今週はこう動く! マーケット羅針盤

2013/03/11 13:18もう100円へのドル一段高が始まったのか?

◆要約◆

・ドル円は2
月高値を大きく更新してきたが、短期的には行き過ぎた円安拡大は微妙か。

・ドル「買われ過ぎ」懸念や、雇用統計の結果でも米利上げ前倒しとの見方になっていない点などが今後影響してくる可能性は注目。



1.円安の2月一服を再検証する
 
ドル高・円安は2月に95円手前で一息つきましたが、先週は、2月米雇用統計が良い結果だったこともあって、早速、2月高値を大きく更新、一時は97円に迫るドル高・円安となりました。これは100円の大台を目指す、一段のドル高・円安が始まったということなのでしょうか?
 
それを考える前に、2月になぜドル高・円安が一服したかについて思い出して見ましょう。きっかけは、2月25日に、イタリア選挙の結果を受けて財政改革路線後退の懸念が浮上したことで、世界の金融市場が「イタリア・ショック」の様相になったことでした。
 
≪資料1≫

 (出所:Bloomberg)


 
この局面でより重要だったのは、円が短期的に「下がり過ぎ」の限界を超えた動きになりつつあったことではないかと当時考えていました。たとえば、≪資料1≫のように、円の総合力を示す実効相場の90日移動平均線からの乖離率は、確認できる限りでは、1995年9月に次ぐ2番目の「下がり過ぎ」となっていたわけです。
 
こういった状況だったからこそ、「イタリア・ショック」は、円安が一旦止まり、行き過ぎの修正が入る口実になったと私は考えました。≪資料2≫のように、その後、円実効相場の90日線からの乖離率は、マイナス幅が急縮小しました。ドル円だけでなく、クロス円も円高となる中で、短期的な行き過ぎた円全面安の修正が入った形となったわけです。
 
ただし、≪資料2≫のように、短期的な円下がり過ぎが完全に修正されたわけではなく、依然として、円は下がり過ぎ気味の状況が続いているようです。そうであれば、円安の本格再開には、自ずと限界があるのではないでしょうか。
 
≪資料2≫
 
(出所:Bloomberg)
 


2.ドル高・円安の「足かせ」になる要因はあるのか?
 
ドルは対円で2月の高値を大きく更新してきたわけですから、ドル円の値動きを見る限り、新たなドル高・円安局面入りといった印象になります。しかも、米景気指標でも最も重要視される雇用統計の2月分は、NFP、雇用増加数が20万人を大きく上回り、失業率も7.7%へ大幅に低下するとても良い結果でした。
 
にもかかわらず、ドル高・円安が進みあぐねるということは果たしてありうるのでしょうか。このような問題意識の上で見た場合、ちょっと気になるのが≪資料3≫の米ドル・ポジションです。これを見ると、米ドル買い越しは、確認できる2004年以降では2番目の大幅なものとなってきたようです。つまり米ドルは「買われ過ぎ」の懸念があるわけです。
 
≪資料3≫
 
(出所:Bloomberg)


 
また、「ポジティブ・サプライズ」になった2月米雇用統計についても、これがFRB超金融緩和方針見直しに対する新たな示唆を与える意味があったかといえば、それは微妙なようです。私の知人のレポートではこんな総括になっていました。「あちこちの報道をみると、FRBが量的緩和の早期縮小や停止などのアクションを取るには至らないもののよう」。
 
現在、FRBは米失業率が6.5%に低下するまで現行のゼロ金利政策を続けるとしており、それは2015年半ば頃まで続くといった見通しを示しています。M2Jの西田チーフアナリストによると、NFPが平均20万人台後半の増加が続くようなら、失業率は一年程度で6.5%まで低下する見通しになるそうです。
 
今回2月NFPは23万人の増加でしたが、過去2ヶ月の平均では18万人弱の増加にとどまっています。西田チーフアナリストの試算によると、NFPが平均18万人程度の増加なら、失業率が6.5%に低下するまで二年程度かかるとされます。その意味では、今回の結果でも、FRB超金融緩和方針が大きく変更される示唆には、確かにならないのかもしれません
 
今回、ドルのポジション要因と、そして雇用統計の評価について紹介しましたが、ドル円が高値を更新し、新たなドル高・円安局面入りで、次の大台、100円を目指してもおかしくない中、そうならない場合は、今回紹介したような要因が影響している可能性があるでしょうから、頭にとどめて置く必要があるかもしれません。(了)

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