今週はこう動く! マーケット羅針盤

2013/03/13 18:00円高、株安予想は何が間違っていたのか?

円安、株高が続いています。では、以前に円高、株安は変わらないと考えていた人たちは、どのような点を見落としていたのでしょうか。
 
◆「ジャパナイゼーション」なのか
2008年リーマンショック以降の「金融危機の時代」に、欧米はジャパナイゼーション「日本化現象」に陥りつつあるとの見方が話題になりました。バブル破裂後の景気低迷の長期化は、日本だけの現象ではなく、欧米も同じ道を歩み始めたのではないかという考え方です。
 
「日本化現象」説の、最初の主唱者の一人は、実は日銀の白川総裁でした。白川総裁は、2008年リーマンショック前後からの米国のインフレ率の推移は、1990年バブル崩壊後の日本のインフレ率の推移に似ていることを指摘し、その上で日本が異常だったのではなく、「孤独な先駆者」の可能性があるという主旨の発言を行ったのです。
 
この「白川説」で使われたのが、≪資料≫の一部でした。リーマンショック前後からの米国のインフレ率(緑色のグラフ)と、バブル崩壊後の日本のインフレ率(青色のグラフ)は、途中まで良く似た動きでしたが、4年目以降は異なる方向へ向かっています。
 
≪資料≫「日米の主な期間のインフレ率推移」
 
  (出所:Bloomberg)
 
緑色のグラフは、2000年ITバブル破裂以降の米国のインフレ率(赤色のグラフ)とよく似た動きで推移しています。その意味では「日本化現象」というより、リーマンショックでもITバブル破裂でも、バブル破裂以降の米国のインフレ率は似たような推移を辿るということがわかります。
 
 
その上で、この「バブル破裂後の類似性」がこの先も続くなら、米国のインフレ率は今年後半にかけて一段と上昇する見通しになります。
 
FOMCが、ゼロ金利解除の条件としているのは失業率の6.5%以下への低下と、インフレ率の2.5%以上への上昇なので、それが試されることになると思いますが、果たしてどうでしょうか?
 
ただ、「日本化現象」で欧米も日本の後を追うように景気が長期の低迷を続けるなら、歴史的な金利低下も「異常」ではないかもしれません。その意味で≪資料≫は、「日本化現象」説に疑問を抱かせるものになります。
 
私は、日本の歴史的な金利低下が「異常」であり、いずれは「正常化」へ向かうに伴い、金利が上昇し、つれて円安、株高へ転換すると考え、それが自らの予想の「本質」を占めてきました。
 
よって、私の中では、「アベノミクス」が登場する前後でも、基本的な分析の視点は変わりませんでした。
 
もし、今の円安、株高が予想外のものと考えている人たちがいるなら、「アベノミクス」の有無ではなく、従来の予想と現在の市場環境の何が違っていたのかを再点検してみるのもよいでしょう。(了)

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