今週はこう動く! マーケット羅針盤

2013/01/30 15:51豪ドルの「高所恐怖症」を考える

ここ数年、FX投資家の間で「ナンバー1人気通貨」だった豪ドル円が、再び100円の大台に接近してきました。そこで今回は、豪ドル円100円の意味について考えて見たいと思います。
 
◆5年線で考える豪ドル「上がり過ぎ」の限界
 
豪ドル円の中長期的な評価を考える上では、≪資料1≫の5年移動平均線からの乖離率が参考になります。これを見ると、豪ドル円は5年線からの乖離率が±30%の範囲内で概ね動いてきたことがわかります。逆にいえば、それを超えると、中長期的に上がり過ぎ、下がり過ぎを警戒する必要がありそうです。
 
≪資料1≫ 
 
(出所:Bloomberg)

 
さて、足元の豪ドル円の5年線は82円程度です。従って、ここに来て豪ドル円が95円程度まで上昇してきたことで、5年線からの乖離率はプラス16%程度まで拡大してきました。徐々に豪ドル「上がり過ぎ」気味になってきたといえそうです。
 
ところで、≪資料1≫を見ると、豪ドル円の5年線からの乖離率が+30%を超えたことはこれまでなかったようです。ちなみに、足元で計算すると、105-106円程度が、乖離率+30%程度に相当する水準です。
 
以上からすると、豪ドルはまだ「上がり過ぎ」を拡大する余地はあるものの、さすがに100円を大きく上回ってくると、「上がり過ぎ」懸念が強くなり、とくに105円も上回るようだと、過去に経験したことのない「上がり過ぎ」警戒域に突入するといった意味になりそうです。
 

◆豪ドル高・米ドル安は「異常」なのか?!
 
ところで、今度はドル円について、同じ5年線からの乖離率を見て見ましょう≪資料2≫。これを見ると、ドル円の足元の5年線は88円程度ですから、下がり過ぎが修正され、ようやく中立水準まで戻ってきたということになります。豪ドル円が「上がり過ぎ」気味になってきたこととかなり印象は違います。
 
≪資料2≫
 
(出所:Bloomberg)

 
ドル円の場合も、5年線の乖離率が±30%を超えたことは、過去に少なかったといった意味では、前述の豪ドル円の5年線の乖離率のケースと基本は同じといえるでしょう。ちなみに、ドル円の5年線からの乖離率が+20%に拡大すると、足元なら105円程度、そして同30%に拡大すると115円程度といった計算になります。
 
このように、豪ドル円と米ドル円では、上昇余力にかなり差がありそうです。経験的な「上がり過ぎ」限界水準を、5年線からの乖離率+30%と仮定すると、豪ドル円は105-106円、米ドル円は115円程度だったので、足元の水準からの「限界上昇幅」は、豪ドル円がせいぜい10円程度であるのに対し、米ドル円は25円といった計算になるわけです。
 
なぜこのように豪ドル円と米ドル円の上昇余力に差があるかといえば、一番の理由は豪ドル高・米ドル安ということでしょう。そこで豪ドル米ドルの適正価格の目安である購買力平価からの乖離率を見たのが≪資料3≫です。これを見ると、豪ドルは米ドルに対して、空前の割高になっていることがわかります。
 
購買力平価の乖離率は、過去にも豪ドルが1割程度の割高になったことはありましたが、ここ数年はそれが4-5割もの割高になってきました。経験的には、「異常な豪ドル割高」だったといえるでしょう。
 
これをもたらしたのは、米経済の衰退、一方で新興国・資源国の躍進といった構造的な変化もあったと思います。そして循環的には、米ドル金利の歴史的な低下、「異常な金利低下」の影響で、異常に豪ドル高・米ドル安になっていた可能性があるのではないでしょうか。
 
異常な米金利低下が修正に向かい始めている可能性があります。それが今後一段と顕在化するようなら、それは≪資料3≫で見たような、米ドルに対する豪ドルの異例の割高を本格的に修正に向かわせることになるのかもしれません。(了)
 
≪資料3≫
 
(出所:Bloomberg)

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