今週はこう動く! マーケット羅針盤

2013/02/04 13:242月の為替を予想する

◆要約◆
・円安は季節的にこの2月で一服する可能性があるが、それは政治的にも都合が良い可能性。
・この相場の本質が、「異常な金利低下」修正を底流とした歴史的円高反転特有の現象なら、政治的に都合の良いシナリオが実現する可能性は高いのではないか。
 
2月が始まりました。止まらないドル高・円安は一気に93円突破含みになっています。ではこのドル高・円安は2月に一段と進むのか、それともさすがに一服するのでしょうか。
 
結論的にいうと、さすがにこの2月は円安が一服するのではないでしょうか。ただ、大きく円高に反転するということでもないと考えています。
 
1.円安が一服するテクニカル、季節的理由
 
記録的なペースで円全面安が続く中で、さすがに円の総合力を示す実効相場は、90日移動平均線からの乖離率が、2月1日にはマイナス11%以上に拡大してきました。過去最大のマイナス乖離率は、1995年9月19日に記録した12.6%。つまり、足元は、その1995年9月に次いで、史上2番目の円「下がり過ぎ」になってきたわけです≪資料1参照≫。
 
≪資料1≫

(出所:Bloomberg)

ところで、史上最大の円下がり過ぎとなった1995年9月は、どのようにそれが終わったか。1995年のケースでは、90日線からの乖離率がマイナス11%を上回った状況が、9月13-20日にかけて6営業日続きました。
 
つまり、1995年9月の場合は、90日線からの乖離率がマイナス11%を上回るといった記録的な円の下がり過ぎは、さすがに6営業日で終了となっていたわけです。これを参考にするなら、2月1日から90日線からの乖離率がマイナス11%を上回ってきたことで、過去最大の円下がり過ぎにならない限り、今週中に円安は一段落することになります。
 
この2月に円安が一段落するというのは、季節性の観点からも考えられなくないことです。
 
2月中旬の米国債の大量償還、利払いの影響、それを含めた3月末、日本企業の年度末にかけた期末要因の影響などがあるからです。ドル高であれば、保有しているドル建て債権の実現利益が大きくなるため、ドル売り・円買いが拡大する結果、ドルは反落しやすいということです。
 
さて今年2月のドル円は91円台での取引スタートになったので、2月としては2008年以来5年ぶりのドル高・円安水準となりました。2月中旬を含め、3月末の期末を意識したドル建て債権の含み益実現化が広がり、それがドル高・円安一服、ひいてはドル反落をもたらす可能性は注目されます。
 

2.参院選まで円安、株高という政治的好都合シナリオが実現する可能性
 
今月もう一つ注目したいポイントとして、2月中旬に予定されているG20財務相会合、そして下旬予定の日米首脳会談などを通じた、円安への諸外国からの反応があります。急ピッチな円安に対して、一時、独メルケル首相が、「日本が為替操作していないか懸念している」など懸念表明ととれそうな発言もあったからです。
 
このような海外からの円安批判は、日本の通貨当局でも内心は警戒感を持っているようです。政府・与党の本音は、来年からの消費税引き上げを最終判断する4-6月期にかけて、そして参院選前に現在の円安、株高が大きく反転することは回避したいということですから、海外からの円安批判がその障害になることは困るでしょう。
 
その意味では、この国際会議予定が相次ぐ2月は、円安はあまり目立たず、むしろ一服するぐらいの方が、政府・与党としても好都合かもしれません。
 
円安に対する海外の反応で、一つの鍵を握るのはやはり米国でしょうが、一時通貨政策担当の米財務省幹部から、「ゲームのルールが今後も守られると信じる」といった日本の為替操作けん制ともとれる意味深な発言があった以外は、比較的静観が続いています。
 
この裏には、下旬予定の日米首脳会談に向けて、この為替カードを駆け引きの一つにしているとの見方もあるようです。つまり、円安批判を控える中で、TPPや安全保障政策で、安倍政権からの一段の歩み寄りがあるかを見守っているということです。
 
このような政治要因からみても、円安が一段と大きく進んで目立つことは得策ではないでしょう。むしろここはあまり目立たず、日米首脳会談も大過なく過ぎることができれば、参院選にかけて円安、株高基調を維持するといった政治的なベストシナリオが実現する可能性は高くなるでしょう。
 
金融市場は基本的にコントロールできないものですから、政治的に都合の良いシナリオがつねに実現できるわけではありません。ただ、現在の円安、株高の根本にある環境は、そんな政治的ベストシナリオ実現を後押しする可能性がありそうです。
 
私は、現在の円安は、歴史的な円高反転局面特有の現象であり、円安への基調転換が一般化、大衆化した結果だと考えています。そういった相場の特徴は、大きなドル押し目を作らないということです。
 
またそんな歴史的円高反転の底流にあるのは、金融危機の時代で広がった「異常な金利低下」修正に伴う世界的な金利上昇だと考えています。金利上昇の中では、自国通貨高をもたらす他国の通貨安にも比較的寛容になりがちです。
 
また、金利上昇局面は、金利と株価が同方向に動く業績相場の典型とされる日本株が空前の割安修正で上昇する動きと整合的です。
 
以上のような構図の中にある円安、株高だからこそ、これまで見てきた政治的に都合の良いシナリオも、「大きなミス」がなければ実現する、そんな状況にあるのではないでしょうか。その中で、この2月とは、円安が目立たず、一服する、それが季節的にも政治的にも実現性の高いシナリオかもしれないと考えています。(了)

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