今週はこう動く! マーケット羅針盤

2013/03/18 13:38ドル高・円安の本格調整は起こるのか?

◆要約◆
・「押し目なし」相場の本格調整パターンを参考にすると、94円後半が大きな分岐点。

・過度な楽観相場に伴う一方的ドル買い、円売り、リスク選好のさらなる拡大には限界か。

 
1.一方的ドル買い・円売り傾斜の中で起こった「キプロス・ショック」
 
週明け早々、欧州の小国であるキプロス支援を巡る混乱への懸念から金融市場は「キプロス・ショック」の様相となりました。その中で、ドル円もクロス円も一時急落しました。
 
そこで、この「キプロス・ショック」で、「大きな押し目なきドル高・円安」の流れがどう変化するかについて今回は考えてみたいと思います。
 
「キプロス・ショック」を巡る評価は、後でも述べますが現時点では非常に微妙なところだと思います。ただこの間、NYダウの10営業日連騰に象徴されるように、金融市場が楽観論に過度に傾斜した感じがあるなど、一方的な動きがいくつか見られたことは、今後を考える上での手掛かりになるのではないでしょうか。
 
金融市場の「一方的な動き」の一つは、≪資料1≫のように米ドルの「買われ過ぎ」懸念でしょう。米ドル買い越しは、少なくとも2004年以降で確認できる限りでは過去最大となっていました。
 
そして、その中心こそがドル買い・円売りだったようです。≪資料2≫のように、円売り越しは、昨年12月以来に拡大し、日米金利差がほとんどなくなった2009年以降では異例の大幅な円売りリスクテークになっていたのです。
 
このような、ドル買い・円売りの拡大は、2月にいわゆる「イタリア・ショック」で「息継ぎ」する場面はあったものの、大きく長くドル反落が起こらないままのドル高・円安が数ヶ月にわたり展開してきた動きを支えてきた一因だったでしょう。
 
ただそれが、米ドル「買われ過ぎ」となり、異例の円売りリスクテークになっていた中で、今回この「キプロス・ショック」が起こったわけです。このように考えると、かりに「キプロス・ショック」が早期収拾されたとしても、ドル買い・円売り再開の余力は限られるのではないでしょうか
 
≪資料1≫
 
  (出所:Bloomberg)


 
≪資料2≫
 
  (出所:Bloomberg)


 
では、この「キプロス・ショック」などにより、ドル高・円安が本格的な調整に向かう可能性はあるのでしょうか。
 
このドル高・円安の大きな特徴は「押し目なき」ということでした。そんな「押し目なき」相場が、本格的調整の動きになったのは、2月25日にイタリア選挙結果を受け、財政改革路線後退懸念が浮上したことをきっかけとしたリスク回避の急拡大、「イタリア・ショック」局面でした。
 
ところで、この「イタリア・ショック」では、ドルが94円台後半から2円以上の反落となると、一気にその日のうちに91円割れ、つまり最大4%以上の反落となったのです。じつは、このようなプライスパターンは、過去の代表的な「押し目なきドル高・円安」だった1995年9月にかけての動きが、本格調整となったケースと基本的に似ていました。
 
このようなプライスパターンを参考にするなら、今回の場合も、これまでのドル高値である96円台後半から2円以上のドル反落、つまり94円台半ばを完全にドルが割り込むようなら、最大で5%前後のドル反落が短期的に起こる可能性を、念のために警戒しておく必要があるかもしれません


 
2.「バーナンキ依存」楽観相場の限界と反動リスク
 
「キプロス・ショック」の評価自体は微妙なところです。つまりキプロス自体のユーロ圏全体に占める経済のシェアは1%にも満たない小国なわけですから、今回、支援合意を受けて、預金の取り付け騒動のような混乱が起こっているわけですが、それがキプロス一国にとどまるようなら、世界的なリスク回避をもたらす要因ではないかもしれません。
 
焦点は、それがギリシャやスペインなどへも波及するようなら大混乱になりかねないということでしょう。
 
そしてもう一つ、私が気になるのは、そもそもこの間の金融市場が過度に楽観論へ傾斜していた可能性があったということです。≪資料3≫は、「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数ですが、異例の水準まで低下していました。振り返ると、「2・25、イタリア・ショック」も、「恐怖指数」が過度に低下していた中で起こったものでした。
 
こういった金融市場の過度な楽観論といえそうな動きを支えてきたのは、FRBなどによる超金融緩和策でしょう。今週、FOMCでは、この緩和方針継続が確認される見通しとなっていることから、「バーナンキ依存」ともいえる楽観相場は続くのでしょうか。それにしても、過度な楽観相場の一段の拡大余地は少なくなってきているのではないでしょうか。(了)
 
≪資料3≫

(出所:Bloomberg)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

「今週はこう動く! マーケット羅針盤」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ