今週はこう動く! マーケット羅針盤

2013/05/08 15:14「再挑戦」というアベノミクスの視点

日経平均が1万4千円、NYダウは1万5千ドルまで上昇してきました。世界的な株高現象の一つとはいえ、日本の株高は、やはり安倍政権の経済政策、アベノミクスの影響があるでしょう。ところで、その安倍総理は、2006-2007年以来の再登板です。あらためて、第一次安倍政権で何を目指したかについて振り返ってみたいと思います。
 
◆「良き時代」に幕を引いた安倍第一次政権
 
第一次安倍政権は2006年から2007年にかけて丸一年続きました。キャッチフレーズは「美しい国、日本」、そしてスローガンは「戦後レジームからの脱却」。今回、黒田日銀による異次元の金融緩和、「黒田緩和」は「レジーム・チェンジ」と表現されますが、第一次安倍政権のスローガンから引き継がれたニュアンスということはありそうです。
 
ところで、そんな安倍第一次政権当時の日経平均は1万6千円を上回っていました。今から考えると、かなり株高水準にあったといえるでしょう。ただ、これは安倍第一次政権が、小泉長期政権の後継として誕生したということを思い出すと、すっきり理解できるのではないでしょうか。
 
安倍第一次政権崩壊後、日本では総理大臣が一年程度で交代を繰り返す政治の迷走が延々と続きました。一方で、世界経済が住宅バブル破裂、金融危機、「100年に一度の危機」と展開する動きに巻き込まれる形で、株価も下落の一途を辿ったわけです。
 
こんなふうに見ると、安倍第一次政権は、バブル崩壊後の「失われた20年」という長期低迷が続く日本においても、比較的「良い時代」の最後だったともいえるでしょう。安倍総理からすると、自らの政権が崩壊した後から、混乱の一途を辿るところとなったことに対し、忸怩たる思いがあったのではないでしょうか。
 
それでは、そんな日本における比較的「良い時代」に、結果として終止符を打つことになった安倍第一次政権の崩壊、その原因は何だったのか。最大の原因は年金問題だったでしょう。年金未払い問題は社会問題化したのは、まさに安倍第一次政権時代でした。
 
その中で、閣僚など政治家の不祥事が相次ぐと、政権に対する支持率は大きく低下しました。参院選での自民党大敗を前後し、総理就任からちょうど一年で、安倍第一次政権は崩壊となったわけです。
 
そんな安倍第一次政権への一般的な記憶は、「お友達内閣」、最後は病気を理由に政権を放り出すといった具合に、二世、三世政治家のひ弱な印象が強いのではないでしょうか。颯爽とした現在の安倍第二次政権の印象とは正反対の観がありました。
 
◆株高、円安で再挑戦する「日本経済復活」のテーマ
 
こんなふうに振り返ってみると、自らの政権崩壊後の日本の凋落に対する責任、そしてもちろん汚名をそそぐといった意味でも、安倍総理としては、再登板への意欲が他人の想像以上にあったのかもしれません。
 
いわゆる「三本の矢」のうち、大胆な金融緩和、機動的な財政政策によって、日経平均は1万4千円まで戻ってきました。約6年前、第一次政権を担当した時の水準、1万6千円に近付いてきたということで、安倍総理自身は、改めてスタート・ラインに戻ってきたとの思いなのかもしれません。
 
では、時計の針を第一次政権当時に戻し、安倍総理が目指したものは何だったか。当時の経済政策のキャッチフレーズは、労働ビッグバン、そして生産性向上プログラムなどです。つまり、人口減少時代、高齢化時代の日本経済の活路を開くためには、労働力の見直し、生産性の向上をテーマに掲げたということでしょう。
 
約6年前、日経平均1万6千円、円相場110円といった条件の中で挑もうとしたそのテーマに、金融市場の条件がほぼ戻ってきたところで再挑戦する、それが「3本の矢」の最後、「成長戦略」の位置付けになるのではないでしょうか。
 
ただ、そもそも6年前、株高、円安という条件の中でも挫折したこのテーマで成果を出すことは簡単ではないでしょう。アベノミクスとしては、いよいよこれからが真価を問われることになるのではないでしょうか。(了)

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