今週はこう動く! マーケット羅針盤

2013/06/26 12:10103円の円安、その後の円高の「正しい理解」

為替相場は5月に103円まで一気にドル高・円安が進んだ後、6月は一転して円高に大きく戻りました。ではその原因は何だったのでしょうか。波乱相場が少し落ち着いている間に、円安、円高の「正しい理解」について、今回は考えてみたいと思います。
 
◆本当に「アベノミクス円安」だったのか?!
 
103円まで円安になったのは、アベノミクスが理由だったのでしょうか。そうであるなら、アベノミクスが変わらない中で、なぜ円高に戻ったのでしょうか。
 
それとも、アベノミクス支援で、世界が円安を容認したから103円まで円安になったのでしょうか。もしそうなら、別に円安否定に転じたわけでもないのに、なぜ円高になったのでしょうか。
 
私は、103円まで円安になったのは、超円高の反転に伴う円安だからだと考えてきました。そして、相場とは行き過ぎるものだし、間違うもの。ただし行き過ぎには自ずと限界があり、そして間違いは、いずれ正されるものです。103円までの円安も、超円高の反転で勢いづいたものの、行き過ぎの限界に達し、そして間違いが正される中で円高に戻ったと思います。
 
それにしても、なぜ103円までの円安がアベノミクスを主因としたものではなかったのか。≪資料1≫を見ると、ドル円は日米の金融政策でほぼ決まってきたようです。それなら、黒田日銀による「異次元の緩和」で、ドル高・円安は2013年末に110円、そして2014年末には130円まで進むはずなのではなかったでしょうか。
 
≪資料1≫ 
 
(出所:Bloomberg)
 
ただ≪資料2≫のように、より長く遡ってみると、ドル円は日米の金融政策で全く説明できない局面もありました。ではそれはなぜ起こるのか。所詮、為替は金利で決まるものなのに、最近のように日本の金利がすでにゼロ近辺まで低下しており、「黒田緩和」でも日本の金利が低下しないなら、円の下落にならないのも仕方ないのではないでしょうか。

  ≪資料2≫
  
(出所:Bloomberg)
 
さて、こんなふうに、実はアベノミクスを象徴する「黒田緩和」でも円一段安になるのは微妙だったのに、それでもなぜ現実に103円まで円安になったのでしょうか。それは、相場というのは、勢い付くと理屈抜きでそんなふうになるという説明こそが正しいのではないでしょうか。
 
たとえば、今回の場合、1ドル=100円を大きく超えた円高、75円という「超円高」反転で始まったドル高・円安でした。同じように「超円高」反転に伴うドル高・円安は1995年から始まったものでしたが、それが勢い付くと実に7か月連続でドル高・円安となりました≪資料3≫。

  ≪資料3≫
 
 その意味では、同じ「超円高」反転に伴うドル高・円安が、今回の場合8か月連続となり、過去の最長記録を更新したわけですが、理屈抜きでも勢い付くと7-8か月は続いたということではないでしょうか。
 
別な言い方をすると、理屈抜きで、これまでの最長である7か月連続という記録を、一気に10か月以上という具合に大幅に更新はできなかったということです。
 
また、≪資料4≫はドル円の90日移動平均線からの乖離率ですが、103円までドル高・円安となったところで、この乖離率はプラス10%以上に拡大しました。これは少なくとも1990年以降ではトップ3に入る「上がり過ぎ」だったわけです。
 
≪資料4≫
 
 
(出所:Bloomberg)
 
「超円高」で溜まりに溜まったエネルギーが発散した結果、その反転に伴う円安が勢い付くというのは想像できるでしょう。ただそんな勢い付いた動きにも限度があります。今回、90日線からの乖離率がプラス10%以上に拡大したところで一巡し、縮小に転じる中でドル急反落になったのは、まさにドル「上がり過ぎ」の限界に達した後の修正だったと考えると辻褄が合うでしょう。
 
◆円安、円高「正しい理解」の必要
 
103円まで記録的ペースで円安が進んだのは、アベノミクス効果や世界的な円安容認の結果と考えるなら、それが変わったわけでもないのに大きく円高に戻ったことは理解できず、戸惑うでしょう。
 
でも、そもそも「超円高」反転に伴い勢い付いた円安は、経験的に7-8か月ぐらいは続くもので、その中で90日線からの乖離率がプラス10%以上に拡大するのもありえることでした。ただ行き過ぎた動きには自ずと限界があり、その限界に達すると今度は一転大きく反転することもありえることでした。
 
 
このように考えると、5月にかけて103円まで記録的なペースで円安が進んだこと、そしてその後に一転して大きく円高に戻したことも、とくに戸惑うことではないのではないでしょうか。そして「正しい理解」が確認できれば、この先の展開を考える上で何を注目したらよいかもわかるでしょう。(了)

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