今週はこう動く! マーケット羅針盤

2013/06/12 11:35ドル買い相場の継続が難しい理由

米長期金利は11日一時2.3%に接近するなど上昇傾向が続いています。今後FRB超金融緩和見直しで米金利が一段と上昇すると、ドル買いも一段と進むのでしょうか。一本調子でそれが展開するのは難しいかもしれません。
 
◆2007年に近付いてきた為替リスクテーク拡大
 
「様々なマーケットが、特に為替市場が一方向に偏って行動することのもたらすリスクを認識することが望ましい」。これは、2007年2月10日、ドイツ・エッセンG7後に、当時の尾身財務相が記者会見で語った発言です。
 
当時この発言は、過大な円売りリスクテークを警告した発言との理解が基本でした。たとえば、CFTC統計の円売り越しは、2007年1月末には17万枚にも達していました。これは当時の過去最高を大きく上回ったものだったのです。
 
この警告の影響もあったのか、2007年2月に120円を超えていたドル円は、3月にかけて115円程度まで反落しました。ただその後は再びドル高・円安に向かいます。その中で、円売り越しも再拡大し、2007年6月にかけて18万枚まで増加。そしてドル高・円安も124円を記録したところで、ようやく円売り縮小へ、そして円高へ転換となったのです。
 
≪資料≫はCFTC統計で、そんな円も含め、非米ドル主要5通貨(円、ユーロ、スイスフラン、英ポンド、加ドル)のポジションのグロスです。これを見ると、この2007年当時の為替リスクテークが「異常」だった可能性がわかります。
 
≪資料≫
  
(出所:Bloomberg)
 
要するに、当時の主役はあくまで円売りリスクテークだったのでしょうが、それを中心に全体として行き過ぎた為替リスクテークになっていた可能性があったわけです。そしてそれは円売りバブル破裂という形で、その後は大幅な円高圧力へ転換するところとなったわけです。
 
さて、≪資料≫を見ると、最近の主要通貨の為替ポジションは、その2007年以来の規模に拡大してきたことがわかります。それでもまだ、2007年のピークに比べると程遠い規模ですから、為替リスクの取り過ぎを懸念するのは杞憂に過ぎないのでしょうか。
 
一つ気になるのは、2007年の為替ポジションが、円売りを中心に、その他の通貨の売り買いを単純に積み上げた結果の為替リスクテークだったのに対し、最近の場合非米ドル主要5通貨は全て売り越し、つまり全てが米ドル買いの結果だということです。
 
こんなふうに見ると、2007年に近付きつつある最近の過度な為替リスクテークは、ひとえに過度な米ドル買いリスクテークの可能性があるわけです。異例なほど米ドル買いリスクテークになっている状況が継続するには自ずと限界があるのではないでしょうか。
 
FRBは量的緩和、QEによる債券の購入を、この年末ないし来年初めから縮小していくとの見通しが強まっています。FRBによる債券購入が、景気で説明できない水準まで債券利回りを低下させていた可能性はあるでしょうから、債券購入縮小は、債券価格の下落、利回り上昇をもたらしそうです。
 
ではそんな米金利上昇で、米ドル買いが一段と拡大するでしょうか。これまで見てきたことからすると、それは足元の「異例なほどの米ドル買いリスクテーク」がさらに拡大できるのかということになるでしょう。すでに異例なのだから、それのさらなる拡大には自ずと限界があるのではないでしょうか。
 
FRBによる歴史的な金融緩和の見直しは、想像を超えた米金利上昇をもたらす可能性があるでしょう。それは最終的にはドル買いを後押しする要因でしょう。ただその前に、「異例な米ドル買いリスクテーク」の修正が必要なのではないでしょうか。(了)

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