今週はこう動く! マーケット羅針盤

2013/05/15 13:29米金利上昇・円安「本命シナリオ」の再検証

為替相場は、これまでの日本の金融緩和を期待した円全面安から、米金利上昇を受けたドル全面高へ、5月から変わってきたようです。そこで今回は、なぜここに来て米金利が上昇してきたのか、そして当面のリスク・シナリオは何かなどについて述べてみたいと思います。
 
◆なぜ米金利は上昇しているのか
米金利を説明する場合、代表的な米景気指標としてISM製造業景況指数を使うのは、アナリストやエコノミストの間では一般的なようです。ところで、そのISM指数によると、現在の米長期金利は3%を上回っていてもおかしくないようです。
 
ところが、実際の米長期金利は2%を大きく下回る状況が続いてきました。その意味では、この米金利低下は、米景気では全く説明できない結果の可能性があったわけです。
 
では米景気で説明できない米金利低下はなぜ続いてきたか。これについて、ある著名な株式ストラテジストは、欧州債務不安と連動していることを「発見」しました。つまり、米景気で説明できない米金利低下は、欧州危機を受けたリスク回避の影響が大きかったというわけです。
 
そんな欧州危機で2011-2012年に「主役」を演じたイタリア、スペインでは、長期金利が一時7%を大きく上回りました。その状態が継続すると、デフォルトに陥るところまで追い込まれたわけです。
 
ところが、そんなイタリア、スペインの長期金利は最近では3-4%台まで低下しました。それは、欧州危機「以前」に戻った意味になります。要するに、欧州危機は「終わった」わけで、そうであるなら、それに伴うリスク回避で、景気で説明できない金利低下となっていた動きはいつ本格的な修正に向かってもおかしくなかったということでしょう。
 
 
◆ある日突然皆が一斉に間違いに気付く「バブル破裂」
 
金利は景気で説明できるのが普通です。その意味では、景気で説明できない金利低下とは「異常な現象」ということもできるでしょう。そして「異常な現象」とは、「バブル」と言い換えることも可能です。ところで、そんな「バブル」の破裂は、「ある日突然皆が一斉に間違いに気付く」形で起こるといった印象が、私の中にはあります。
 
その意味で、今回、「景気で説明できない金利低下」という「バブル」破裂のきっかけとしては、5月初めのFOMCの影響があったのではないでしょうか。このFOMCでは、それ以前1か月余り予想を下回る米景気指標発表が続いた結果、現行の量的緩和、QE拡大の可能性も一部で注目されていたところ、結果は、拡大・縮小の両方の可能性ありといった「両論併記」だったわけです。
 
これまで見てきたように、米金利はすでにもうかなり長い間、米景気では説明できないほど大幅に低下していた可能性がありました。そうであるなら、少し景気指標が予想より良くても悪くても、さらなる金利低下を目的とする金融緩和強化に踏み切るかは、本来的には関係ないのではないでしょうか。
 
FOMCの「両論併記」によって、金利の見通しと金融政策について、大いに錯覚していた可能性を、「ある日突然皆が一斉に気付く」ところになったのではないでしょうか
 
その後、著名人、「投資の神様」バフェットが世界経済はリーマンショック以前に戻れないといった意味の「ニュー・ノーマル」という考え方に反論した上で、「低い利回りの債券に投資する人たちに同情する」と発言したこと、また「債券王」、ピムコのグロースが、「債券ブル相場終了宣言」したことも、金利上昇へのわかりやすいきっかけになったでしょう。
 
最初にも書いたように、米景気との関係からすると、本来は3%でもおかしくない米長期金利ですから、多少の上下動を経ながらも、基本的にはまだまだ上昇していく可能性があり、それは中期的にドル高・円安を、そして世界を代表する「業績相場」で金利と基本的に順相関の日本株の割安修正を後押しする「本命シナリオ」になると考えています。
 
ただその途中に、「異常な金利低下」を好感する形で最高値を大きく更新するといった具合に、「空前の金融相場」を演じてきた米株などは、金利上昇へ転じても、これまでのような株高が続くかどうかは、個人的には疑問です。金利上昇を嫌気し、米株割高修正が起こる場合、それはこれまで見てきた「本命シナリオ」を一休みさせる可能性も注目しています。(了)

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