今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/12/17 14:41自民大勝でも円安が一段落する理由

◆要約◆

・投機円売りは経験的に限界に近い可能性があり、ドル高・円安も一段落近いか。


・経験的には、投機円売り一巡後は最小でも82
円程度までのドル反落リスク。改めてドル高値を更新するのは最短でも来年2月以降の見通し。
 
 
1.投機的円安修正の価格と日柄の目処
 
16日行われた総選挙は、事前の一般予想通りに、自民党の圧勝となり、11月以降のいわゆる「安倍円安」が一段と拡大し、一気に3月のドル高値・円安値を更新しました。
 
私は、米大統領選挙年のドル円には、選挙前後からとたんに一方向へ動き出し、一気にドル円の年間高安値を更新するといった「アノマリー」があることを何度か紹介しましたが、結果的には今回の場合も、まさにそんな「アノマリー」通りの展開となったわけです。
 
≪資料1≫「CFTC円ポジションの総建玉に対する売りの割合」(2005/1〜2012/12/11)

(出所:Bloomberg)
 
では、このままさらにドル買い・円売りが続くかといえば、それはどうでしょうか。≪資料1≫は、投機筋の為替ポジションの目安になるCFTC統計のデータです。これを見ると、総建て玉に占める円売りの割合は、経験的に限界に近いところまで達しているようです。このように見ると、さすがに投機筋のドル買い・円売りも一巡が近いのではないでしょうか。
 
ところで、この≪資料1≫の円売りシェア拡大がピークアウトした2005年以降の6回とは、ドル円ではどんな局面だったでしょうか。≪資料2≫を見ると、この6回は全て当面のドル高・円安一巡のタイミングと一致していました。このように見ると、投機筋のドル買い・円売りが一巡すると、ドル高・円安も一旦は終わる可能性が高そうです。
 
≪資料2≫「ドル円」(2005/1〜現在) 
 
(出所:Bloomberg)
 
ところで、問題は「その後」でしょう。≪資料2≫を見ると、この6回では、ドル高が一服すると、ドル円は反落に向かい、そして改めてドル高値を更新するまで結構時間のかかることもありました。この6回のケースを見ると、ドル円は最小でも3-4%反落し、そして高値を改めて更新するまで最短でも2ヶ月以上の時間がかかっていました
 
これを今回に当てはめるなら、かりにドル高・円安が84-85円で一巡したなら、その後ドル円は少なくとも82円前後までの反落はありそうで、改めてドル高値を更新するのは早くても2月半ば以降といった見通しになるわけです。
 
2.円安調整で見極めるドル円の構造変化
 
それにしても、このように一本調子でドル高・円安が進み、またその中でドル買い・円売りの「行き過ぎ」への警戒感がありながらも、あまりドル円反落とならない、いわゆる「押し目待ちに押し目なし」といった様相になっています。ではそういった状況はまだ続くのでしょうか。
 
ただ、あらためて≪資料1≫を見ると、全体のポジションに占める円売りのシェアが経験的に限界に近付いていることは確かですから、さらなる円売り拡大というのも難しい段階に入っている可能性はあるでしょう。
 
むしろ≪資料1≫を見ると、2010年以降は、円売りシェア拡大がピークアウトすると、その後は一転して円売りシェアが急縮小に向かうパターンが繰り返されてきました。これは2007年以前との大きな違いです。この点が、先に見てきた円安一巡後「その後」の程度の違いになってきたのでしょう。
 
では、2007年以前と以後の違いは何かというと、いくつかあるでしょうが、そのうちの一つはもちろん金利差でしょう。金利差がほとんどなくなった2008年以降は、円売り一巡後は円買い戻しが一気に広がったのに対し、大幅な金利差のあった2007年以前は、円買い戻しにも自ずと限度があったということでしょう。
 
では最近はどうかというと、≪資料3≫のように、この11月以降のドル高・円安はまったく金利差で説明できない動きになっています。では、金利差がなくても、円売りリスクテークの持続力が強化されるようになったのでしょうか。これと関連して、日本の経常収支環境の急悪化の影響などが注目されているわけです。
 
≪資料3≫「ドル円・米2年債金利・米-日2年債金利差」(2012/1〜現在)
 
(出所:Bloomberg)
 
私は、一旦の円売りが終わりに近付いているとの見方は基本的に変わりませんが、円安一巡「その後」の円高が、金利差なき2008年以降のパターンで急激なものになるか、それとも2005年から2007年の時のように限定的にとどまるかは、結果を注目したいと思っています。それは、ドル円を取り巻く構造変化を考える上での手掛かりになると思っているからです。(了)

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