今週はこう動く! マーケット羅針盤

2013/07/01 13:027月の為替を予想する

◆要約◆
・ドル高・円安は過去最長の8ヶ月連続で、6月に一区切りとなった。
・7月のドル高再開は、円売られ過ぎ、米金利上がり過ぎなどから簡単ではなさそう。
・一方のドル安・円高リスクは、昨年10月以来の120日線割れとなるかに注目。
 
 
1.当面のドル高・円安には限界がある?
 
6月のドルは対円で昨年9月以来、9ヶ月ぶりの陰線引けとなりました。これでドル高・円安の連続記録は、過去最長の8ヶ月で一区切りとなったわけです。では、ドル高・円安の連続記録が一段落したことを受けて、この7月はどんな展開になるでしょうか。
 
これまで、ドル高・円安が7ヶ月連続したという例が2回ありました。ただ連続記録が一段落した後、今度は一転して逆方向へしばらく動くといったような傾向は確認できませんでした≪資料1参照≫。
 
≪資料1≫
 
 ところで、7月は1995年以降のドル騰落状況を調べたところ11勝7敗で、1月、10月と並んで比較的ドル高・円安になることの多かった月です。では、そんな過去の実績通りに、ドル高・円安は6月に小休止しただけで、早速7月には「復活」することになるのでしょうか。ただ、周辺状況を見る限り、それも簡単ではないのではないでしょうか。
 
たとえば、マーケットは依然としてドル買い・円売りに大きく傾斜した状況が続いているようです。CFTC統計の円ポジションは、売り越しが一頃に比べると縮小してきたものの、それでも先週段階で6万枚を上回っていました≪資料2参照≫。これを見る限り、さらなるドル買い・円売り余力には限度があるのではないでしょうか。
 
≪資料2≫
 
 (出所:Bloomberg)
 
また、5月以降目立った米金利の急騰は、ドル高・円安の一因だったと思いますが、それはかなり「上がり過ぎ」懸念が強くなってきました。米長期金利、10年債利回りが一時2.6%まで上昇した過程で90日移動平均線からの乖離率はプラス30%を大きく上回りましたが、これは確認できる限りでは過去最大。つまり過去最高の米金利「上がり過ぎ」の可能性があったわけです≪資料3参照≫。
 
≪資料3≫
 
(出所:Bloomberg)
 
こういった米長期金利急騰に引っ張られた形で、米短中期金利も急騰しました。この結果、短中期金利は「早期の利上げまで織り込みつつある」(専門家)といった動きになってきました。
 
FRBは、現在ゼロ金利政策を採用しており、それは政策金利のFFレートを0-0.25%の目標に誘導する政策です。ところが、そのFFレートを基本的に反映する米2年債利回りは先週一時0.4%まで急騰し、FFレートの上限を大幅に上回ったわけですから、「早期の利上げを織り込む動き」とされたわけです。
 
ただこの早期利上げは、FRBがこれまで明確に否定しているものです。それどころか、ゼロ金利解除という利上げは、当初の想定より遅くなる可能性すらこの間再三確認されています。その意味では、「マーケットは、FOMCの意図を若干誤解しているのかもしれない」(専門家)ということになるでしょう。
 
長期金利は基本的にはコントロールできないものですが、短中期金利への中央銀行、FRBの影響力は大きく、ある程度コントロールできるものでしょう。その意味では、FRBが早期利上げを明確に否定している中で、早期利上げを織り込む形で急騰した米短中期金利は、低下に転じる可能性が高いのではないでしょうか
 
そもそも、米2年債利回りの90日移動平均線からの乖離率を見ても、一時0.4%まで急騰した局面では乖離率がプラス60%に拡大するなど、上がり過ぎの限界に達していた可能性がありました≪資料4参照≫。
 
≪資料4≫
 
 
(出所:Bloomberg)
 
以上のように見ると、米金利上昇も、短中期金利中心に、次第に「上がり過ぎ」修正で低下に向かう可能性があり、一段と上昇し、それがドル高・円安を後押しすることにはならないのではないでしょうか。
 
ただそうであれば、米国を中心とした金利上昇懸念の後退で、株高、リスク選好相場が復活し、ドル高・円安が再燃する可能性を考える人はいるかもしれません。確かにドル円は、日経平均と一定の相関関係が続いているわけですが、その関係からすると、ドル高・円安が100円を大きく超えていくためには、日経平均が1万4千円を大きく上回っていく必要があります。それも簡単なことではないのではないでしょうか≪資料5参照≫。
 
≪資料5≫
  
(出所:Bloomberg)
 
米長期金利には、6月に重要な転換が起こりやすいといった「アノマリー」があります。これまでのところ、米10年債利回りは6月25日に記録した2.6%が最高値ですが、これが当面の米金利天井だった可能性は注目してみたいところです。
 
最後に、ドル安・円高リスクについて少し述べます。6月で8ヶ月続いたドル高・円安が一区切りとなった中で、チャート的にも気になる変化が出てきました。それは120日移動平均線との関係です。
 
そもそも、この8ヶ月連続のドル高・円安は、昨年10月にドルが120日線を上抜けたタイミングを前後して始まったものでした≪資料6参照≫。そんな120日線を、6月に一時割り込むと、ドルは一気に93円まで急落しました。
 
≪資料6≫
  
(出所:Bloomberg)
 
足元は再び120日線をドルが上回っていますが、もしも足元で96円程度の120日線を改めてドルが割り込むことになれば、それこそ昨年10月以前の現象となるため、ドル安・円高リスクも正念場を迎える可能性を注意する必要も出てくるでしょう。(了)

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