今週はこう動く! マーケット羅針盤

2013/05/27 13:33「株一段安は回避できるのか?」

 
◆要約◆
・日経平均の上がり過ぎ修正と見るなら、株安は1万3千円割れへ向かう可能性。
・これがFRB超金融緩和見直しへの警戒ではなく、「異常な金利低下」修正によるものなら、基本的にはコントロールできない。
 
 
1.株安が起こっている本当の理由とは?
 
急上昇してきた日本株が、先週後半から一転して急落が目立ってきました。では、なぜ日本株は急落に転じたのでしょうか。その一つの理由は、明らかに短期的な上がり過ぎの反動でしょう。
 
≪資料1≫は、日経平均の90日移動平均線からの乖離率ですが、日経平均が1万5千円を大きく上回ってきたところで、この乖離率はプラス20%を大きく上回ってきました。これは、1990年以降で確認する限りの最大。つまり、少なくとも1990年以降では最大の短期的な上がり過ぎになっていたわけです。
 
≪資料1≫
 
(出所:Bloomberg)

 
そんな上がり過ぎがいよいよ限界に達し、その修正が始まった可能性があるわけですが、ではその中で日経平均はいくらまで下がるでしょうか。経験的には、上がり過ぎの修正に伴う下落は、90日線を割れるまで続くものですから、その意味では1万3千円割れへ日経平均は続落する可能性がありそうです。ではそれは阻止することができるでしょうか。
 
そもそも今回の株安へ転換するきっかけは何だったかといえば、一般的にはFRB超金融緩和見直し、とくに量的緩和、QEの解除、具体的にはFRBによる債券購入縮小への警戒との理解ではないでしょうか。そうであれば、FRBがQE解除を急がないことを確認すれば、株価は安心して安定するのでしょうか。
 
ただ、私は、FRBがここに来て超金融緩和見直しを急ぎ始めたか甚だ疑問です。少なくとも超金融緩和策の柱の一つであるゼロ金利政策については、逆に一部の専門家の間では従来考えていた以上に長く続く可能性すら取り沙汰されていました。
 
鍵はインフレ率です。「物価の番人」であるFRBにとっての最大の責任は物価の安定ですが、その物価、インフレ率は最近にかけてこれまでの予想以上に低下しました。このため一部の専門家、FEDウォッチャーの中には、FRBは失業率が6.5%に低下するまでゼロ金利を続けるとしてきたが、低インフレを受け、失業率が5%台に低下するまでゼロ金利を続ける可能性も出てきたのではないかとの見方すら浮上してきたのです。
 
FRBは超金融緩和見直しを急ぐどころか、むしろこれまで想定されていた以上に長く続ける可能性すら取り沙汰されるなら、本来は市場金利も低下してもおかしくないでしょう。にもかかわらず、市場金利、とくに長期金利は大きく上昇してきました。
 
以上のように見ると、長期金利がFRBの「言うことをきかなくなっている」という可能性が浮上してきます。もしそうだとしたら、FRBがQE解除など、超金融緩和見直しを急がないことを確認しても、金利上昇、それを嫌気した株下落を止めることはできないかもしれません。
 
2.参院選前の株安、円高の政治的影響とは?
 
それにしても、米長期金利がFRBの「言うことをきかなくなっている」ということが本当だとしたら、それはなぜでしょうか。先週、黒田日銀総裁が、「長期金利は基本的にコントロールできない」と発言しました。ではその長期金利を決めるのは何かといえば、物価と景気です。
 
≪資料2≫は、そんな米景気と米長期金利(インフレ率を引いた実質長期金利)の関係を見たものですが、これを見ると、最近の米長期金利の低下は、米景気からは全く説明できない、「異常な金利低下」といえそうです。
 
その「異常現象」を、「債券王」とされる人物は「ニュー・ノーマル(新しい標準)」と呼んで、「異常」ではないとの見方を数年前に示しました。ただこれについて、今月初め、「投資の神様」、W.バフェットは「ニュー・ノーマル」に否定的な見方を示しました。その直後に「債券王」も、40年続いてきた債券強気相場(金利低下)終了宣言を行いました。
 
以上のように見ると、景気が回復しても金利が上がらない「ニュー・ノーマル」ではなく、景気が回復しても金利が上がらないのは、昔も今も変わらず「異常」ということを再確認しつつあるのかもしれません。そうであるなら、「異常な金利低下」が正常化される過程の金利上昇は、FRBも制御不能の可能性があるわけです。
 
≪資料2≫ 
 
(出所:Bloomberg)


 
時間軸は違いこそすれ、短期的に上がり過ぎた株価、そして「異常な金利低下」、それらの修正の動きは、そもそもいつかは起こるものなのでしょう。それは、金融市場の一般感覚もある程度自覚していたようで、この株高、円安は、まずは7月参院選までがヤマとの見方は普通だったと思います。
 
そんな思惑を動揺させるように、株、金利、為替といった金融市場の本格修正が、参院選を待つことなく、むしろその直前というタイミングで起こることになるのか。それが政治的に最悪のシナリオになる可能性があるとしたら、それを阻止することはできるのか。そういったことが、これからの焦点になるのではないでしょうか。(了)

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