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2013/02/18 14:07G20「名指し批判回避」通貨の前例とは?

◆要約◆
・G20が米ドル安「名指し批判」を回避した例は2010年10月。ただ間もなくドル安一服。
・それは「名指し批判」回避したものの、米ドル安が行き過ぎで米金利上昇となったため。
・円安の行方も、行き過ぎと金利の関係などからすると、いつ一服してもおかしくない。

ロシアで行われたG20で、最近の円安に対する「名指し批判」がなかったことが比較的大きく報道されています。ではそれがどんな意味があるかについて、今回は考えてみたいと思います。
 
1.米ドル安「名指し批判」という2010年10月G20の教訓
 
それを考える上で、過去にG20による特定の通貨についての「名指し批判」が注目された例について見てみましょう。その参考になりそうなのは、2010年10月、韓国G20声明ではないでしょうか≪資料1≫。
 
≪資料1≫
 
この中では特定の通貨ではありませんが、「準備通貨を持つ国々を含む先進国」といった表現が使われました。世界一の準備通貨はもちろん米ドルですから、実質的には米ドルについて「名指し」したようなものですが、直接的な「名指し」は回避したともいえます。
 
当時は、2010年11月からのQE2開始を巡り、米ドル安が進行し、FRBの量的緩和を受けた投機マネーの新興国への過剰な流入が問題視されていました。つまりこの2010年10月のG20声明は、実質的には「米ドル安への名指し批判」だったわけです。
 
それでも、直接的な米ドル安「名指し批判」は回避されて米ドルはどうなったでしょうか。ただ米ドル安は間もなく止まり、米ドルはしばらく上昇に向かいました。≪資料2≫は、米ドルの総合力を示す実効相場ですが、韓国G20後間もなく反発に転じました。
 
≪資料2≫
 
(出所:Bloomberg)

 
では、改めて、なぜ米ドル実効相場は、この韓国G20後、反発に転じたのでしょうか。おもな理由は2つで、その一つは要するに「下がり過ぎ」になっていたからでしょう。≪資料3≫は、米ドル実効相場の90日移動平均線からの乖離率ですが、当時かなり「下がり過ぎ」懸念が強くなっていたことがわかるでしょう。
 
≪資料3≫
 
(出所:Bloomberg)

 
そしてもう一つ、米ドルが上昇に転じた理由は、米金利が上昇に転じたためだったでしょう。2010年11月初めに、FRBは上述のように実質的には「名指し批判」されながらもQE2を強行したのですが、ただ追加緩和に動いたものの市場金利はむしろ上昇に転じました。そんなふうに米金利上昇になった中で、米ドルも上昇に転じたということでしょう。

以上のように見ると、2010年10月のG20前後に、当時焦点となっていた米ドルの行方を決めたのは、「名指し批判」の有無ではなく、実質的には米ドルが「下がり過ぎ」となっていたということ、そしてもう一つは米金利の動きだったと思います。
 
そうであれば、今回の場合も、焦点の円の行方は、「名指し批判」の有無より、円安が行き過ぎかどうか、そして円金利の動きなどが、実質的には鍵を握っているということになるのではないでしょうか。
 
 
2.円安が続くか、止まるかを決める本当の条件
 
さて、≪資料4≫はドル円と日本の2年物金利のグラフを重ねたものです。これを見ると、最近にかけて円の下落を日本の2年物金利が急低下することで追認するようになっていたことがわかります。ただ、そんな2年物金利は、先週後半から急反発になっているのはちょっと気になるところです。
 
≪資料4≫「ドル円・日2年債利回り」
 
  (出所:Bloomberg)

 
日本の2年物金利の動きは、最近にかけて円の急落を正当化するような構図に見えなくありませんが、ただそもそも≪資料5≫のように日米2年金利差や、米2年物金利など、比較的継続的にドル円の動きを説明してきた関係は、このところ大きく崩れています。つまり、この数ヶ月の円急落は、金利や金利差からすると行き過ぎた動きでした。
 
≪資料5≫「ドル円・米2年債利回り・米日2年債利回り差」 

(出所:Bloomberg)
 

≪資料6≫は円の総合力を示す実効相場の90日線からの乖離率ですが、これを見ると円全面安で記録的な下がり過ぎになっていることがわかります。さっき、2010年10月、韓国G20を受けて米ドル安が一段落したのは、そもそも米ドル下落が行き過ぎた動きになっていたことが一因だったと確認しましたが、今回の円安もそれと似た構図にありそうです。
 
≪資料6≫ 
 
(出所:Bloomberg)
 

ちなみに、細かく見ると、円実効相場の90日線からの乖離率は、2月上旬でマイナス幅拡大が一巡し、徐々に縮小に向かいました≪資料7≫。これは、ユーロ円や豪ドル円などクロス円の下落(円高)の影響が大きいでしょう。その意味では、行き過ぎた円全面安の修正は、すでに始まっているといえそうです。
 
≪資料7≫

(出所:Bloomberg)


さて、そこにドル円がどんな形で加わってくるのか。行き過ぎた円全面安クライマックスを決める鍵を握ることになりそうです。(了)

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