今週はこう動く! マーケット羅針盤

2013/04/01 15:104月の為替を予想する

◆要約◆
・記録的なドル高・円安ロングランのさらなる継続は簡単ではなくなってきた。
・黒田新日銀総裁が真に試されるのは、円安誘導ではなく、円高阻止かもしれない。
 
 
1.記録的なドル高・円安の限界
 
4月が始まりました。ドル円相場は3月まで6ヶ月連続のドル陽線引け(ドル高・円安)となりましたが、4月も続くことになるのでしょうか。普通に考えたら簡単ではないのでしょう。
 
≪資料1≫のように、米ドルは「買われ過ぎ」になっています。また、≪資料2≫のように、円も日米金利差がほとんどなくなった2008年以降での最高の売り越しになるなど、「売られ過ぎ」懸念が強くなりつつあります。
 
要するに、記録的なドル高・円安のロングランになる中で、さすがにドル買い・円売りの持続も簡単ではなくなっているわけです。
 
≪資料1≫



(出所:Bloomberg)


 
≪資料2≫



(出所:Bloomberg)
 
ちなみに、3月と4月のドル円は≪資料3≫のように、逆方向に動く確率がとても高かったのですが、これまで見てきたことで考えただけでも、この4月は経験則が示す通りに、昨年9月以来7ヶ月ぶりにドル安・円高に転換する可能性が高いでしょう。
 
≪資料3≫



2.黒田日銀の「真の使命」とは?
 
ではこういった状況を、注目を集める黒田新総裁率いる日銀が変えることができるでしょうか。それは決して簡単ではなさそうです。シティバンク銀行のチーフFXストラテジスト、高島氏は自身のレポートの中で以下のように分析していました。
 
「日銀がドル円を90 円前後で維持したければ、40 兆円ほど資産買入額を増額し、今年バランスシートを合計75 兆円以上増やさなければならない。ドル円を95 円前後で維持するのであれば、60 兆円ほど資産買入額を増額し、バランスシートを合計95 兆円以上増やさなければならない計算になる」。
 
「シティグループでは、第1 回会合での黒田日銀の追加緩和措置は年内24 兆円ほどの増額(バランスシート拡張の合計額は60 兆円ほど)になると見込んでいる。この程度の追加緩和に留まった場合、市場の期待は失望に変わり、ドル円は調整局面入りする可能性がある」。
 
これは、きわめてオーソドックスな分析でしょう。要するに、期待の高まる黒田新総裁率いる日銀ですが、すでに記録的なロングランになっているドル高・円安を一段と続けることができたら、それこそむしろ「黒田マジック」であり、決して簡単ではないということでしょう。
 
以上のように見ると、「識者」の以下のようなコメントも当然のような気がします。たとえば、日米の政治経済分析に精通している双日総研・吉崎副所長は、自身のブログの中で以下のような見解を示していました。
 
「黒田氏は国会における所信聴取の席でやれることはなんでもやると言った。この言葉は、できないことはやらないの裏返しでもある。今週は、ある程度の円高と株安があるかもしれない」。
 
また、元財務官僚で慶応大学准教授の小幡績氏は、自身のブログの中で、「意外なものが出てくるか、それとも意外なことに意外なものがないか。私は後者だと予想する。それに対する市場の反応に、黒田総裁がどこまで耐えられるか」との見方を示していました。
 
以上のように見てくると、4月はドル高・円安が止まるだけでなく、ある程度ドル安・円高になる可能性があるのかもしれません。もしそうなったら、円安、株高、「安倍相場」が迎える、最初の試練になるのかもしれませんが、そうなると、黒田新総裁の役割は円安誘導ではなく、円高歯止めということになる可能性があるわけです。
 
私は、今回の「安倍円安」は、100円を超えた円高「超円高」反転を受けた動きという点でも、1995年「第一次超円高」反転後に「榊原円安」と呼ばれた動きとよく似ている「第二次超円高」反転に伴う「安倍円安」と考えています。
 
ところで、「榊原円安」が最初の試練を迎えたのは1995年9月でしたが、それは「榊原円安」の切り札、円安誘導介入が、100円を越える円安水準では行われなくなったことを確認したことがきっかけでした。ただ、再び100円を割り込むドル安・円高になると円高阻止介入は行われたため、この「反乱」も沈静化したのです。
 
さて、今回の「安倍円安」の切り札は金融緩和強化でしょう。それが円安誘導に限界があることが確認されたら、最初の試練を迎えるのは当然かもしれません。あとは、円安誘導には限界があるものの、円高阻止には有効な黒田新総裁の金融緩和、「黒田イージング」なのかを見極めることで、「反乱」の終わりが決まるのではないでしょうか。(了)

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