今週はこう動く! マーケット羅針盤

2013/03/04 14:553月の為替を予想する

◆要約◆
・「安倍円安」一服。過去の似た例なら、この先3-4ヶ月以上90-95円中心推移か。
・ドル高・円安本格再開の最大の鍵は米金利上昇の本格化。早くて年後半の可能性。
 
 
1.「安倍円安」一服後のシナリオ
 
昨年11月前後からほぼ一本調子で展開してきた「安倍円安」は、2月に一息ついた形となりました。私は「2月の為替を予想する」の中で、2月で円安が一服する可能性があるとの見方を示しましたが、まさにそんな結果となったわけです。
 
ドル円は2月25日、一時95円に迫る動きとなったものの、その日のうちに一時91円割れへ急反落となりました。このきっかけは、イタリア選挙を受けたイタリアの財政改革路線後退への懸念、「イタリア・ショック」でしたが、一方でそれは円の「下がり過ぎ」修正の結果でもありました。
 
≪資料1≫のように、円の総合力を示す実効相場の90日移動平均線からのかい離率は、2月にかけて記録的なマイナス拡大となっていました。少なくとも、1995年以降で見ると、95年9月に次いで第2位の円「下がり過ぎ」の可能性を示すものとなっていたのです。
 
≪資料1≫
 
(出所:Bloomberg)
 

そんなふうに、短期的に「下がり過ぎ」の限界に達していた円だけに、「イタリア・ショック」をきっかけとして、その修正が大きく入ったことから、円の急反発という形になったということでしょう。
 
ではこの後はどうなるのでしょうか。それを考える上で、今回と似た過去のケースを参考にしてみましょう。≪資料1≫のように、円の実効相場の90日線からのかい離率が、今回と同じように円「下がり過ぎ」限界を極めて急転換となったのは1995年9月でした。その当時のドル円の動きを見たのが≪資料2≫です。
 
この≪資料2≫で、赤色の点線丸印を付けたところが、円実効相場のマイナスかい離率拡大が一巡し、縮小に転換した局面です。つまりそれは、「超円高」が反転した当初、2ヶ月で約20円ものドル高・円安となった「榊原円安」が一息ついた局面だったわけです。このように見ると、「榊原円安」も、円「下がり過ぎ」の限界で一服したわけです。
 
では「榊原円安」は一服した後にどうなったか。短期間にドルは急落したものの、そのままドル安・円高が大きく進む「榊原バブル」破裂のような展開とはならず、3-4月程度の一進一退、もみ合いを経て、再びドル高・円安基調に戻っていきました。
 
さて、「安倍円安」に似ていることから、「榊原円安」のプライスパターンを検証して見ました。これを参考にするなら、「安倍円安」一服後も、「バブル破裂」で大きくドル安・円高に戻る可能性より、3-4ヶ月、90-95円中心での一進一退を経た後は、再びドル高・円安基調へ戻っていく可能性を探るということになるでしょう。
 
≪資料2≫
 
(出所:Bloomberg)
 
 
2.ドル高・円安本格再開の鍵とは?
 
これまで見てきたことからすると、ドル円が95円を大きく超えて、再びドル高・円安が大きく広がるのは、早くても3-4ヶ月以上先、つまり夏以降になりそうです。少し先の話ではありますが、ではその手掛かりが何になるかについて、少しだけ述べてみたいと思います。
 
2月に発表されたG7声明では、「為替レートは市場において決定される」、「為替レートを目標にしない」などが確認されました≪資料3≫。普通にこれを読むと、日銀の外債購入など円安誘導的な政策はできなくなったということでしょう。
 
そうであれば、どのよう形で一段のドル高・円安が可能かを考える必要があるでしょう。普通に考えるなら、「為替レートは市場において決定される」という文脈でドル高・円安が進むためには、ある程度金利差と整合的なドル高・円安が必要ということになるでしょう。
 
≪資料3≫
 

≪資料4≫は、ドル円と日米2年債利回り差のグラフを重ねたものですが、この数ヶ月の「安倍円安」と呼ばれた動きは、日米金利差では全く説明できない動きだったことがわかります。これが金利差である程度正当化できるようになるためには、第一に米金利の大幅な上昇が必要になりますが、それは果たして可能なのでしょうか。
 
≪資料4≫
 
(出所:Bloomberg)
 
 
≪資料4≫で使っている米2年債利回りは、FRBの金融政策を反映する金利ですから、それが大幅に上昇するのは現行のFRB超金融緩和政策の見直しが必要になるでしょう。ところで、現在、2015年半ばまでゼロ金利政策を続けるとしているFRBの方針に対して、関係者の一部から見直しを示唆する発言も出てきました。
 
セントルイス連銀のブラード総裁は、「セントルイス連銀の現在の予測では、失業率は2014年6月に6.5%を割り込むとの示唆になっている」と2月21日に発言しました。FRBは、ゼロ金利解除の一つの前提条件を失業率6.5%割れとしているので、このブラード発言からすると、ゼロ金利解除は一年前倒しになる可能性があるわけです。
 
ところで、金融政策に対して市場金利や為替相場は、一般的には半年前後は先行するものです。つまり、かりに2014年6月FRB利上げということになれば、米2年債利回りも、今年後半から上昇本格化となる可能性があるわけです。
 
ちなみに、米政策金利であるFFレートとそれを反映する米2年債利回りのスプレッド(差)は過去の実績を調べると最大で2%程度です。つまり、FRBがゼロ金利政策を継続し、FFレート誘導目標が0-0.25%にある中でも、ゼロ金利解除を先取りする中で米2年債利回りが1-2%程度に上昇する可能性はあるわけです。
 
さて、最近にかけてのドル円と日米2年債利回り差の相関関係を前提にすると、かりに2年債利回りが1%を上回り、日米2年債利回り差ドル優位が1%以上に拡大するなら、いよいよ100円前後のドル高・円安も正当化される見通しになります≪資料5≫。(了)
 
≪資料5≫
 
(出所:Bloomberg)

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