を予想する=ドル反発は122円前後までか、それとも「通過点」なのか?!

◆要約◆
・「8・24パニック」の値動きは116円でドル安終了か、2か月後更新両方の可能性示唆。
・「戻り売り」か「押し目買い」かの判断は中期円安継続か円高へ基調転換かの判断と一致。


1.「8・24パニック」値動き2大特徴の示唆する2つのシナリオ


ドルは8月24日、一時116円台まで暴落しました。ただし、その後は120円を超えて急反発となっています。ではついに円高基調へ転換したのか、それともまだ円安基調が終わっていないのかといったテーマで今回は考えてみたいと思います。

今回の8月24日はドル円の値動きだけを見ても、大変記録的なものでした。そんな記録的なプライスアクションは、じつはついに円高へ基調転換した可能性、そうではなくてなお円安基調が継続している可能性、両方の示唆として解釈できる面があります。

今回、8月24日のパニック相場、「8・24パニック」におけるドル円は一日で6円弱もの値幅でドルが急落したもので、一方引けにかけてドル急反発となったことで、いわゆる「下ヒゲ」は2円を大きく上回る長いものとなりました。

この値幅を伴ったドル急落と長い「下ヒゲ」が今回の「8・24パニック」のプライスアクションにおける2大特徴でしょう。ところで、このうち後者だけに注目すると、これは当面のドル底打ちを示している可能性があります。

じつは、今回のような2円以上の長い「下ヒゲ」は、2011年11月から始まった中期ドル高・円安基調においては2013年4月4日、同6月10日、2014年10月31日といった具合に主に3回ありました。このうち2回は黒田緩和が行われた日でした。それに象徴されるように、長い「下ヒゲ」はドル安の終わり、新たなドル高の始まりだったわけです。

ただし、今回の場合はもう一つ「値幅を伴ったドル急落」という特徴もありました。長い「下ヒゲ」と合わせた2つの特徴で共通した例は、2011年11月からの中期ドル高・円安基調が始まって以降ではありませんでした。

この2つの特徴と共通した例は、2007年8月16日(17日)、2008年10月24日、2010年5月6日の3回だけでした≪資料1参照≫。それは全て2007年6月―2011年10月の中期ドル安・円高基調で起こったものでした。

上述の3例は、長い「下ヒゲ」を受けてさすがに一旦5%以上のドル反発に向かいましたが、2か月前後でドル安値を更新、ドル安・円高が一段と広がる展開となりました。

以上をまとめてみると、長い「下ヒゲ」を受けて、一旦ドルが反発に向かうのは過去の経験則通りといえるでしょう。ただし、「その後」についてはまだ中期円安基調が続いているのか、それとも中期円高基調へ転換したかによって全く違ったストーリーになる可能性があります。

具体的には、前者の場合なら、あの「8・24パニック」の116円は当面のドル底値で、新たに6月に記録した125円のドル高値を更新する動きが始まっている可能性があります。そうではなくて後者の場合なら、ドル反発は最低なら122円前後で終わり、2か月後、つまり10月後半以降には116円をドルが下回っていく可能性ということになるわけです。

まだ円安が続いているのか、それともすでに円高へ基調転換したのか。それによって現在の局面は、ドルの「戻り売り」か、それとも「押し目買い」か決定的に分かれる状況といえそうです。

客観情勢としては、2011年11月から中期円安局面は、主に2012年後半からのリスクオフが限定的にとどまる状況の中で展開してきました。ところが、先週の「8・24パニック」では、「恐怖指数」が2011年以来の水準に一時急騰しました≪資料2参照≫。これは、リスクオフが限定的な中での中期円安基調の変化ととれますが、あくまで一時的なのか。

最近の動きは、日米などの金融政策の方向性が正反対の中で大幅なドル高・円安が続いたものの、世界経済の不穏な動きを受けて、その継続が微妙になってきたといった具合に位置付けると1998年の局面と似ています。

ところで、その1998年の世界経済の変調のきっかけになったのはロシア・ショックでした。これを受けて、大手ヘッジファンドなどに一部巨額の損失が発生し、それが金融危機を引き起こしかねなくなったことで、FRBは急きょ金融政策を転換し、それを受けて行き過ぎたドル高・円安修正が一気に進むところとなったわけです≪資料3参照≫。

これまでのところ、世界経済かく乱要因は「中国ショック」となっています。これを受けたとくに先週のグローバル・マーケットの大混乱で、1998年のヘッジファンド・ショックのような損失の発生がなかったかは要注意でしょう。

1998年は8月のロシア・ショックを受けて、9月には当時のグリーンスパンFRB議長が「米経済だけが繁栄のオアシスでいられる保証はない」と語り、9月下旬のヘッジファンド危機表面化を前後し、利下げを決定しました。

さて、今回は9月FOMCに注目が集まっていますが、1998年とのアナロジーを参考にするなら、それを前後し、現在のイエレンFRB議長が「米国だけがオアシスではない」と発言するか、注目したいところです。(了)

≪資料1≫ドル/円2007-2010年
(出所:Bloomberg)

≪資料2≫VIX指数
(出所:Bloomberg)

≪資料3≫1998年の主な動き
 

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