今週はこう動く! マーケット羅針盤

2013/06/24 12:44120日線が教える波乱相場の「舞台裏」

◆要約◆
・ドルが一時93円まで急落したのは、約8ヶ月ぶりの120日線割れも影響大か。
・120日線はヘッジファンド売買戦略の重要目安。波乱相場の行方を考える重要な鍵。
 
 
1.8ヶ月ぶりの120日線割れで起こったドル急落
 
ドルは6月に入り一時一気に93円台まで急落しました。しかしその後は、根強い不安を尻目に、足元は98円台を回復しました。過去一ヶ月で、93-103円という10円の値幅で乱高下が続くといった波乱相場になっていますが、その「主役」の一人はどうやらヘッジファンドではないでしょうか。
 
≪資料1≫はドル円の120日移動平均線との関係を見たものです。このように、6月に入ってドルが一時93円台まで急落した局面は、昨年10月下旬以来となるドルの120日線割れのタイミングでもありました。
 
≪資料1≫
  
(出所:Bloomberg)
 
この120日線は、ヘッジファンドの中でもシステム売買を中心に行うモデル系ファンドが重視するということを、以前も私のレポートで何度か取り上げてきました。実際、それを裏付けるように、ヘッジファンドの取引を反映するとされるCFTC統計の円ポジションの動きは、120日線でかなり説明できます。
 
≪資料2≫を見ると、円が売り越しに転落したのは昨年10月下旬でした。それはまさに、ドルが120日線を上抜け始めたタイミングとほぼ一致します。一般的には、昨年10月下旬頃から始まったドル高・円安は、いわゆる「アベノミクス」の影響が大きかったとの理解でしょうが、その主導役の一つは、120日線をドルが上抜けたことでヘッジファンドの一部がドル買いを本格化したということでしょう。
 
≪資料2≫「CFTC円ポジション」(2010/1〜2013/6/18)
 
  (出所:Bloomberg)
 
そんな昨年10月下旬以降、ドルは120日線を上回る推移が続いてきました。その中で、≪資料2≫のように、円は歴史的な売り越し(米ドル買い越し)が続いてきました。しかし、6月に入り、120日線は95円前後まで上昇してきました。あの、一時93円台までドルが急落した局面こそは、まさに約8ヶ月ぶりでドルが120日線を割れた局面だったわけです。
 
ヘッジファンドの売買と120日線の関係をごく単純化すると、ドルが120日線を上回るとドル買い、そして120日線を下回るとドル売りです。
 
6月に入り、ついに8ヶ月ぶりで120日線をドルが割り込んだことで、ヘッジファンドの一部はドル売りへ転換し、その中で93円台へのドル急落になったということでしょう。ただ、その後は120日線を再びドルが回復してきたことで、ヘッジファンドもドル買いを再開、その中で98円台までドルは反発したということでしょう。
 
以上のように見てくると、21日現在で95.7円程度の120日線をドルが上回っている限りは、ヘッジファンドもドル買いを続けそうです。ただ、もしも再び120日線をドルが割り込むようになったら、ヘッジファンドはなお大幅なドル買い・円売りに傾斜しているポジションを、ドル売り・円買いへ転換する可能性が出てくるわけです。
 


 


 


2.米金利「上がり過ぎ」の行方というもう一つの鍵
 
ところで、ドルが再び120日線を大きく回復することをリードしたのは、先週のFOMCを前後した米金利の急騰でしょう。とくに米長期金利、10年債利回りは一気に2.5%を超える大幅上昇となりました。
 
ただその中で、米10年債利回りの90日線からの乖離率はプラス30%程度まで急拡大しました≪資料3参照≫。過去に、同乖離率がプラス30%を大きく上回ったことはありません。その意味では、すでに上がり過ぎの限界圏に達している可能性も考えられます。
 
≪資料3≫
 
(出所:Bloomberg)
 
ちなみに、経験的には上がり過ぎが一巡した後は、基本的には90日線割れまで金利は低下に向かいます。足元の米10年債利回りの90日線は1.92%程度なので、上がり過ぎの反動で、少なくとも米10年債利回りは2%割れへ向かう可能性もあるかもしれないのです。
 
そんな米金利の動き、それによって、ヘッジファンドのドル円売買戦略の観点からは「運命の分かれ目」ともいえそうな120日線をドルが上回った状況が続くか、それとも再び割れる方向に向かうかが、この波乱相場の行方を考える上での重要な目安になるのではないでしょうか。(了)

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