今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/12/19 15:10「安倍円高」の2つのシナリオ

ドル円は予想通り、12月に今年の高値を更新してきました。そこで今回は、今後どうなるかについて考えてみたいと思います。
 
◆来年1月82円で一段落か、それとも来年6月77円なのか
ドル高・円安が84円台まで進んできたのは、安倍自民党総裁が主張する金融緩和強化に反応した印象が一般的には強いかもしれません。ただ、日本の金利は、最近にかけても大きく低下しているわけではありません。むしろここ数日は、安倍新政権による補正予算で債券需給悪化を懸念するように、金利は小幅上昇となっています。

にもかかわらずなぜドル高・円安になったのか。これを説明できるのは投機筋の記録的な円売り拡大でしょう。投機筋が記録的にドル買い・円売り拡大に動いた結果、大幅なドル高・円安になったということです。そうであれば、このドル高・円安がこの先どうなるかは、まず投機筋の円売りがどうなるかを考える必要があるでしょう。

そんな投機筋の円売りですが、過去の実績からすると、ほぼ限界に達しつつあるようです。そうであれば、この投機主導のドル高・円安も一旦は終わる可能性が高いということになるでしょう。

ところで、過去において、投機筋の円売りが限界に達した後何が起こったかというと、当然ですが円高になりました。ただこの円高、過去5-6年を検証したところ、大幅な円高と小幅な円高の2つに大別されました。では今回の場合はどちらになるでしょうか。

ちなみに、投機円売りが限界に達した後に起こった「大幅な円高」は、6か月程度続き、ドルが10%程度下落するというのが基本でした。一方で、「小幅な円高」は、1か月程度でドル下落も3-4%程度にとどまっていました

この「大幅な円高」と「小幅な円高」が、それぞれ起こった局面の最大の違いは日米の金利差でした。前者においては、金利差はほとんどなかったことから、ドル安・円高も大幅になったということでしょう。一方、後者は日米の金利差が大幅に開いていたことから、ドル安・円高も限定的にとどまったということでしょう。

では現在はどうかというと、日米の金利差は依然としてほとんどありません。そうであれば、投機円売りが限界に達した後は「大幅な円高」になると考えるのが本来は妥当でしょう。過去のパターンを参考にすると、来年半ばにかけて77-78円に向かう「安倍円高」が始まるタイミングにあるということになるわけです。

ただ後者の場合は、「安倍円高」も来年1月にかけて82円前後にとどまるといった見通しになります。私は、今のところ、この後者のシナリオになるのではないかと考えています。

それは安倍新政権誕生で、日本の金融緩和が強化されるためとは思っていません。いくら金融緩和を強化しても、すでに絶対水準の低い円金利の低下余地が限られることには変わりありません。一方で、米金利も歴史的低水準にある中で、その上昇余地は事実上「青天井」です。

私は、そんな米金利上昇により日米金利差ドル優位が拡大することによって、「安倍円高」も小幅にとどまる可能性が出てくるのではないかと考えているわけです。今週に入ってから、「財政の崖」交渉をにらみながら、まさに米金利上昇となっていますが、それが今後一段と広がるかが、「安倍円高」が2つのシナリオのどちらになるかの鍵を握ると思います。(了)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

「今週はこう動く! マーケット羅針盤」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ